第十五話
結局二度寝はせず、スズカと広間でくつろいでいるとジンが起きてきた。
「よう。2人とも今日は早いな。」
「あぁ、早くに目が覚めてな。昨日早めに寝たせいかもしれない。」
「そうか。昨日は疲れて早く寝たもんな。ゆっくり休めたか?」
「この通り体力気力ともに回復した。ジンこそ体調は大丈夫か?治療したとはいえ、大怪我だったしな。」
「バッチリ回復したぜ!問題ない。」
「そりゃ良かった。で、今日は街に着くんだろう?」
「朝から出れば昼には着くだろう。夜はうちに泊まって饗させてもらう。大したことはできないがな。」
「ありがとう。お言葉に甘えさせてもらう。ついたら街を見回りたいんだがいいか?」
「ああ、翌日でもいいか?うってつけのやつがいるから紹介するよ。そいつに案内をさせようじゃないか。」
「すまない。助かる。」
「じゃあ簡単に飯済ませたら出発するか!」
「そうだな。」
「ん。早くごちそう食べたい。」
昨日の残りで腹を軽く満たし、手早く準備を済ませて小屋を後にした。街道に戻り、そのまま何事もなく当初の予定通りベガルタへとたどり着いた。ジンの言う通り昼に到着だ。
街の門をくぐって街に入るとすぐに大きな広場があり、広場には野菜や果物、肉など多くの出店が並んでいた。その中には良い匂いを漂わせている店も数多くある。腹ペコの俺たちには刺激の強すぎる光景だ。
「お兄!あれ食べたい!」
スズカが肉の塊を吊るしながらじっくり焼いている店を指差した。焼けた部分を削ぎ落として食べるらしい。とてもそそられる匂いがする。
「よしわかった、まずは腹ごしらえからとするか。」
「おっちゃん、2つ貰おうか。いくらだ?」
「まいどっ!銅貨10枚になりやす。嬢ちゃん可愛いから肉おまけしとくな!」
薄い生地に肉をたっぷり載せて渡してくれた。1つつまんで食べてみると、香辛料を擦り込んで時間をかけて焼いてあるようで、そのままかぶりついても肉汁が溢れてきて旨い。なるほど、ケバブに近いかな。スズカも大層気に入ったようだ。
「旨いな。香辛料はどこのを使っているんだ?」
「この街は初めてかい?この辺りの特産品でさ、様々な料理に使うのが当たり前なんだ。」
「へぇ。他にはどんな料理が?」
「肉や魚、スープにもよく使うな。ここらの出店を手当り次第にまわってみるのも良いと思うよ。」
「そうか。ありがとう。」
出店を堪能しているとジンが話しかけてきた。旨そうな匂いにつられて忘れていた。
「旨いものがいっぱいあるだろう?でも程々にしといてくれよ。夜はごちそうを準備して待っているからな。俺の店は西区にある。また夜に会おう。」
「ああ、わかった。夜までには腹を空かせておくよ。」
と軽く挨拶を済ませ、ジンと別れた。明日ジンの知り合いに案内してもらうことになってるけど、まだしばらく時間があるし軽く街を散策しようと思う。そういえば夢に出てきた街外れの道具屋も気になるけど、そっちは明日それとなく聞いてみるか…。
ぶらぶらと気の赴くままに歩いていると広場の一角に案内板らしきものがあったので、眺めてみるとこの街の地図だった。どうやらこの街は東西南北でそれぞれ地区に分かれており、中心部がこの広場らしい。街自体が大きな塀で囲まれており、出入りが出来る門は北と南にだけある。地面も石畳で整備されているし、所々に彫刻や銅像もあり、建物も石やレンガ調、木造のものもある。とても立派な主要都市の造りだ。城があってもおかしくないような感じだな。適当に物見遊山をしていると日も傾いてきて夕方になった。そろそろジンの家のある西区に向かい、家を探すとしよう。




