01-29 ギルド報告の話し
色々試した結果と言うか、それによる副産物?
ゴブリン:五十三体。
グラスウルフ:十体。
フォレストウルフ:三十七体。
アメーバ:十一体。
コボルト:二十九体。
一角兎:三十八体。
角兎:十三体。
一夜草:五十本。
木草:三十本。
花菜草:十二本。
ヒトヨソウは、根を残しておけば一夜の内に葉が伸びる程の生命力を持つ薬草で、主に魔術薬の治癒薬の材料になる。治癒薬は軽い毒性や麻痺といった、体調が狂う症状を、体の治癒力を高める事で改善する薬らしい。
ただし、あくまでも軽い症状を緩和する程度のもので、毒草に触れたりして起きる症状程度なら効果はあるけど、魔物等による毒や麻痺といった相応の症状になると、専用の毒消し薬や抗麻痺薬が必要になる。
コノクサは、見た目が小さな木の様な姿をした薬草で、主に治療薬の材料になる。治療薬はその効き目によって五段階に分かれているけど、コノクサを使って作れるのは下から二番目のⅣ級治療薬迄らしい。
Ⅳ級やⅤ級では、簡単な切り傷や擦り傷はあっという間に治るけれど、それこそ剣で切られたりとかでの深い傷は、相応に上の治癒薬を必要とするんだそうだ。
ハナナグサは、広く厚みのある葉が重なって、花の様に見える薬草で、魔力回復薬の材料になる。
とは言っても三段階ある内の、下級魔力回復薬の材料だ。
まあ、採ってきた三種類共に、都の直ぐ近くで採れる様な薬草だから、そんなに効果の高い物な訳も無いけどね。
それ以外の魔物は、要は魔法とか剣とかで色々と、戦い方も含めて試した結果斃した魔物の物だ。勿論僕だけじゃ無くて、ニアが斃したのも含むけどね。
それぞれの討伐部位や、売れる素材部分も当然集めて来たんだけど、僕とニアのカードは、都を出る前に探索者ギルドで作った鑑定石で更新してあった。要は討伐記録がちゃんと機能するのかを試したいからっていう、ラルフさんからの依頼を受けてのものになる。
都に戻り、先ず探索者ギルドへと寄って確認、それと持ち込んだ素材等との比較では、持ち込んだ素材とかが若干少なかった。その理由は単純で、討伐部位とかも原形を留めずとか、素材が採れる状態じゃ無く、なんていう倒し方をしちゃった分があるからだ。
主に僕が、魔法の制御に慣れてないのと、ニアが四晶樹の杖の扱いに慣れていなかったのが理由だけども。
それでも魔石は問題無く回収出来たから、カードに記録された討伐数と、実際の討伐数がちゃんと同じになる事は確認出来た。
魔石とか魔晶とかは、物理的ダメージだと壊せるらしいけど--それでも相当なダメージが必要らしい--、魔術だと、どんな大規模魔術でも破壊出来ないらしいから、その辺りは助かった感じになる。・・・分解で出来る魔素還元使うと、多分破壊というか消滅可能なんだけど、その辺りは混乱させかねないから黙っておいたのは内緒だ。
実際には転移石とかの、使い捨て魔道具だと、内部の魔力を一気に解き放つと同時に、魔石は粉々になるらしいから、魔術で破壊出来ないって言うのも、その魔術規模と言うか威力の問題だとも思うんだけどね。
「それにしても、登録したその日の成果がこれ程とはなあ」
どこかラルフさんは呆れた感じだ。分からなくも無いけどね。
通常登録して暫くは、戦闘力があっても慣れとかの問題で、そうそう討伐数を稼げる訳でも無いらしいし。
僕の場合も、探索者として動く事を考えてだったら、今日はそんなに成果を上げられなかったと思うしねえ。
探索者としての動き、それを意識するならそれこそ、魔物の動向とか、素材をなるべく無駄にしない倒し方、周囲への影響を考えたりとか、注意するべきところが違って来るけども、今日の目的は僕が何処まで戦えるか、そもそも戦えるのか、そしてニアはどうなのかっていうのの確認だったし。
それにやっぱり、最初に気が付いたゴブリンの気配、後々になってそれが、固有魔力波を感知した結果だって分かったけど、あれが卑怯過ぎなんだよなあ。
カイで確認もしたけど、軍の諜報とか斥候みたいな、謂わば専門に鍛えてる人でさえ、自分を中心に周囲五十メートル分かればかなり良い方みたいだけど、その為にはそこに意識を集中しないといけないらしい。つまり常時察知しながら動くなんて無理っぽいけど、僕の場合はこの体なのか、あるいは上位種としてのスペックなのか知らないけど、そこに気が付いた後は、むしろ常時察知してる事に気が付いたし。
範囲は、意識すればどうなのか分からないけど、無意識でも百メートル以上は分かるみたいだし、目で見たり、音を聞いたりと同じで、察知してるけど気にしてなければスルー出来るっぽい感じだしなあ。
だから、魔物は何処かなあって探す方に意識を向ければ、察知範囲の魔物が分かる。それは人や薬草も同じで、知らない魔力波の対象は、僕にとって分からない訳だから何か居る、何かあるって感じにしか分からないんだけども、一度種族とかの固有波長を理解すれば、後はその種が何処に居るか、何処にあるか分かるんだよなあ。
そりゃ、数も稼げるよ。
「流石、と言うべきなのかね」
「どうなのかなあ。要は此の都近くで、魔物のランクも低いし、探索者ランク相応だったんじゃ無いかな」
一応、銀ランク探索者な訳だしねえ。
そんな事をラルフさんと話していると、部屋のドアがノックされて、カルラさんが入って来た。
「お二人のカード更新が、これまでの鑑定石で問題無い事を確認しました」
僕が試作した鑑定石で更新すると、記録表示された討伐記録はクリアされる事も事前に確認済みだから、討伐数の誤魔化しが出来ない事も実証出来た。その後、報酬を取りに行くついでにカルラさんが、これまでの鑑定石で更新して来た訳だ。
返してくれたカードを確認すると、追加表記されてた欄は消えて、これまでのカード状態に戻っていた。互換性も問題無い様だ。
「十分過ぎる結果だな。
さて、これが今回の常設依頼報酬と、素材売却金だ。で、こっちが今回の、指名依頼報酬になるから、確認してくれ」
トレイに載せられた硬貨の山二つ。
ラルフさんが言う程の数をこなしても、その横にある指名依頼報酬の方が明らかに高いのは、銀色に光る硬貨の数で直ぐ分かる。
やっぱり低いランクの魔物や、常設依頼での採集っていう、低ランク冒険者でも達成可能な依頼内容では、稼ぎは良くないらしい。
ついで程度での、手間が掛かっていない討伐記録テストでさえ、銀ランク探索者への依頼ってだけで、確実に報酬が上なんだから。




