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「え~っと、『身も心も捧げ』とか聞こえたんだけど」


 神か、神の使い限定らしいけど、それでもこんな可愛い、しかも立場と言うか身分のある女の子に、そんな事をを言わせちゃダメでしょ。

 何その侍祭って立場は。

 けど、それは僕、あるいは生まれ育ったあの世界での感覚や認識に依ったもので、この世界では通用しないらしい事を、ニアの反応から知る事となった。


「はい、その通りですが?」

「その通りって・・・それこそニアは立場もあるし、そもそもニアみたいな年齢の女の子が、そんな事言っちゃダメでしょ!」


 まあ、年齢の問題かって言われると、そこは微妙なところだけども。


「リク様の居られた世界では、ダメだったのでしょうか?」

「あの世界と言うか、僕は僕が生まれ育った国の事くらいしか分からないけど、それでもやっぱり、立場? 役職? 良く分からないけど、そういうので自分の人生を誰かに渡すのは、多分良い事じゃ無いと思うんだ」


 『一生を掛けてお仕えする』とか言ってたしね。


「ですが私は、そもそも王家に生まれましたので、巫女の能力スキルを持って生まれなくても、国の為、あるいは王家の基盤強化や維持の為に、どなたかの処へと嫁ぐ事となったでしょうし、それが巫女の力を持ち、神の使いたるリク様のものとなるのですから、幸いと思うのですが」

「いやいや、幾ら神の使いとは言っても、ニアは未だ僕の事を知ってる訳じゃ無いし、そもそもニアにとって、僕が相応しいか分からないでしょ」

「知らないお相手の元に嫁ぐ事は、貴族家や王家に生まれた女子であれば、珍しい事でもありません。

 男子であっても、婚姻を結ぶまで知らいお相手を娶る場合もありますし、後継で無ければ、知らない相手の元に婿入りする場合もありますので」


 うわ~、貴族や王族ってキッツい。

 確か政略結婚だ何だって、小説とかでもネタとしてはあったけど、実際にはあの世界の人、しかも殆どが、一般人が書いてた筈だからなあ。こうして、そういう立場に実際生まれた人から、それがどうした的な表情で反応されると、何か僕の方がおかしい様に思えるんだけど。

 立場があると、その分自由も無いんだね。僕にはそんなの無理だなあ。

 そういう環境で生まれて、それが当然な環境で育つと、疑問にさえ思わなくなるのかもだね。

 ただなあ・・・僕的にはニアは可愛いし、そんな子に仕えるとか言われると、そりゃ年頃な訳だし、ラッキーとか考えちゃう部分もあるんだけど、それじゃあダメだよなあ。

 ・・・ダメなのか? この世界ではむしろこの考えの方がおかしいのかも知れないし、う~ん。


「あ、勿論リク様が、私の事を望まれないのであれば、他の女性を本妻とされ、私の事は侍祭として、どの様に扱われても問題ありませんので」


 問題有りすぎるでしょうが!

 とは言えあれかあ。神に身も心も捧げ、一生聖職者として生きるって事も、宗教によってはあったみたいだし、そう考えるとおかしくも無いのかな?

 だからって、一生僕に仕えるとかいうニアを放置して、他の人を相手に? 無理無理。

 ニアの事は、未だ短い時間分しか知らないけど、それでも雰囲気や態度とかからも、かなり良い子だと思う。流石に本性とかが分かる程、僕は人生経験がある訳でも無いけど、それでも何となくは分かる。

 それに、こう言っちゃうとあれだけど、ニアは神に仕える立場だから、神の使い扱いな僕に対して、それこそ取り入ろうとかそういう目的での事じゃ無いと思うし。


「ええと、侍祭って言うのはつまり、結婚相手みたいなものなのかな?」

「そうですね、妻でも妾でも、侍女でも、奴隷の様にでも、お仕えする相手の、お心次第というところでしょうか」


 妻は多分、元の世界と変わらないよな。妾は・・・愛人とかそんな感じか? で、侍女は使用人の事だよな確か。ああでも、その手の物語だと、使用人を手付けになんてのもって、僕は何を考えてるんだか。

 で、奴隷はもう、そのままだろうし。

 ニアを相手に・・・ってか、ニア以外でも僕には、結婚相手以外は無理だ。僕が精神的に保たないし、何か罪悪感を感じる。

 使用人みたいになら、手を出さなきゃ良いんだって言えるのは、それこそそういう人が居る環境で育った人くらいだろう。僕は一般人だから、身内でもないのに身の回りの事をして貰うってだけで、落ち着かないのは確実だからなあ。


「その侍祭になるっていうのは、絶対的な決まり事なのかな?」

「神託で示された訳ではありませんので、絶対的では無いですが・・・リク様は私の事がご不要なのでしょうか?」


 いやそんな、今にも泣き出しそうな潤んだ目で、しかも上目遣いでそんな事、言わなくても良いじゃないか。

 正直、そんな姿も可愛い・・・じゃ無くてそれこそ、此処で拒絶出来る精神力を持ってるなら、僕はもっと上手く生きる事が出来るだろうね。

 つまり負け確実。僕はそんなに強くないんです。


 それにしたってさあ、異世界召還、神の使いたる勇者、そして僕に一生仕えるニアの存在・・・今日これまでだけで、どれだけ急変動してるんだよ僕の人生。

 どうしてこうなった? って・・・全部この世界の世界神の所為じゃないかっ!

 ニアには悪いけど、もし可能なら最低でも一発、世界神をぶん殴ってやる。

これで序章は終了です。次回(日曜投降予定分)からは第一章となります。

この投降に続き、序章の設定まとめを投稿します。

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