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02-02 登城時の話し

 僕とニアの周りには前と後ろに二人ずつ、格好からすると多分騎士とかだと思う人達が挟む様に居る。

 その格好は兜こそ被ってないけど、金属性だと思う、綺麗に磨かれた全身鎧で身を固めていて、その上から臙脂色のマントを羽織っている。

 手にした剣は真っ直ぐと胸の辺りから真上に向けて、立てて持った状態なんだけど、何故か柄じゃ無くて、鞘を持った状態。つまりは持つ部分の柄を、上に上げてる状態だったりする。

 ニアにこっそり聞いた--ニアは僕の侍祭になったから、巫女時代の神託と同じで、僕との間だと遠話、つまり思った状態で意思を交わせる様になっていたんだ。これの扱いに慣れる為に、昨日近場の依頼を受けた部分もある--ところ、直ぐに剣を抜けない状態、つまりはそれだけ上位に対する扱いを示してる。更には、この状態を奉剣って言うらしいんだけど、要は神に対して剣を奉じ、その時の自分の身を全て委ねるっていう意味を持つらしい。

 しかも僕は、佩剣はいけんしたままだから、何か不備があれば、切り付けられても文句が無いって事も示してるんだとか。

 不備があったら切り付けるって、ナニソレな感じではあるんだけどさあ、ニアによるとその掲げてる剣の柄を僕が持って、そのまま鞘から抜いて切り付けたとしても、奉剣状態の騎士は避ける事さえ許されないんだとか。

 ほんと、ナニソレだよねえ。

 それにさあ、神に対するって・・・まあ確かに現神だけどさあ。正直落ち着かない。

 ちなみにマントの臙脂色は近衛騎士、しかも王族直衛の上級騎士を示すらしい。要は騎士の中でもエリート中のエリートになるんだとか。

 そんな人達だけど、やっぱり僕の方をなるべく視線に入れない様に、特に後ろに付いている人達は軽く頭を垂れて、僕の姿から視線を逸らしてる。

 神ってそこまでしないといけないのかね。 信仰心がどうなの? が多かった元の国に慣れてるから、姿さえ目にするのが不敬とかさあ、正直その辺り疑問なんだよねえ。


 そもそも騎士になると、一代限りの当代貴族になるけども、騎士爵を得るんだとか。それが近衛騎士になると男爵位、王家直衛になると子爵位を得るらしい。

 勿論それよりも上の位を得る人も居るんだけど、最低限でもそれだけの功績とかを示した人達になるらしいから、そんな人達がこうして、前後を守った状態--前後二人ずつなのは、左右へも直ぐに対応出来る様にって事らしい--で案内されるってのはさ、当然お城の中に居る人達の目にも映る訳で、通りがかった人とかもそうだけど、一寸離れたところに居る人でさえ、一々足を止めて床に片膝を着き、頭を下げて、僕達が通り過ぎるまでそのままなんだよ。

 ハッキリ言って、居辛い!

 何これ、正直精神的にキツイんですけど。


 ちなみにこの状態って、精霊以上--実際には下級精霊だと、ほとんど生物としての形を成してないから、中級精霊以上になるらしいけども--相手での対応で、他国も含めて王様に対してさえ、ここまでしないらしい。

 こういうのってさあ、ある意味いじめだと思う訳ですよ。他人に傅かれて喜ぶ様な性格の人ならともかくだけど、むしろそんなのはどうかしてる部類の人だと思うんだよねえ。


『リク様、我慢して下さい。

 私達人如きにとっては、リク様は文字通り天上、上位の存在なのですから』


 まあねえ。信仰心も深いみたいだし、こうなるのも分からなくは無いけどさあ、実際にやられてみると、ここまでとは思ってなかったんだよねえ。

 とは言え今の僕は、それこそ神の立場だから、直接声を掛けるというか、声を出すのもマズいらしいし、仮面も被ってるから、傍から見れば平然としてる様に見えるかもだけどさ。・・・見えるよね? オロオロしてるのが分かってたりしないよね。


 そんな感じで、速攻で精神的疲労を感じつつ、案内されるままに奥へと進む。

 お城自体には入口が幾つもあるらしいんだけど、その中でも僕を迎えに来た馬車が着いたのは、上位階級の人達が使うところだったらしくて、擦れ違ったり姿が見えるのは、近衛騎士や官吏、伯爵以上の上位貴族にその身内やお付きの人達で、使用人っぽい格好をした人達にしても、行儀見習いで城付きになってる貴族家の子女になるらしい。

 いかにも執事バトラー侍女メイドって格好をした人達だから、それが行儀見習いでやってる貴族家の子達だとは思わなかったんだけど、実際にはむしろ、上級貴族家の長男や長女、次男次女くらいの、つまりはその家の時代に影響が大きい子供程、こうして使用人や付き人として経験を積むんだそうだ。

 勿論文字通り、行儀見習いとしての意味もあるけど、他家との交流であったり、見聞を広める目的もあるらしい。


 この世界では、極一部を除いて学校みたいな教育機関は存在しないらしい。

 平民の多くは親や、周囲の大人達、そして生活の中で物事を学ぶ程度だし、それ以外の場合でも、教会施設で文字や、簡単な算数程度--足し算引き算程度の様だ--を学ぶ。

 これが貴族家になると、家庭教師的に雇ったり、使用人に適正のある人を用意して、子供に教育を受けさせる感じになるんだとか。

 ちなみに学校に当たる学舎は、大国を中心にあるけれど、その学舎も基本的には上級軍人や騎士を育てる騎士学舎や、官吏を育てる分子学舎で、貴族の教育となると各家で行うか、こうして行儀見習いとして、現場で学んで行く事になるんだそうだ。

 後は、探索者ギルドが探索者学舎を持つらしいけど、これはあまり上手く機能してないらしい。

 だからまあ、真面目に学んでる貴族家の子女はともかくとしても、中にはやっぱりバカが出て来る事になる訳で。


「巫山戯るな、俺様を一体誰だと思っているんだ! エスコフィエ侯爵家嫡子だぞ。

 何故侯爵家嫡子である俺様が、足を止めなければならないのだ!」


 進む先から、そんな声が大きく聞こえた時点で、僕は溜息を隠す事が出来なかった。

 自分の立場をひけらかし、その立場で全てが許されるかの様に振る舞うバカ。そんなのは元の世界で、あの国で、嫌と言う程見せつけられたし、そんな奴等に奪われた。

 結局人なんて、世界が変わっても変わらないものなのかも知れないなあ。


 そんな事を何となく考えてると、前を行く騎士の脚が止まった。


「何だ貴様等、その仮面を被った怪しげな連中は何だ?

 それよりも、俺様の前だぞ、道を空けろ!」


 ああ、何か先刻聞こえたバカの声がするんだけど・・・。

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