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#31 異世界ニートと星空の下で

【ノーグランド王国 交易都市ガムルダ】


 裕二が起きて宿の部屋にある窓から外を見るとちょうど夜が明けて太陽が昇ってくるところだった。


「俺がここに戻ってきた時、既に昇っていたから俺は少なくとも丸1日眠っていたってことか」


 裕二は部屋から出て宿の受付まで行くと既にリオとリアが支度を済ませて待っていた。マーリンは現在俺の中で眠っているようだ。裕二は急いで2人のもとへ駆け寄る。


「お待たせ。ごめん。また遅くなって」

「本当よ。全く何やって......」


 そこでリオがリアの口元に人差し指を当てて言葉を遮る。


「いきなりどうしたのお姉ちゃん!?」

「1回落ち着きなさい。裕二も疲れていたのだからあまりきつく言うのはよくないわ」

「う、うん。わかったわ」


 少し俯きながらもリアはしっかりと姉の言うことは聞くようだ。それにしてもリオ、めっちゃ優しすぎるだろ! 天使なのか!? 女神なのか!? こんな可愛い娘が優しくしてくれるなんて! 今すぐ結婚したいと裕二は心の中で感激していた。


「全員揃ったのだしそろそろ出発しましょ。私たちにはブランデル城を調査するという仕事もあるのだから」

「よし。それじゃあ行くか!」


 宿を出た裕二達はギルドへの報告を手早く済ませて交易都市ガムルダを出発した。リオ曰く交易都市ガムルダからノーグランド王国の旧王都までは何もなく順調に歩けば3日程の距離とのことだ。だがガムルダから旧王都までもノーグランド王国の領土内であるため、滅多なことが無い限りは強力な魔物は出てこない。





 何回か雑魚レベルの魔物と遭遇したが、それ以外は何の問題もなく2日目の夜の野宿を迎えていた。リオとリアは先に眠っており、裕二は見張り番も兼ねて篝火の前で座っていた。マーリンを膝枕で寝かせたまま夜空に煌めく星をただぼうっと眺めていた。


「何か考え事かしら?」


 裕二が後ろから近づく声に振り向くと、そこにいたのは寝ていたはずのリオだった。


「あれ? 寝てたんじゃ......」

「そうなのだけど、ふと目が覚めてしまったのよ。隣、いいかしら?」

「うん」


 そう言ってリオは裕二の隣に腰を下ろした。リオが隣にいて膝にはマーリン......何だか夫婦みたいだなと裕二は一瞬考えたが、その考えをすぐに脳内で掻き消す。


「綺麗な星空ね」

「そうだね。すごく綺麗だ」


 裕二は星空ではなくリオを見てそう言った。本当は星空よりも一緒に星空見ているリオの方が綺麗だよみたいなイケメンなセリフを言えればいいのだが、裕二はそんなことを言えるほど自分に自信はない。


「明日の昼には旧王都に到着するわ」

「旧王都ってどんなところなんだ?」

「昔は様々な国の商人が店を構えていて豊かでとても栄えていたそうよ」


 リオは少し思い出しながら口を開く。


「じゃあガムルダは?」

「あれは王都が今のシャーロンになってから出来た都市よ。あの辺は交易上のとても重要な場所なのよ」


 そこで裕二は気になっていたある疑問を問う。


「そんなに豊かで栄えていたなら何で王都がシャーロンに変わったんだ?」

「......」


 そこでリオは俯いてしまった。裕二は慌てるがこういうときにどうすればいいのかさっぱりわからない。裕二が聞いちゃいけないこと聞いてしまったなと考えていた時、リオが突然また口を開いた。


「疫病と魔人の襲撃によって滅んでしまったのよ」


 そしてリオは詳しく語り始めた。

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