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#8.異世界ニートと旅の準備

 裕二は朝、目覚めて朝食をリオとリアと食べていた。昨日は冒険者としてギルドに登録したので、裕二はもう今日から冒険に行くものだと思っていたが、それを2人に言うと思い切り反対された。リオから、


「私達まったく旅の準備をしていないじゃない。そろえないといけないものがたくさんあるのだから今日はシャーロンで買い物をして旅の準備をしようと思うのだけど、どうかしら?」


 と言われた。リアはうんうんと頷いているし、確かに準備をしないといけないと裕二も思った。

 それに裕二の王の力は必要以上に使うのはどうなのだろう?と思うのでせっかく冒険者なら自分で稼いだ金でできる限り揃えてたほうがいいと思うため裕二も頷く。


 というわけでシャーロンにある一番大きな市場であるルーディン市場に裕二達は来ていた。裕二は冒険者が最初に何を準備する必要があるのか全くわからなかったのでリオに任せることにする。一応丸投げしたわけではないと思いたい。

 

 最初に訪れた店は武器屋だった。3人で店の中に入りいろんな武器のなかから自分の武器を選ぶ。お金は前にログレオさんからもらった金貨がたくさんあるので問題ない。裕二は片手持ちのロングソードと思われる剣を選びお会計を済ませようとした。そのとき頭に何かが呼びかけてきた。言葉ではないが何を伝えたいのかははっきりわかる。「おれを選べ!!」なんとなくだが裕二にそう伝えている気がする。

 

 裕二は呼びかけられた方へ行ってみるとそこにあったのは、片手剣のようだが、錆びついた上に刃が半分折れたもう剣と呼べるかも怪しいものだった。傍には壊れ物につき銅貨8枚と書かれている。そこへリオとリアが合流する。


 リオは銀の花のような装飾が施された杖を、リアは裕二の選んだ剣より少し小さめの片手剣を選んでいた。裕二はリアが近接戦闘向きの武器を選んだのが不思議でならなかったが、どうやらリアは近接戦闘の方が得意らしい。よく考えるとリアの短気な性格がいかにも近接戦闘向きって感じがするなと納得する。

 

 そして裕二はボロボロの剣を手に取りよく見てみる。やはりこの剣が自分を呼び掛けていたようだ。


「そんなボロボロの剣見てどうすんのよ?買うわけじゃあるまいし」


 リアが言う。裕二も普通ならこんなボロボロの剣を買うなんてありえないが何かの縁かなと思い、


「この剣、買うよ」


 と裕二は言う。リオは呆れた表情をしている。

 リアは驚きの表情を浮かべ、


「裕二、そんな剣戦闘で使えるわけないじゃない! あんた馬鹿なの? 」


 と言う。だが裕二は構わないと言ってお会計を済ませる。店の店主にまで驚いた表情をされ、本当に買うのか確認をされた。

 

 その次に裕二達が訪れたのは洋服店だった。内装はきらびやかで様々なデザインの服が置いてあるが、イマイチ裕二にはどういう服が自分に似合うのかよくわからない。


「いらっしゃいませ。どのような服をご所望ですか? 」

 

 店員と思わしき女性が僕たちに話しかけてくる。裕二は何を話せばいいかわからなくて慌てる。するとリオとリアが店員の女性と話し奥の方へ入っていく。2人がいて助かったと心の中で礼を言う。

 裕二の今の服装はグレーのフードパーカーに黒いジャージである。これが裕二のお気に入りなので特に新しい服を買うつもりはなかったのだが、着替えがないのもどうなのだろう?     

というわけで裕二は今の自分の服装をオーダーメイドでいくつか注文する。


 その頃リオとリアは服を選び、試着室にて着替え中だった。裕二は服を注文した後に試着室前の椅子に座って2人を待つ。リオが裕二がいることに気づいたようで試着室から出てくる。


「今まで着たことのない種類の服なのだけれど、似合うかしら? 」


 とリオが裕二に聞いてきた。リオが選んだのは白いワンピースのようだ。胸のあたりに赤いリボンがついているのが特徴的だ。裕二は出てきたリオを見て思わずドキッとする。いつものゴスロリのリオも、もちろん可愛いのだがこっちのリオも新鮮で別の可愛さがあると思う。


「よく似合ってるよ。すごく可愛い」


 裕二はとても恥ずかしいが素直に感想をリオに言った。


「そ、そう。とても嬉しいわ」


 リオは顔を赤くしながらそう言って試着室へさっと戻っていった。

 その次にリアが着替えを終えたようで試着室から出てくる。


「どう?裕二、似合う? 」


 とリアが聞いてきた。リアが着たのはまさかのメイド服だ。とてもシンプルなデザインのTHEメイド服といった感じで、とても清楚な感じがする。

 裕二はびっくりして大きく目を見開いて言う。


「とても似合ってて可愛いと思う」


 裕二の言葉を聞いたリアが顔を赤くして言う。


「別にあんたに褒められたからってそんなに嬉しくなんてないんだから! 」


 そしてリアも試着室へと戻っていった。その後もいろんな服を着たリオとリアが交互に出てきて裕二が感想を言うのを繰り返しかなりの時間続いた。

 

 ようやくリオとリアは買う服を選んで試着室から出てきた。リオとリアはお会計を済ませる。裕二の服はまだ時間がかかるらしいので裕二達は先に縄や釣り竿などの冒険に必要な道具を買いに行くことにする。

 


 裕二達は冒険に必要な道具を買うためにログレオ商会にやってきた。するとログレオ商会の入り口前に馬車が止まっている。中からログレオさんが出てきた。ログレオさんは裕二達を見つけるとこちらへ来て言う。


「山野さん、リオ様、リア様もよくぞいらっしゃいました。今回はどのようなご用件で? 」

「ログレオさんこんにちは。今日は旅に必要な道具を買いにきました」


 裕二はここへ来た目的をログレオさんに伝えると旅に必要な道具を安く売ってくれるというのでお礼を言って、ありがたく売ってもらうことにする。

 

 買い物を終えて、裕二達がログレオ商会を出るときにログレオさんがリオとリアに心配そうな顔をして言った。


「今日王宮に参ってきたのですが、国王陛下や王妃様、それに皇太子様など宮中の方々が心配されておりましたよ」

「どちみち1度は王宮に行こうと思っていたのだし心配ないわ」


とリオが言う。それに合わせてリアが頷く。裕二達はログレオさんに礼を言って、裕二の洋服を受け取るために洋服店へ戻る。気づけば時間はすっかり夕方になっていた。市場は夕飯の買い物のためか人通りも多く昼とは違う賑わいがあった。

 


 裕二達は洋服店に入って、裕二がオーダーメイドで注文したフードパーカーとジャージを受け取りお会計を済ませて外に出る。裕二達は宿へ戻るため市場を歩いていると、裕二達が進んでいる方向から十人ほどの騎士がこちらへ走ってくる。市場の人々は慌てて道を空ける。何かあったのかな? と裕二は考えていると走ってきた騎士は裕二達を取り囲む。周りの人々が買い物よりもこっちと言わんばかりに遠目にこちらを見ている。僕はリオにどうなってるのか聞いた。


「あれ?なんか僕たち囲まれてない? 」

「マズいわね。王宮の騎士達に見つかるなんて。悔しいけどおとなしくするのが得策だと思うわ。裕二、申し訳ないのだけれどなんとかしてあなたのことを助けるからそれまで我慢して欲しい」


 裕二はリオの言葉に頷く。

 騎士の一人がリオとリアに言う。


「リオ様、リア様勝手に王宮を抜け出してはいけません。国王陛下もお待ちです。お2人には王宮へ戻っていただきます」

「わかったわ。ここまで囲まれるともう逃げられなさそうだし仕方ないわね」

 

 とリオが言う。リアも諦めた顔をしている。そしてリオとリアが数人の騎士に連れられていく。その直前にリアがこっそり耳元でボソッと言う。


「あんた絶対に助けるまでくたばるんじゃないわよ」


 リアが裕二にそう言ったので裕二は大丈夫という意味でグッと親指を立てる。

 リオとリアが連れられていった直後、


「貴様には王女を不用意に連れまわした罪人として王宮へ連行させてもらう」


と騎士の1人が言う。そして裕二も騎士に連れられて王宮へと連行されて行った。

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