第十一話
こうして洞窟から出た頃にはすっかり辺りには夕闇が訪れていた。野営地に戻り、薪を組んで気力をつかい火を起こす。スズカは獲物を取りに行ったようだ。
「すげえな!あんちゃんの方は土以外に火の気力も使えるのか!」
「ああ、ちなみにスズカは光の他に水も使える。」
「兄妹揃って複数の気力が使えるとは…さぞかし自然に愛されているんだな。」
「そうだと良いな。自然の力や恵みには日々感謝してる。」
「スズカちゃんはどこに?」
「獲物を狩りに行った。あいつは俺より得意だからな。俺たちは薪と食べられそうな野草でも集めてくるか。」
「わかった。それにしても治療も出来て弓も得意とかなかなかいないな…尊敬するわ。そういえばこの辺りに野生のイチゴが群生している場所があるんだ。せっかくだから案内するよ。」
「お、いいね。あいつも喜ぶだろうよ。」
ジンの案内についていくと、木々が少なくなった広場に小さなイチゴが大量に生えていた。これはなかなか壮観だ。一粒採って見てみるとクサイチゴによく似ていた。食べてみると酸味が少なく甘くてとても美味しい。これはなかなか美味だ。
「美味いだろう?街の近くには無くて割と高値で売っているんだが、ここも知られていなくて良い採集場なんだ。」
「ああ、美味いな。これだけ甘い野生のイチゴは珍しい。」
程々に採取し、野草と薪を集めて岩場の野営地に戻るとスズカが戻っていた。子鹿を1頭仕留めたようで、綺麗に解体作業をしている。3人で食べるには充分な量だ。
「お兄、新鮮なうちにこれ食べて。ジンも。」
スッと生の肝臓を手渡す。
「ありがとう。貴重なビタミン源だからな。いただきます。」
「生の肝臓が食えるなんて久しぶりだ。ん、ビタミン…?」
「あぁ、貴重な栄養素のことだ。気にしないでくれ。うん、旨い。」
「そうか、若いのに色々知っているんだな。」
「そうだ、スズカ。イチゴが大量にあってな、ジンが教えてくれたんだ。食後に食べよう。」
「イチゴ!?やった♪ジンありがと!」
「ジャムにも良さそうだが日持ちさせるためには砂糖が要る。今度来た時に作ろうか。」
「うん!楽しみにしてる。」
「なんだ、あんちゃんは料理にも詳しいのか。2人揃ったら何でも出来るな。」
「そ。お兄はすごいの。」
「趣味程度だからなんとなくだ。料理人みたいに手の混んだものは作れないしな。」
解体された鹿肉が火にかけられ、いい感じに焼けたので皆で飯にした。鹿肉は脂分が少なく赤身が多くて好きだ。前の世界じゃジビエ料理は敬遠されがちだったけど、食べてみたら旨いんだからもっと一般的に広まってたら獣害も減っただろうになぁ…。なんてことを考えながら食べ終わった。食後のデザートにイチゴを食べたが、スズカは大変お気に召したようだ。追加で採りに行きたいとごねた彼女を宥めるのに苦労したのは言うまでも無い。




