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第二十五話


「ドドッ、ドドッ」


 リズミカルに3頭の馬の足音が草原に響き渡る。時折吹き抜ける風が草木を揺らし、心地よく涼しい。馬自体の体温が直に伝わるから意外と暑いんだよな乗馬って。バイクも鉄馬というだけあって馬っぽいけど、あれもエンジン熱で暑い。乗り方は似ているようで実は違うという不思議。生き物を相手に乗るのと機械じゃ指示の出し方が違うからなぁ。バイクは脚を締めるけど、馬は脚で緩急つけて指示するし。なんてことを考えていると。


「どうー?だいぶ慣れた?」


リリカが愛馬をなだめながら近くにきた。


「ああ、結構感覚が戻ってきた。しかし良い馬だな。」


「当然だよっ。現役の時は数々のレースで優勝したことがある名馬なんだから!」


「道理で…。しかしスズカは乗るのが上手いな。」


「動物相手は得意。意思疎通が簡単だから。」


「そ、そうか。」(同じ動物同士だからか…?)


「すごいねースズカちゃん!騎手としてレースに出られる上手さだよ!今度乗ってみる?」


「別に構わない。」


「入賞すれば賞金も貰えるからね。今度お願いしてみるよっ。」


「ん。賞金もらって美味しいもの食べる。」


「ははは。勝てたらいいな。」


「スズカちゃんならいいとこ絶対狙えるよ!保証する!」


 どうやらスズカもやる気になったようだ。気合が乗った雰囲気を醸し出している。


「それじゃあそろそろ駈歩で遺跡の方に向かおっか。」


「うん。」


「ああ。わかった。」


 脚を使い、馬に駈歩の指示を出すと次第にスピードアップし走り出す三頭。


「ドドドッ、ドドドッ」


「やっぱり駆けると気持ちいいねー!」


「ああ、最高だな。」


 3頭の馬は更にスピードをあげてリリカを先頭に、草原の大地を蹴りながら小一時間走ると草原の丘の上に大きな木が2本生えている場所についた。映画やドラマのワンシーンで使えるような場所だ。J○Aの日○牧場もこんな感じの風景が広がっていたな。あそこを馬で走るのは本当に気持ちよかった。


「ここで少し休もっか。結構走ったし、この子たちも休ませてあげよ。」


「ふう。了解。」


 馬から降りて木につないでおく。馬たちは一息いれると草をもしゃもしゃ食べ始めた。結構な距離を走って喉も乾いているだろうし、氣力で水出してあげるか。っと適当な入れ物がないか…さてどうしたものかと考えているとスズカが両手のひらを出し直接馬に差し出した。さすがにサイズが小さすぎないか?と思ったが、水量を調節して上手いこと馬に水を飲ませている。がぶ飲みだな。


「スズカちゃんすごーい!水の氣力でどこでも水を出せるって本当助かるね。馬と一緒だと水飲み場も探さなくちゃだし、荷物も一気に減るし良いことづくめだよ。」


「ふふんっ」


何やら得意げそうな顔をしつつ、嬉しそうな表情をしている。


 スズカは順番に水をあげていき、馬たちも満足そうにしている。お互いの親密度もかなりあがったようだ。馬とは信頼関係が何よりも大事だからね。


「リリカ」


「ん?なあに?」


「遺跡まではまだ距離があるのか?」


「もう少しで着くよ。ここの景色が好きだから寄りたかったのもあって。気持ちいいでしょ?ここ。あたしの取って置きの場所なんだぁ…。」


「そうだな。時間を忘れてぼーっとしていたくなる。」


「でしょ?落ち込んだときとか子供の頃からよく来てたんだ。この子と。」


「ブルルッ」


「その馬と長い付き合いなんだな。」


「そうだねー。お産の時に取り上げてからずっとだね。」


リリカは馬の顔を撫でている。馬も目を細めながら嬉しそうな顔をしている。馬って表情もだけど表現力も豊かだよなぁ。


「相棒っていうより姉弟っぽいな。」


「あはは。そう見える?」


馬はリリカにスリスリしている。


「よし、じゃあそろそろ遺跡に行くか!」


「おー!」



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