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#1.異世界ニートとゴスロリ少女

初投稿です。あまりできもよくないかもしれないですが、少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。

 僕の名前は山野裕二。25歳。職業は残念ながら無職である。そう、ニートだ。私立の大学を卒業して就活もしたが結局ニートになってしまった。僕は運動は人並み、学業の成績もほぼぴったりの真ん中という可も不可もない、正に世の中の平均代表である。


 そして今日もお気に入りのグレーのフードパーカーと黒いジャージを着て、1日中ゲームをして生活する予定だったのだが、そんな僕のニート生活はどうやら突然の終わりを迎えてしまったようだ。


いつものようにゲームをしていたのに気づけば周りの景色がガラリと変わり、見たところ路地裏のような場所になってしまった。


「えっ!? ここはどこなんだ? 家にいたはずなのに。どうなってるんだ!?」


 裕二は目の前の景色が家から突然どこかもわからない路地裏に変わったことに普段からパッチリと開いている目を更に見開いて驚く。また、路地へと差し込む光のほうを見ると人が行き交っているのが見える。


 夢かVRゲームの1種だと信じながら地面に触れてみるが残念ながら見た目通りの土の感触である。つまりここは夢でもVRゲームの世界などではなく、現実の世界だということを認めるしかない。それを理解し裕二は頭を抱えて言う。


「これが現実だったらここは一体どこなんだ!?」


 裕二は立ち上がろうとしたときパーカーのポケットに謎の違和感を感じ、パーカーのポケットに手を突っ込んでみる。すると出てきたのは1通の差出人不明の封筒と財布だった。


 財布を覗くと金、銀、銅のお金と思われるものが入っていた。裕二はとりあえずお金があるなら知らない場所で路頭に迷うこともなさそうだと思い安堵のため息をつく。


 そしてポケットから出てきた封筒を開けてみると中には折りたたまれた1枚の手紙と思われる紙が入っていた。裕二は何かわかるかもしれないと思いその紙を開き内容を読んでみる。


 「あなたは無職で堕落した生活をしすぎているということで、罰として異世界に飛ばすこととしました。


そちらの世界ではニートなど続けていくことは困難かと思われますが適当に頑張ってください(笑)

 

なおリュックサックの中身は必要なとき役に立つのでせひご活用ください。タブレットPCはネットに繋がっているのでご不便なくお使いいただけます。神より」


「いや滅茶苦茶だろ! 無職で堕落って今の世の中にたくさんいるのに、何で僕なんだ? 別に他の誰かでもいいじゃん! ってか文面丁寧だけど適当に頑張れとか(笑)とかのせいで台無しだろ」


 裕二は文面を見て大声で怒鳴るが路地の外の賑やかさにかき消されるため何の反応も返ってこない。とりあえずわかったことはここが異世界で訳のわからない理不尽な理由で飛ばされてしまったということだ。そして裕二はここで怒鳴っても仕方ないと思いため息をついて上を見上げる。


 しかしそこで裕二の表情が固まる。上を見上げた裕二の視線の先には空を飛んでいる人がいたのだ。空を飛んでいる人達はかなりの速度で裕二の見上げる上空を通り過ぎていく。


 するとそのときに発生する風で裕二の何の変哲もない黒い短髪がバサバサと揺れる。少しすると風は収まりまた路地裏に静寂が訪れる。


「さすが異世界。もう何でもアリだな。アハハ」


 その中でひきつった表情をした裕二が投げやりに言った。裕二は手紙を封筒にしまい、それをパーカーのポケットにしまうと裕二の隣にある小さめの黄色いリュックサックに目を向ける。ここに来たときは軽くパニックになっていたので気づかず手紙を読んで、そんなものあったかな? と思っていたがそんなものはあったのだ。


 そして裕二はその黄色のリュックサックを開いて中身を取り出す。中から出てきたものは手紙にあったタブレットPCと自分のお気に入りだったスニーカー、そして何故かカップラーメンが3つ。


「何故カップラーメンなんだ?」


 裕二はまさかの最初の持ち物にカップラーメンが出てきたことに思わず疑問を口に出し苦笑する。とりあえず裕二はスニーカーを履き、タブレットPCを起動させる。そしていくつかの操作を確認しネットに繋がっていることも確認する。


 そもそも異世界でネットが繋がるのもおかしな話だが、考えてもアホらしいのでとりあえず異世界だからということで頭の中で自己解決させることにした。


 次に裕二はインストールされているアプリを調べると時計や電卓といった標準アプリに加えて翻訳アプリと書かれたアプリを見つける。裕二はおそらくこの世界の言語を翻訳してくれたりするものだと考え、試しに翻訳アプリを使わずに路地裏から抜けてみる。


 路地裏から出た先はどうやら大通りのような広い道になっており、たくさん人々が行き交っていた。そして日本語どころか英語ですらない訳の分からない言葉があちらこちらから飛び交っており頭が痛くなりそうだった。


 裕二は急いで路地裏に戻り翻訳アプリを起動させてもう一度路地裏から出てみる。すると先程までの訳も分からない言葉が全て日本語に聞こえるようになった。


「おっ! これで相手の言葉が聞き取れるようになった。でも僕の言葉は相手に伝わるのかな?」


 裕二はそう言いながら路地裏へ戻り荷物をリュックサックへ詰め込む。そして誰かに話しかけてみようと思い、路地裏から出て辺りを見回すと、見た感じ高校生くらいの年齢の女の子が困った顔をして立ち止まっているのが見えた。


 腰まで届く透き通るような銀髪に吸い込まれるような赤い目。そしてゴスロリドレスと思わしき服を着ている。その女の子は美しさと可愛さを両立させているのでは? とすら思える程の整った顔立ちをした、いわゆる美少女と呼べるレベルの女の子を裕二は思わず2度見してしまう。


 とりあえず裕二は話をしてみようと思ったのだが、残念なことに25歳童貞でしかもニートでもう少しすればおじさんと呼ばれる年齢である裕二は明らかに高校生くらいの年齢の女の子とうまく話せるような高等テクニックを裕二は持っていないのだ。


 他の人に話しかけたほうが楽そうだなとも思ったのだが、結局困った顔をした女の子を放っておくことができず話しかける決心をする。


「あ、あの。何か困っているようだけど、どうかしたのかな?」

「いえ、別に知らないあなたに言うほど困ったことはないわ」


 裕二は女の子に冷たくあしらわれて撃沈する。言葉が通じることはわかったが裕二はかなり大ダメージを受けた。まあこれが普通の対応だろうと裕二は自分を慰めてその場を立ち去ろうとしたとき裕二を押しのけてガラの悪い男が数人で女の子を囲む。


「やあやあお嬢ちゃん俺達とちょっと遊ばねぇか?」


 ガラの悪い連中のリーダーと思われる男が女の子に言う。周りのガラの悪い男達はケラケラと笑っていて、女の子はガラの悪い男達を睨み付けている。裕二はこのままだと自分の身が危ないと感じ女の子には悪いと思いながら急いで逃げ出そうとする。


 しかし慌て過ぎたのか足がもつれてバランスを崩してしまう。更に運の悪いことにバランスを崩し体が倒れたところでガラの悪い男達の視線が裕二の方へ集まる。


「何だてめえ? 俺たちの周りでうろついて、殴られてえのか!」


 ガラの悪い男達のリーダーと思われる男が裕二に大声で怒鳴る。それを聞いて裕二の顔がどんどん青ざめていく。周囲を通り過ぎる街の人々は心配そうに見ているだけである。とにかく何か言わないと! そう思った裕二は必死で弁解を始める。


「それは、その、走ろうとして足がもつれたり.......ですね......そのー」


 裕二がそこまで言ったとき、裕二の訳のわからない弁解を聞き飽きたのかガラの悪い男達のリーダーはめんどくさそうに言う。


「もういいわ。ごちゃごちゃうるせえしさっさと黙れ」


 そう言うとガラの悪い男達のリーダーの拳が振り上げられ真っ直ぐ裕二の顔面へと向かっていく。裕二は殴られる恐怖のなか訳もわからずに歯を食いしばって叫びながら拳を突き出す。


「うぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 だが拳に何かの感触を感じただけで裕二には殴られた感覚も痛みもなかった。裕二は恐る恐る目を開けてみると、裕二を殴っていたはずの男は裕二から10m程離れた場所で気絶している。


「へっ? 何がどうなってんの? 僕が殴られてたはずがあいつがあそこで気絶してて......あれ?」


 裕二は訳がわからず混乱してしまう。そして裕二が男の方を見ると仲間のガラの悪い男達が男を運んで逃げるところだった。一部始終を見ていた周囲の人々から裕二へ拍手が送られる。


 裕二はこういうときどう対応すればいいのかわからなかったため、とりあえず立ち上がり愛想笑いを浮かべてその場を切り抜ける。そして人々がいなくなった頃、女の子がこちらへ駆け寄ってきた。


「さっきは助けてくれてありがとう。あなた見た目に寄らず強いのね」


 女の子は裕二に礼を言って頭を下げる。とりあえず「どういたしまして」と裕二は言葉を返す。そこで裕二は女の子が何か困っていたことを思い出す。だがまた先程の様に警戒されるのは困るので自己紹介することから始めることにした。


「僕は山野裕二。職業はまあ旅人かな」


 裕二は自分の事を女の子に伝える。職業は本当は無職だが無職と言いたくないので旅人と名乗っておくことにした。別に嘘をついているわけではないので問題はないだろう。


 女の子は裕二の自己紹介を聞いてから下を向き何かを考え始めた。裕二はどうしたのかな? と思いながら待っていると女の子が顔を上げて言った。


「私はリオ・レグネス・ノーグランドよ。リオと呼んで」


 どうやら目の前の女の子、リオは裕二に自分の名前を教えてもよいのか考えていたようだ。


「それでリオは何で困っていたの?」


 裕二はリオに困っていた理由を聞く。


「実は妹を探しているのだけど見つからないのよ」


 リオは少ししょんぼりした様子で裕二に困っている理由を話した。裕二はリオを助けようか一瞬迷ったが、そもそも困っているのが放っておけなくて声をかけたのだから助けるべきだと考え裕二はリオに言った。


「僕でよければ妹さんを探すの手伝うよ」

「でも先程助けてもらったのに更に妹を探してもらうなんてことまでは頼めないわ」


 リオは裕二に遠慮して裕二の提案を断る。だが裕二はそのまま引き下がる気にはなれずリオに言った。


「それなら僕は勝手にリオの妹を探す。これなら問題ないと思うけど」


 するとリオはクスっと笑って言った。


「あなたってかなり強情な人なのね。それでは助けてもらったばかりなのに申し訳ないのだけど妹を探すのを手伝って。お願いできるかしら?」

「もちろん! よろしくリオ」


 裕二は快くリオの依頼を引き受ける。


 とりあえずリオの妹の特徴を知らないと話にならないなと裕二は考え歩きながらリオの妹の特徴を聞く。


「それでリオの妹の特徴ってどんな感じなの?」

「髪は金髪のツインテール、そして目の色が黒と金色のオッドアイよ」


 リオは裕二に主な妹の特徴について説明する。その説明を聞く中で裕二はある疑問を抱き口に出す。


「リオと妹さんは姉妹なのに目の色が全然違うの?」

「私と妹は母親が違うのよ」


 リオは裕二の質問に先程までと同じように答える。裕二は思い切り地雷を踏んだと思いすぐに謝る。


「ごめん。僕が無神経だったよ」

「いいのよ。今では大して気にしていないわ」


 リオは裕二に優しく答える。





 それから裕二達は街の様々な場所を探し回った。やはりリオや裕二の服装は中々に目立つようで様々な人の目線が裕二達に向けられた。人に見られるのがかなり苦手な裕二にはかなりきつかった。

 結局日が暮れるまでリオの妹は見つからず、日が暮れた後に探すのは困難だと判断した裕二は


「今日はもう暗いし探すのはまた明日にして食事にしないか?」


と、リオに提案する。


「ええ、そうね。確かに夜に探すのは効率が悪いわ。それに酒場に行けば情報が集まるし、もしかしたら妹も酒場にいる可能性は高いわ」


 リオも裕二の意見に賛成する。裕二はやっぱりどこの世界でも情報は酒場に集まるものなんだなと思いながらリオと共に夜の灯りのついた街を歩き酒場へ向かう。


 そして裕二は同時にリオを見ながら、頭はいいしゴスロリドレスとか着てるけどリオって一体何者なんだろうと考えていた。

どうでしたか?次回は新たな女の子の登場回にしようと思ってます。

よければ次回も読んでいただけると嬉しいです。

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