表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/31

#30.異世界ニートと度重なる襲撃

【ノーグランド王国 ムザンカの森】


「2人共後ろぉぉぉ!!」



 裕二は2人に必死な声で言うと2人を助けようと全力で駆け出した。だが裕二の全力の速度でも追いつかない。そしてドライブベアーはその腕を振り下ろした。そう、確かにドライブベアーはその腕を振り下ろしたはずだったのだ。だが実際はその腕はリオとリアに何の害も与えなかった。そしてドライブベアーの腕は血をまき散らしながら宙を舞い、やがて落ちた。


「何、後ろ? って腕だけって何コレ? しかもドライブベアー後2体いるじゃない!?」


 リアの顔色が少し白くなる。裕二はマーリンに聞く。


「腕切り落としたのってマーリンがやったのか?」

「はい! お役に立てたでしょうか?」

「も、もちろんだよ」


 裕二がそう言うとマーリンは嬉しそうにニコリと微笑む。


「さて、後はあのドライブベアーか。もう1匹相手にするのも2匹相手にするのも一緒な気がしてきた」

「あら、裕二には何かあのドライブベアーを倒す策があるのかしら?」

「あるにはあるが僕1人では無理だ。協力してくれ」


 3人はコクリと頷く。裕二は3人に作戦内容を伝えた。


「中々危険な策ね。どこかでタイミングを間違えれば破綻して全員が大ダメージよ」

「だけどそれしかないんでしょ? ならやるしかないじゃない!」

「わかりましたマスター。マスターの仰せのままに」


 そして裕二達は戦闘態勢に入った。リアが最初に飛び出してドライブベアー達に攻撃を与える。ドライブベアー達の攻撃対象になったリアはドライブベアー達からの激しい猛攻を何とか躱しながらドライブベアー達を指定された地点まで誘導する。


 リオとマーリンは木の上で潜んでマーリンはリオに設置型の魔法を教えてから2人は指定した地点にそれを設置する。


 しばらくするとリアがドライブベアー達を惹きつけたまま指定した地点まで移動してくる。リアは魔法が設置されている場所を知っているためそこを躱すがドライブベアー達はそのまま突進して通り抜けようとしたためそれに反応して魔法が発動する。


『聖域を侵す者を永久(とこしえ)の楔で繋ぎたまえ! 破邪の楔(コラプスウェッジ)!』


 すると地面から魔法の鎖が出現してドライブベアー達を動けないように拘束し、先端の楔が地面に刺さりドライブベアー達は動こうとしても動けなくなっていた。


「裕二、今よ!」


 リオの声に合わせて裕二は木から飛び降りてドライブベアー達に両手を使って触りながら王の力を行使する。


物質(マテリアル)消滅(エクスキューション)・零(ゼロ)!』


 するとドライブベアー達の体は瞬く間に消え去った。


「何とか依頼もこなせたし喜びたいのだけれど、それよりも早くこの森を出ましょうか」


 木から降りてきたリオの言葉に裕二は頷く。そして裕二達はできる限り全力で走って魔物に遭遇することなくムザンカの森を出ることができた。

 裕二達は疲労感を隠し切れず露わにしながらガムルダへと歩いて行った。




 裕二達がガムルダに着くころには夜が明け始めて東の空が少し明るくなっていた。


「やっと着いたか。体はいいんだけど精神的に疲れたな」


 裕二の"王の力"は肉体はとてつもなく強化してくれるが精神までは強化してくれないのだ。裕二はリオとリアの方を見ると彼女達は裕二と違い肉体的にも疲労が激しい様子だった。ちなみにマーリンはと言うと好きな時に非実体化できるらしく裕二の体内に戻っていたためまったく疲れていない。


「とりあえずみんな疲れているからギルドへの報告は後回しにして一度宿で休もうか」

「そうね。これだけ動くと私も疲れてしまったわ」


 リオの言葉にリアも頷く。裕二は宿の部屋の前で2人と別れると自分の部屋に入りベッドに飛び込む。本当は大好きなお風呂に入りたいのだが、生憎まだお風呂が使える時間ではなく裕二も眠気が抑えきれなくなってしまったのかまどろみの中で裕二は眠ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ