01-01 現状確認の話し
昨日、日曜分の投稿が諸事情で出来なかったので、1日遅れですがアップします。
次話は予定通り、水曜投稿予定となります。
僕がこの世界に召還されたのは、この世界でも朝だったらしい。
登校中に異世界召還されたから、当然元の世界でも朝だったんだけど、元の世界と時間経過が同じかどうかは分からない。
そもそもこの世界は、一日が二十六時間だし、そもそもその一時間が、元の世界の一時間と同じかも分からない。しかも一時間単位じゃ無くて、二時間位で一刻っていう単位。
町や都では二刻毎に鐘が鳴る--朝の四時くらいから夜の八時くらいの、一から五の鐘があるらしい--って事で、その鐘が鳴る間隔から、何となくそのくらいだと思っただけだしなあ。
てか、この世界には魔道具として、半刻--つまり一時間くらい--毎が分かる時計みたいのはあるらしいんだけど、殆どの人はそんなの持ってないから、鐘の音と太陽の位置で時間を知るしか無い。その単位が四時間毎なんだよね。
そんなので平気なのかとも思ったけど、そもそも一の鐘が起床時間、二の鐘が店とかの始業時間で、三の鐘が昼の始まりで、四の鐘が一般的な店とかの終業時間であり、五の鐘がその日の終わりで寝る時間って感じで、大体の合図目的でしか無いらしい。
日が昇り、明るくなり始める頃に起き、日が沈むから暗くなるって事で家に帰る。それこそ農家とかだと、店とかの開業時間である二の鐘が鳴る前にはもう、仕事を始めてるのが当たり前だし、終業時間の四の鐘が鳴る頃にはもう、家に帰って食事も終えてたりするんだとか。
太陽の位置や周囲の明るさで大体分かるから、正確に時間が分からなくても関係無いんだろうなあ。
一応各鐘が鳴る時間の間、つまりは一刻--つまり二時間くらい--毎に、半鐘って言う小さな鐘が鳴るんだけど、音が小さくて、村や小さな町ならともかくとしても、大きな町や都では半鐘の音は、中心部周辺じゃないと聞こえないんだって。
そんなんでも区切りとかには使えるから、この世界の生活だと十分らしい。
それで、一月は百三十五日なんだけど、一年は四月で五百四十一日と一日多い。この多い一日が年始めの日で、この世界では全ての人が、その日に一つ歳を取るんだとか。
季節は一応暖季、暑季、涼季、寒季の四季に分かれてるんだけど、それがそのまま一月なんだよね。
週っていう小分類は無いし、時間にしろ日にしろ、かなり大雑把というか、大体な感じで成立するのがこの世界なんだなあって思った。まあ、この世界の人達がそれで良いみたいだから、僕がどう思おうと関係無いんだけど。
とにかくまあ、僕は世界神の巫女であるニアから話しを色々聞いたりして、暫くしてからやって来たブラント司教っていう人に鑑定石と、伝承の書って言う魔道具を渡された。
ブラント司教は、僕が召還された此処、教会施設の責任者らしい。
司教って、教会内で五人しか居ないらしいから、かなりのお偉いさんになるんだと思うけど、会ってみると見た目も雰囲気も、優しい初老の男の人--おじさんと言うには年を取っていそうだけど、お爺さんと言う程でも無いっていう感じ--だった。
そのブラント司教から受け取った一方の鑑定石は、ニアが言ってた様に、所謂ステータスを見る事が出来る様にする、と言うより、ステータスを記録させるカードを作る事が出来る魔道具だとか。
簡単に言えば、最初にこの魔道具を使う場合は、この世界での身分証明にもなるカードが作られ、そうじゃ無い場合はそのカード情報を更新するのだそうだ。
カード自体は、この魔道具が集めた魔力で作られるらしくて、そういう意味でも材質不明な代物なんだよね。
カード自体の大きさは、実際の寸法は分からないけども、大体名刺とか銀行とかのカードと同じくらい。色は銀色の半透明っていう感じで、触った感じでは樹脂とも金属ともつかない、本当に材質が不明。
このカードに記録されたステータスが表示されるんだけど、この表示内容は通常時、最低限に絞れる。
●リク=サンエ
性別:男
年齢:十五歳
種族:神聖種現神族
身分:自由民
職業:
適正:全般
魔力値:八百万四千
称号:勇者
世界神を越えし者
賞罰:
備考:最高神格
世界神の寵愛
受肉制限状態
僕の場合、これが記録されたステータスなんだけど、このカードに魔力を通すと名前、身分、職業、賞罰以外は表示されなくなる。
最低限の表示状態となっているカードに魔力を流している間は、非表示になっているステータスが表示されるんだけど、このカードに通す魔力自体は、カードを作る時に魔道具に触れていた人の、つまりは本人の魔力じゃないと、銀色から赤にカードの色が変わる。
ちなみに、魔力を通さなくても他人が持つと、カード自体は薄い赤に変わる。どちらにしても、色が変わったカードは、本人が手にするまで銀色に戻らないから、色の変わったカードを身分証明として使おうとすると罪になるし、薄い赤ならともかく、赤く変わったカードは持っているだけで重罪になるんだとか。
つまりはまあ、そのカードが本人の物かどうかが直ぐに分かる訳だし、赤く変わったって事は、他人のステータスを覗き見しようとしたって事になる訳だね。そりゃ、身分証明に使われるよなあ。
それにしても、種族とか称号とか、備考もだけど、何か色々問題あり過ぎる。
通常表示されない部分ばかりだから良いけどさあ、こんなのを見たら、誰だって騒ぐだろうし。
魔力値は無茶苦茶だよなあ。
まあ良いや。これに文句言ってもどうしようも無いのは変わらないんだし、最初からチェックして行こう。
名前と性別、年齢は問題無し。あっても困るけど。
種族・・・神聖種とか現神族って何? って話しなんだけど、実は既に、その答えを僕は得ているんだよね。
ブラント司教から受け取った、もう一つの魔道具である伝承の書。これに全ての答えが入っていたんだ。いや、入っていたって言うのとは違うかな、ニアが言っていた様に『知を得る手段』がそこにあったんだ。
伝承の書については、順番にチェックして行くとして、鑑定石と伝承の書、そして鑑定石で作った僕のカードを手にした事で、僕は明らかにおかしい能力・・・能力で良いのか分からないけどまあ、そういうのを知る事になった。
どうやら僕には、触れた物の本質? 性質かも? まあそういうものが分かる能力が与えられているらしい。
うんこれ、絶対世界神とかいうのの仕業だよなあ。
2016,10/17 19:05 サブタイトル着け忘れの為、更新しました。