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碧、すなわち夏の香  作者: 翔羽
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1、夢、すなわち追憶

初小説投稿です。

よろしくお願いします。

蝉がうなる。

儚い命を、この時だけは、というように懸命に燃やし続けている。


灼熱の太陽。

「この世は私あって成り立っているのだ」

とでもいうかのように、ドンと構えて一切動かず、ジリジリと下界の俺らを照りつける。


ここは無人島。

俺の想像の中の無人島。

島の大半を大きなジャングルが占めていている。

時折カモメがカァカァと鳴くくらいで、辺りは異様なほど静まり返っていた。


俺以外に人間と呼べるものはいない。

どうやら、俺は取り残されてしまったようだ。

水も食料も何も無い。


とりあえず歩く。

歩く、歩く。

俺は歩く。

ただひたすら歩く。


すると、急に辺り一面が金色の砂に覆われる。

突然の砂嵐の強風。

押し倒されてしまいそうだ。

行く果てもなく、ただひたすら歩き続ける。

足が焼けるように熱い。

口の中に砂が入る。

一瞬、じゃりっとした感覚。

そこからすぐにパサパサッとした感覚が生まれ、

激しく咳き込む。

胸のあたりを抑えながら荒い呼吸を繰り返す。

肺が痛い。

それに死ぬほど喉が乾いている。

カラカラだ。


うっ。

不意になにかにけつまずいて、転倒する。

何も無い砂漠に一瞬、砂が舞う。

どうやら自分の赤色ポンチョに足を引っ掛けたようだ。

足に力を入れるが立てない。

体の一部が砂に飲み込まれていく。

流砂だ。

俺は必死でもがく。

手足をばたつかせる。

それでも乾いたサラサラの砂が俺を呑み込んでいく。

またしても口に砂が入る。

俺は激しく咳き込んだ。

苦しい。息ができない。

ああ。死ぬのか。

まあ、いいかもしれない。こんなクソつまらない人生だったが。

ああ、呑み込まれていく。気が遠くなる。


ふと差しかかる黒い影。

砂漠の風に長い髪をなびかせる。

場違いな、でもなぜか懐かしいシトラスの香り。

逆光で顔が見えない。

でも知らなくてはならない気がする。

誰だ。お前は。



しかし残念ながら俺はそれが誰だかわからないまま目覚めてしまったのだ。

読んで頂きありがとうございました。

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