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第三十六話

 山中へとやってきた。中腹くらいだろうか、水もきれいに透き通って川の幅もある。浅い部分も多いが、主流には深いところもあり良い感じの岩陰もあるからいそうだな。木が多いところは虫が多くて鬱陶しいな…水でハッカ油を薄めたスプレーをよく使ってたけどそんなものは無いしどうしよう。何か氣力で出来ないかな。うーん。微弱な電気を身体中に帯電させておくか。近づいてきたやつは気絶して落ちるだろう。後は熊とか魔物が出てきたらその時は狩ればそれも食料になるから一石二鳥だな。うん。これで心置きなく釣りに集中できる。さて餌を探すか。

 川のほとりにある石をひっくり返しながら虫を探す。ミミズ、芋虫、川虫あたりがベストだな。

 それなりの数が集まったので、竿に絹糸を結ぶ。そのまま針も直結でいっか。後はおもりの割りビシもどきをこの辺に付けて…餌つけてっと。こんなもんか。立派な釣り仕掛けの完成だ。麻痺効果のある針にも期待だな。どれ、記念すべき一投目と。


 『ヒュッ』


 狙いのポイントから少し外れたところに着水した。しなりはあるけど、慣れるまでは思い通りのキャスティングは難しそうだ。引っ掛けて針を無くすことだけは避けたい。魔物針高いらしいし。


 すぐにアタリがきた。少し待って合わせて見事ヒット。20cmほどのヤマメっぽいのが釣れた。そういえば持ち帰る手段を忘れてた。バケツなんて無いな。鮮度が命だし、サッと内臓とエラを取ってしまうか。それとも石で頭殴って仮死状態にしておくか。うーん…数取るつもりだし、時短のために気絶させておこう。


『ゴンッ』


 殴って気絶する時に魚がビビビって動くこの瞬間が相変わらずなんとも言えない残酷な気分になる。慣れないなぁ…。命を奪って生きているんだなって実感する。



 小一時間で10匹か。小さいのはリリースしたからなぁ。もっと大きいサイズのマス系はいないかな。まだそんなに時間は経ってないし、もう少し上流に行ってみるか…。


 しばらく川を上ると、川幅は狭くなったが水深も結構ある良さげなポイントを見つけた。30~40cmクラスの魚影も結構見えるしこれはイケそうだ。しばらくここらで頑張ってみるか。



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