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第三十四話

 店の奥にある工房へとやってきた。金属を叩くような音がキンッキンッと聞こえてくる。ジンがなにか加工しているのだろう。リズさんは大丈夫といっていたが、やはりこういうときは声をかけるタイミングが取りづらい。しばらく作業を眺めてみるか。

 …代々続く職人なだけあって加工技術が凄いな。あれだけ細かくできるなら繊細な装飾をあしらった品を作るのもできるだろうに、何で商品には単純なものばかりなのか不思議だ。デザイン家がいないとか、一般受けしないとか?流行りや年齢層を絞って色々作るのも良さそうだ。リリカやリズさん達にも協力してもらって、流行をつくるのも良いな。みんな顔が広そうだし。メンズ向けも作ればプレゼントとかイベント日を作って相乗効果が得られそうだ…ふむ。


 そんなことを考えながら作業を見つめていたらジンがこちらに気づいたようだ。


「そんなとこに突っ立ってないで、こっちにきて見たらどうだ?」


「ああ、どうにも声をかけるタイミングが分からなくて加工技術に見惚れていたところだ。」


「そ、そうか。で、一人で工房まで来たんだ。何か用か?」


「話が早い。実は…。」


 氣聖石の加工の件やアクセサリーの商品化、デザイン画はリシュに描いてもらうことなど一連の話しをした。


「というわけなんだが一緒にやらないか?」


「そうか…返事はもちろん良いよ。こちらからも願ったり叶ったりだ。実は加工技術はあっても、デザインが出来る人や物を売ることに関して長けている人がいなかったんだ。」


「そうだったんだな。じゃあ詳しい打ち合わせはリシュも交えた方が良さそうだな。」


「ああ。というかいつの間にリシュと知り合ったんだ?しかもそんな話をするくらい仲が良いとは驚いた。」


「ん、今日遺跡でちょっとあってな。」


「ふむ…まぁクセはあるが器量が良くて美人だし良い子だぞ。頑張れよ。」


「おう。」


「そこは素直なんだな。よし、出来ることならなんでも協力しよう。」


「恩に着る。ああ、そういえば連日泊めてもらっているのもそろそろ気が引けるから宿でも取ろうかと思ってるんだが。」


「なんだ今更遠慮なんて必要ないぞ。部屋は空いてるからこの街にいる間は気にせず泊まっとけ。宿代だって馬鹿にならないしな。それに飯は大勢で食ったほうが楽しい。」


「そう言ってくれるなら遠慮なく。でも何か手伝うことがあれば何でもいってくれ。飯も食わせてもらってるからな。そうだ、時間があるときに狩りでも行ってこようか。」


「そうだな。魚か肉があれば飯代はかなり浮くから調達してきてもらおうか。釣りをするなら道具はあるから倉庫にあるやつ好きなの持っていってくれ。やったことあるか?」


「ああ、大丈夫だ。」


「釣り場は近場の池か、もしくは少し山に入ったところにきれいな川があるからそこも釣れるぞ。」


「了解。」


 アクセサリー加工の話にプラスして協力者も得ていい感じに話が進んでいった。トントン拍子に話が進んだから時間が結構空いたな。女の子達の買い物は長そうだし、ここはジンに勧められた釣りでもしてくるか。今晩の食卓に並べるだけの釣果があれば良いが…まあなんとかなるだろう。前の世界でも磯釣りやら渓流釣りにルアーもやっていたが、この世界には流石にリールとか疑似餌は無いだろうし、竿と糸と針だけの延べ竿の予感がする。さて何が倉庫においてあるか楽しみだ。




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