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02-03 謁見?の話し

 さあトラブルか? 何て思ったんだけれども、そこは流石エリート騎士ってところだろうか。


「捕縛!」


 僕達の前を行ってた騎士の片方が、そう声を挙げた瞬間に、後ろの騎士の片方が前へと出て来て、前面の護りが三人に。そして周囲で跪いていた中から騎士達--マントの色は黒。これは一般近衛騎士の印だそうだ--が飛び出して来て、前から来たバカ改め、侯爵家嫡子とやらを取り囲んだ。その内二人がその侯爵家嫡子の両腕を押さえ、それ以外の騎士達は、剣の柄に手を添えていた。

 近衛はお城の守護担当だから、本来ならここで剣を抜いて突き付けるらしいんだけど、勇者である僕や、侍祭の服を着ている--つまりは第一王女の--ニアの前だから、ギリギリまで剣を抜かない状態を維持したんだそうだ。

 『貴様等、俺様を誰だと思っている!』『侮辱罪で全員極刑だ!』等々、ギャーギャー喚く侯爵家嫡子・・・やっぱりバカで良いよね。は、両腕を押さえられたまま、引き摺られる様に通路の端へと連れて行かれると、その場で床に押し付けられた。連れなのか一緒に居た二人も、他の騎士によって通路の端へと連れて行かれると、騎士達共々跪いた。

 それを確認した、僕達を案内していた騎士達は、まるで何も無かったかの様に進み出したから、僕も若干ニアに促される感じで歩き出す。

 その場には、それでも叫び続けてるバカの声が響いていたけど、周囲に居た人達は、騎士じゃない人でさえ全く動かなかったのは凄いなあと思った。


 てかさあ、王族直衛の近衛騎士が、奉剣状態で案内してる相手に『道を空けろ!』ってのはどうなんだろうねえ。

 あのバカも侯爵家の嫡子って事は、それなりに教育を受けたりして、この状況もある程度理解出来るものじゃないのかね? 結局はバカだって事なのかね。

 まあ、そんな一寸した騒ぎはあったけど、他は単に僕にとって気まずいと言うか、精神的にキツい時間だけが過ぎ、お城に入ってから十分くらい歩いた辺りで、何か豪華な一角に至った。

 てか、流石にお城っていうのは広いんだねえって感じだよ。

 とは言え奥に進めば進む程、通路の端に急いで移動して跪く人の数も減って行って、僕の精神的負担が減ったのは助かった。

 そして行き着いたのは、明らかにこれまでの通路にあったドアとは異なる、豪華なドアが幾つかある一角だった。その一番奥、ドアの両脇にやっぱり臙脂色のマントを羽織った騎士二人が立つところへと、僕は連れて行かれたんだ。


「御使い様、エウジェーニア侍祭様、ご来着に御座います」


 ドアの横に居た騎士の一方が、ドア横に小さく付けられた扉? をノックすると、その小さな扉が軽く開いた。そこに向かって騎士がそう声を掛けると、間も無く中からドアが開く。それとほぼ同時に、僕達を案内して来た騎士四人が通路左右の端によって跪き、ドアの横に居た騎士二人も、同じ様に通路の端へと素早く移動して跪いた。

 うんまあ、此処に来るまでもその手の態度は見せられたから、今更驚かないよ。嘘です一寸驚きましたが何か?

 てか御使いって・・・ああ、神の使い扱いだからですか、そうですか。


 ドアを中から開けたのは、執事風の格好をしたお爺さん・・・なのかな。見た感じ顔とかは、それなりに年を取っていそうなんだけども、背筋は伸びていて、どうも年を取ってる感じもしない。

 仕事柄鍛えてるって事なのかも知れないけどね。

 その人も、ドアを開けた後、音も無くスッと身を脇に寄せると、やっぱり跪いて微動だにしなくなった。

 此処に来るまでもそうだったけどさ、あのバカ一行以外は、目にした人達の動きがとにかく徹底してるんだよ。礼儀とか正式な作法とか知らない僕としては、本当に精神的にキツいんですよ。


『リク様は最上では無く、至上の存在です。

 礼儀等を気になさる必要はありませんよ』


 うん、ニア。そういう事でも無いんだよ。

 まあやれって言われても、指示出されないと無理だけどさあ。


『むしろリク様は、常に堂々として頂けていれば、それで良いのです』


 それがすんなり出来るなら、こうして精神的に負担を負ってないんだけどね。


 ニアに促されたから、僕は開けられたドアから部屋へと入る。

 すると、スッと動く気配がすると、静かにドアが閉まる音が聞こえた。固有魔力波を感知する、あの気配察知で探ってみると、どうやら、ドアを開けた執事風の人が部屋から出て、ドアを閉じたらしい。

 部屋の中には、いかにも的な格好をした、多分王様だと思う人が跪いていた。

 ええっと、王様を跪かせていいのかねえ?


『では、起立を許可致しますね』

『うん。てかこの部屋には僕達以外居ないみたいだしさ、もっと気楽にして貰えると嬉しいかなあ』


 直接声掛けしちゃいけないってのも、結構厳しいよね。


「お許しが下りました。

 起立を許します。また、これより必要以上に畏まる必要は無いとの仰せです」

「はっ。御使い様よりの格別なる御厚情、確かにお受け致しました」


 そう言うと王様--多分--は立ち上がった。

 うん、二人共硬いよ。


『リク様、少しお時間を頂きますね』


 はいよ~。とくらいしか言えない。

 基本的にお任せ一択だから、一々確認しなくて良いよとニアに伝える。前以て言ってはおいたんだけどねえ。


「父王陛下、ご無沙汰しております」


 そう言ってニアは仮面を取った。当然仮面の影響で白金色になってた髪色も亜麻色に戻る。

 そんなニアの態度に、王様--やっぱり王様だった--は戸惑った感じで、若干こっちを見る様な態度を取る。


「大丈夫です。リク様、勇者様は元の世界では一般民であったとの事で、あまり堅苦しい態度では、むしろ礼を失するかと」

「お、おお、そうか。

 だが、とにかく先ずは、御使い様にお座り頂くべきであろう」


 王様に示されて、部屋の中央辺りに置かれたソファーに移動し、僕は腰を下ろした。

 ・・・何で座ったのが僕だけで、ニアと王様は立ったままなのかな?


『父王は未だ、自らを紹介しておりません。それに私は侍祭、リク様の従者の扱いですので』

『そういうの、公式の場ならともかく、此処ではもう良いでしょ。座ってやろうよ。

 正直既に、かなり疲れたよ』


 そんなやり取りを幾つか挟み、やっとニアが僕の横に、王様が向かいに腰を降ろしてくれた。

 あ~面倒くさい。

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