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01-13b 収納の話し

   ---Side・エウジェーニア



疑似空間コンポーネント収納ですか・・・」

「うんそう。この世界出は現在、無間袋ストレージって言うアイテムが出回って入るみたいだけど、使い勝手が悪いよね」


 無間袋に無限箱。同じ仕様ですが、その総量が違います。

 お金一つ取っても、多く持ち歩くとどうしても嵩張ります。そこで、迷宮より得られた転送門の技術を用いて作られているというのがそれらの魔道具になります。

 簡単に言えば、持ち運べる転移門になり、特定の場所と繋げられている物です。


 無間袋は、袋と名が付いてはいますが、一枚の布に、一つの魔石が付いている見た目をしていて、繋げられている先は専用の魔術加工処理が施された木箱です。袋という名は、その布を魔石の部分で纏める事で、通常時は腰に下げる革袋といった見た目になる事からです。

 出し入れ出来る最大の大きさは、布の大きさになりますが、現在可能なサイズが成人男性二人分の両手を広げた程度で限界という事で、基本的にはその最大サイズで作られています。


 無限箱は、文字通りの木箱という見た目になっていて、その違いは上蓋を抑える部分のラッチに魔石が取り付けられているだけになります。

 出し入れ出来る最大の大きさは、上蓋を開いて入れられるサイズになり、大体ワイン樽二つ分程度と言われています。

 こちらは基本的に、専用の魔術処理が施された倉庫に繋げられていて、大規模商人や軍等で、馬車に乗せて持ち運ぶ形で使われていますが、当然入れるにしても、取り出すにしても、倉庫全体に手が届く訳では無い為、どうしてもその倉庫内に、出し入れを補佐する人員が必要となります。


 実際に持ち運ぶその大きさに収まる以上の物を移動できる事から、便利ではあるのですが、当然どちらの魔道具も相応に高価であるだけで無く、作れる術師も限られる為に、だれもが使えるという訳ではありません。

 また、袋は繋げられている木箱を置いておく場所が、箱は同様に倉庫が無ければ意味を成さない為に、本拠地を持たない探索者等では扱い難い問題点もある様です。


 そして袋は大きさ的にともかくとして、箱に関しては、転移門の技術を用いたというのに、不思議な事に何故か現状では、生きた物は通らないのです。手を入れて、中の物を取り出したりは出来るのですが、そこを通ろうとしても、あるいは通そうとしても、何故か反発するかの様に弾かれるのです。


 対してリク様に今渡された疑似空間収納というのは、伝説レジェンド級の魔道具とされ、数年に一つ迷宮から得られるかどうかといった代物と聞きます。

 私が生まれたアランブル共和国王家にも、一つだけ国宝として、宝物庫に保管されているとも聞きますけれど、当然私も現物なんて見た事はありません。

 その実態は疑似空間と言われる、この世とは異なる場所に収納する空間が作られ、そこに物を入れておけるという物で、当然ですがどこかの場所に確保スペースを用意しておく必要はありませんし、出し入れする大きさにしても、その疑似空間というところに収まる大きさが限界サイズとなるのだと言われています。

 そんな、文字通り伝説級の魔道具を、簡単に渡されてしまいますと、どうして良いのか正直困惑するのですが。


「ん~、気にする必要は無いと思うけどね。

 手持ち・・・って言っていいのか分からないけど、多分世界神? に与えられたらしい物の中にあったんだけどさ、僕自身が、と言うか神聖種だと、そんな魔道具が無くても、種の持つスキルとして収納空間インベントリを持ってるんだよ。

 なのに何で、疑似空間収納こんなものを用意したんだか分からないんだけど、正直僕は無くても困らないからさ、だったらニアが使えば良いと思うんだ。

 最初に魔力を通せば、ニア専用になって、他の人には扱えないし、奪われたり落としたりしても、一定距離離れると、手元に戻って来るらしいよ」


 盗難対策まで万全なんですか。

 私が知る疑似空間収納魔道具に、そんな機能もあるなんて、初めて聞きました。


「容量は、その人の存在格で決まるらしいけど、ニアは魔力値が高いみたいだから、大体この都の1/4くらいのスペースにはなるっぽいよ」


 此処王都の1/4ですか・・・個人は当然として、大商会や軍部であっても、そこまでの量なんか必要としないでしょう。


「ニアが僕と一緒に動く以上、これまでの確保スペースを維持するっていうのも難しいだろうし、それが可能だとしても、木箱一つ分じゃ少ないよね」


 不足と言う程、少なくは無いと思うのですが。


「まあそれを使えば、かなり手軽に動ける様になるしね。

 ああ、無間袋とかと同じで、生きた物は入れられないみたいだけどね」


 実際には、無理をすれば入れたり出来る--ただし、多大な魔力を必要とする--のだそうですが、疑似的とは言え別の空間、つまりは別の世になりますので、そこを越える時点で、生物はその存在が変質してしまうのだそうです。

 リク様の場合は、人から現神へという変化でしたが、これは神の御力による正規の召還での異世界移動ですが、疑似空間収納の場合は“物を仕舞う”事を目的に構築された空間の為、収納されるに値する状態への変質が成される。つまりは命無き“物”へと変わるのだそうです。

 私には良く分からないのですが、これは法則、つまりは理によって定められているという事なので、そういうものだと理解していれば大丈夫だと思います。

 同様に、“物を仕舞う”事が目的の為、そこに時間経過等の影響は無く、仕舞った物は仕舞った状態で保持されるのだとか。つまりは食料等も、その状態を維持して持ち運べるという事なのですね。厳密には、数十年で四半刻程度の時間経過はある様ですけど、それって時間経過が無いのとほとんど同じですよね。

 一見すると、特に飾り気も無い金属の腕輪です。これが疑似空間収納の魔道具とは、実物を知らなければ誰も思わないのではないでしょうか。


 リク様が、世界神様の事を色々言っているその理由が、何となく分かってしまった気がします。

 本当に、やり過ぎですよ、シルヴェリアーヌ様。


「それと、未だ完全に手持ちの確認は済んでないんだけど、これは使えそうだから、これもニアに渡しておくよ」


 これはローブ、ですね。

 黒と言うより、濃いグレーといった色合いですが、縁の部分等に華美にならない程度、銀糸でしょうか、飾り模様の様なものが入れられています。


「王女、あるいは元巫女として人前に出るんじゃ無い時には、これを必ず羽織って欲しいかも」


 おそらくこのローブも、何か特殊な代物なのでしょうね。一寸聞くのが怖くなって来ました。



   ---SideEnd

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