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01-20 改造鑑定石の話し

 大晦日という事で、当然今年最後の投稿となります。

 次投稿も通常通り、三が日明けの4日か5日の予定です。

「それじゃあこいつで頼めるか?」


 ラルフさんから渡されたのは、鑑定石だった。何でもこのギルド支部で予備として用意してある物らしい。

 ちなみに、素材がある場合は、神力を使って作っても、創り出す訳では無いから神器級にはならずに済むらしい事は、カイに確認済みだ。鑑定石は魔術回路を魔石その物じゃ無くて、土台部分に刻んでいるから、魔石はそのまま流用可能って事で出来る手段になる。


 カイに教えられた通りにイメージを固め、魔力--僕の場合は神力になるけど--を流すと、鑑定石の土台の様になっている部分が微かに発光し、暫くするとその光が消えた。

 やった事は内部に刻まれた魔力回路を一旦消し、カイに教えられた魔力回路を刻み直す事だ。

 魔力回路って言うのは、要は魔術を発動する際に一瞬現れる、その魔術を示す模様、魔法陣の様なもので、それを魔力によって刻みつける事で、魔道具を使う為に魔力を流すとその回路が活性化して、目的の魔術が発動する仕組みらしい。

 この世界にある魔道具っていうのは、そうやって作られるらしい。ただ、魔石自体がその魔術に見合うだけの性質を持っていなければいけないし、それ以前に一瞬しか現れない魔力回路を把握しないといけないから、一から作り出す事はかなり難しい。だから基本的には、迷宮から得たり、大昔から残っている魔道具を解析する事で、そのコピー品が何とか作れている程度なんだとか。

 そんなコピー品ですら、完全に回路が把握し切れていない為か、性能が劣化した状態だとか、作ってみても動作しないなんて事が多いらしいんだけどね。


○鑑定石

 ランク:レア級

 素材:貴鉄鋼・精霊ミスリル銀・金ランク魔石

 不明情報を得られる。

 扱う存在に依り、得られる情報に制限有。


 少なくても、得られる情報からは問題無く出来たっぽいんだけど、さて。

 ちなみに、元の鑑定石はこうだった。


○鑑定石

 ランク:特質スペシャル

 素材:貴鉄鋼・精霊ミスリル銀・金ランク魔石

 不明情報を得られる。

 扱う存在に依り、得られる情報に制限有。

 不完全により、機能の一部に動作不良有。


 不良品使ってた様なものだと思うんだよ。

 多分だけど、魔力回路が不完全で、十分に機能してなかったんだろうね。そんなんでもこれまで便利に使われてた事を考えれば、この世界での現状、魔道具の水準とかが何か分かる気がする。

 勿論そんな事には触れないし、一々教えないよ。そんな事して変に目立って、都合良く使われたく無いしね。


「これで完成っと」

「おお、試してみても?」

「勿論試して貰わないと、作った意味は無いから。

 ああ、その前に、先ずは探索者ギルドでの使用をイメージ、ええっと、先刻言った表示の事を頭に思い浮かべた状態で魔力を流さないと、未だ起動状態に成ってないから」


 一応先刻、その辺りの事も話したんだけどなあ。まあ、脳筋さんみたいだし、仕方無いか。

 鑑定石の事はとりあえず任せて、僕は一緒に用意して貰った皮紙に、刻み込む魔力回路を書き出す。

 この魔力回路さえ分かれば、後は僕じゃなくても作れる様になるし、これを使うのかどうかについては、それこそギルドとかの判断になるんだろうし。・・・いや、身分証とかにも使われてるから、どこかの国の判断?

 う~ん、良く分からないし、正直どうでも良いや。


 その後、ラルフさんとカルラさんが、僕が作った鑑定石を試して、問題無が無い事を確認。書き出した魔力回路も渡した。

 もしこれが採用されたりして、一々僕が作る事になったら嫌だからなんだけど・・・もしかして逆に、利用価値アピールになったかも?

 いやでもなあ・・・何か勢いとかそんなのでやっちゃったけど、出来ないって言えば良かったのかなあ。

 勢いというか、そこまで考えなかっただけなんだけどさ。自業自得?

 ん~、まあ、いざとなったら逃げよう。


「ではこれが、魔力石の代金になる」

「え?」


 代金だって言って、ラルフさんが渡して来たのは小さな革袋。


「通常の鑑定石購入額、金貨五十枚が入ってるので確認してくれ。

 この魔力回路図については、俺の一存じゃ価値は決められないんでな。申し訳無いがギルド本部の査定を待って貰いたい」

「いやいや、材料的に使った元の鑑定石も提供してもらった訳だし」

「いや、材料持ち込みでの購入額が、通常金貨五十枚なんだ。謂わば製作費って事になるな」


 マジですか。作るだけで金貨五十枚って、正直高くね? でも、正当報酬っぽいし、僕は今文無しだからなあ。助かるって言えば助かるんだよね。

 でも、金貨五十枚って、かなり高額だよなあ。


「ああそれと、言い忘れていたんだが、勇者はエウジェーニア殿と一緒に動くんだよな」

「え、ああうん。その予定だけど」

「それじゃあ、パーティー申請もしてもらわないといけないんだ。エウジェーニア殿は未だ仮登録なんで、組んで動く場合には、正規パーティーとしてじゃないと、規定上問題でな」


 要は十才から十五才までの、年若い仮登録者を都合良く利用する様なケースが、過去にあったらしい。

 正規パーティーであれば、その場その場での使い捨て的な扱いをすれば、当然ギルドの目にも付くけど、暫定パーティー的に申請無く勝手に組んだ場合は、ギルドで把握し切れない為の対処らしい。

 経験や、未だ能力的に未発達な探索者見習いを騙して、魔物の気を引く囮として利用したり、報酬の分け前を削ったりして、不当に扱うなんていうケースは、正規パーティーであっても行われる事があるらしいけど、そういうのは、その見習いを見てると推測が付くから、大抵見つかって処罰対象になる。けどこれが暫定パーティーだと、明確な証拠が無いとやらかした探索者に処罰を与えるのが難しくなる。

 だから見習いと動く場合は、パーティー申請をギルドに提出してじゃ無いと、それだけでギルドの調査対象になるんだとか。

 勿論、緊急時とかで暫定的に、見習を助けたからとかで、一時的に組む事までは禁止されていないけどね。


「パーティー名とか、考えてないや・・・」


 正規申請の場合、パーティー名も決めないといけないのは、個々だけじゃ無くて、パーティーにもランクが付くかららしい。

 パーティーを組む事自体は、別に何の問題も無いし、一緒に動く以上は組むつもりだったけどさ、今日は未だ依頼を受けるつもりが無かったから、パーティー申請は後日で良いやと思ってたんだよね。

 う~ん、さて、どうしようかな。

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