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「ええとつまり、勇者が召喚されるかどうかは、結果が出ないと分からないんだ」

「はい。伝承では、勇者様が召還される事もあるとはなっておりましたが、これまでは神器・・・武器あるいは武具が召還され、それを用いる事が可能な者を選定し授け、魔王に対して来ましたので」


 今僕は、あの場所から移動して、何か豪華で広い部屋に案内されて、その部屋のソファーに座って、先刻さっき居た女の子に詳しい話しをされていた。

 女の子の名前はエウジェーニア=フォン=アランブル。何でも此の国、アランブル共和国の第一王女様らしい。

 年齢はもう直ぐ十五才になる十四才で、要は僕とはタメって事になるのかな? この世界の一年が、あの世界と同じかも分からないから何とも言えないんだけど。

 薄い栗色って言うのかな、黄色味と言うか赤味と言うか、その両方と言うかな、微妙な色がかった薄い茶色・・・亜麻色って言うんだったかもな髪色に、深い青緑色・・・確か碧色だったかな、そんな色の瞳を持つ、かなり可愛い女の子だ。

 その瞳の色と言うか、色の濃さが左右で違うんだけど、確かオッドアイって言うんだっけ。要は左右の瞳の色素が違うからだとか、どこかで読んだか聞いたかした記憶があるけど、この世界でも同じ理由なのかは分からない。

 ただ、僕の居た国の人種では、あまり生まれないらしいのもどこかで見聞きしたし、実際にそういう瞳を見たのも初めてだ。

 まあ、実際には分かり難い程度に違うっていう人には出会った事があるのかもだけど、分かり難い程度なら、オッドアイだって意識する事も無いしね。

 ちなみに右目の方が薄い色、と言うか透明感があるって感じ。

 で、一番気になるのが、頭の上にある三角耳なんだよね・・・。て言うか、やっぱり僕は混乱していたらしくて、少し落ち着いたのか、慣れたのかは分からないけど、今は色々周囲に意識も向けられる様になった。そこで分かったのは、この子、尻尾もあるんだよ。所謂獣人ってやつになるのかな。

 とは言っても、見た目は普通の人の頭に耳が、腰の辺りからは尻尾があるってだけで、そう生まれたんだろうから当然と言えば当然だけど、違和感が無いんだよね。

 だから気が付くのが遅れたのかも。


 まあとにかく、このニア--王女様なんだからって、エウジェーニア様って呼んだら、愛称のニアと呼んで欲しいって頼まれたんだよ。僕は神の使いである勇者だから、この世界の誰よりも偉いんだとか何とか。正直勘弁して欲しい--は、王女ってだけじゃ無く、この世界の世界神の巫女なんだとか。

 巫女って言うのは、神からの言葉、つまり神託を聞く事が出来る能力を持った人が成るらしくて、ニアはその巫女の中でも、世界神の声を聞く事が出来るらしい。

 だから、世界神による神託で魔王が生じた事を先ず知るのも、それによって救いを求める声を世界神に祈り伝えるのも、ニアの役目という事になるんだそうで、要は、あくまでもこの世界の人達は、神から魔王という存在が生まれたと知らされ、救いを求めて祈った結果、神から何か対策が贈られる、という事になるらしい。そのの一つとして、“勇者”という存在もあるという事みたいだ。


 武器や武具--要は防具--といった物が贈られる場合は、この世界の人達で対処が可能という事になる。勿論それでも、扱える人には適正か何か、条件があるみたいではあるけども。

 そうでは無く、僕みたいに勇者と喚ばれる存在が呼び出されるのは、この世界の人達では対処出来ない相手《魔王》だって事なんだろう。

 何でも、そうした事が書かれた書物--この世界では未だ、紙が作られていない様で、洗って脱毛させ、乾かし、薄く伸ばしたりと加工した動物や魔物の皮を使った皮紙がメインで、製本されておらず、単にそれらを束ねただけになる為、書物という言い方になるらしい。ちなみに木紙という、薄く削った木を紙として使う物もあるらしいけど、これらは当然丸めたり、折ったり出来ない--が在って、そこには七人目の勇者により、この世界に安寧が訪れると記されているんだとか。


 つまり、この世界の人達が望んで、異世界から召還して来るんじゃ無くて、この世界の平和とかを神に願った結果が、今回の僕みたいな召還という形になる事もある、と。

 ちなみに、僕のこの召還以前にも、魔王が生じてのこの流れは、過去に七回あったらしいんだけど、召還という形になったのは、今回が初めてらしい。つまり僕は、その伝承が確かなら、七人の勇者の内の一人目になる訳だ。


「けど、それならそれで、僕よりも戦える人は、他に居たと思うけどなあ」

「どういう理由でリク様が選ばれたのかは、お選びになった世界神様のお心ですので、私には分かりません」


 それはまあ、そうだろうと思った。

 何しろ此処には、僕を召還したその張本人と言うか、張本神? が居ないんだから。

 ああでも、小説とかでも、召還されるその本人であるべき理由って、描かれていないのは多いか。


「で、ですが、リク様が選ばれた確かな理由は、何かあるのだと思います」


 ニアと愛称で呼べって言われたから、それじゃあって事で、僕もリクで良いって言ったんだけど、どうしても様付けだけは止めてくれないんだよなあ。

 勇者って呼ばれるのもピンと来ないけど、様付けもやっぱり、何か違うんだよなあ。しかも王女様に様付けされるって、何なんだろうと思う。


「うん、まあ理由は分からなければ分からないで、それでも良いんだ。

 要はあれだよね、その魔王を斃せば良いって事なんだよね?」

「端的にはそうなのですが、正確には、もし魔王が人に対して災いを及ぼす様であれば、それを斃し、人の社会を守って頂きたいという事になります」


 ん? それはどう違うんだろう。


「魔族と呼ばれる存在は、人と魔物の間の様な存在ですが、必ずしも人にとって害を成す訳ではありません。

 そんな魔族の中で稀に、大きな魔力を内包する者が発生します。それが魔王です。

 詳しくは分かりませんが、おそらくはその魔力の大きさ故、暴走する場合があると考えられているのです。

 暴走した魔王は、その強大な力を破壊へと向けますので、大きな被害が出るのです」

 状況から、当面は日曜日と水曜日の週二回投降が出来そうです。無理な場合は日曜日のみの週一投稿となる場合があります。

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