第二十七話
「そこに隠れているのは誰!?盗賊だったら容赦しないわよっ!」
彼女はセミロングの薄いピンクの髪を揺らしながら剣を抜き構える。フェンシングのような構えだな。小剣使いだろうか。もうひとりも女の子で、黒髪ショートの少し下めなツインテールだ。こちらは素手だし格闘かな。さてどうしたものか…出会いは第一印象が肝心って言うしな。よくあるパターンだとラッキースケベから始まって嫌われるところから始まるんだが、それはなんとなく嫌だし。
「出てこないならこちらから行くわよ!」
おっと、これはまずい。手遅れになる前に行動しないと。
「~~っと。待った待った!あたしだよあたし。」
腕を振りほどいてふっと身体をそらして柱の影からリリカが出てくる。
「あらリリカじゃない。でもあと1人…いえ、2人隠れているわね。」
「2人とも出てきて。あたしの知り合いだから大丈夫。案内してたの。」
「ちょっとリリカ、この場所は簡単に人に教えたらダメじゃない。」
「そうだけど、この人達はジンの命の恩人でジンが案内してくれって頼まれたから。」
「そうだったのね。」
彼女は小剣を納め、装いを整え優しく微笑みながらこちらを見た。纏っている空気もガラリと変わって心地良い空気を感じる。
「初めまして、リシュです。こっちは妹のカナ。よろしくね。」
「カナです。よろしくおねがいします。」
ただただ心から純粋にドキッとした。心臓の鼓動が速くなるのがわかる。あれ…そういえばこっちの世界にきてから誰にも名乗ってないな。普通に日本人の名前を言うと浮いてしまうし、それっぽい名前を言わないと変に思われそうだ。
「ヴィ、ヴィクトだ。こっちが妹のスズカ。こちらこそよろしく。」
「スズカです。よろしく。」
こうしてあの時、街ですれ違いざまに直感で気になった女の子と普通に再開を果たして知り合った。良くも悪くもなく普通でいいんじゃないだろうか。あの時の子猫は家でお留守番でもさせているのかな。…というか何やらさっきからスズカとカナが警戒しあっているように見えなくもないが一体何だというのだ。
「えっ!…もしかして。ちょっとスズカさん、いいかな?」




