表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/47

01-12 初めての朝と男女関係の話し

※サブタイトルから想像する様な、ウフフ展開は無いですよ(w

「んんぅ? ふわぁ~っ」


 朝らしい・・・なんか変な音? 声? が出たなあ。

 何故か妙に寝難くて、スッキリ眠れた感じがしないし。って、此処何処だっけ? ああそうか、こういう時に『知らない天井だ』ってお約束、が?


 ・・・目が覚めた。寝ぼけていたらしい。

 そっか、昨日召還されたんだっけ。で此処は、召還された教会施設にある、割り当てられたベッドルームだったなあ。

 そもそもこのベッドルーム込みで、部屋全体が妙に豪華なのは、位の高い人が宿泊する為に用意されたものだからだろうけど、正直僕には向いてない。はっきり言って落ち着かないんだよねえ。

 部屋に見合ってなのか、ベッドはフカフカで体が沈む程。そんなところで寝た事無いから、むしろ気になって眠れないという罠。

 僕は一般民であって、この世界から見れば上位世界だとしても、そこで生きていた僕達からすれば、単に自分達が生きていた世界でしか無いんだよねえ。

 上位世界だからってさ、この部屋みたいに上位、要は高級豪華な設備が基本な世界って訳じゃ無いんだし。


 まあ、寝起きがイマイチだった理由はそれが一つ。もう一つは・・・。


「何でニアが、僕にしがみついて寝てるんだろうね?」


 侍祭だからとか、婚約者だからだとか、巫女を引き継いだから部屋が無いとか、色々と理由は挙げてたけど、それが本当かどうかは別にして、ニアは昨夜、僕と同じ部屋で寝る事になったのは僕も分かってるんだけど、別にだからと言って、アレな事とかはしてないし、勿論ベッドも別々だった筈。

 現状ではあくまでも、ニアは僕の侍祭であり、婚約者だ。

 昨日だけでこれってのも、どうなのかとは思うけどね。

 で、この世界では、特に身分が上になればなる程、その家の子供は男女関係が厳密になるらしい。そういう理由もあって僕は、ニアを婚約者にする事に同意した訳だけど。


 要は血筋家柄、そして後継ぎ云々の問題がある訳だ。

 小説なんかで、貴族とかが侍女メイドに手を出した結果生まれた不義、つまりは浮気とかで生まれた子が、後継ぎ問題とかになったり、いじめられたりあるけど、この世界では地位や立場、そして家柄があればある程、そもそも手を出した時点でNG。例えば当主が侍女に手を出したなんて事があると、速攻で代替わりさせられるどころか、その貴族家自体の評価、下手すると家格も下がるらしい。

 しかもその相手や子には、その貴族家の格に見合う見舞金の支払いを命じられるんだとか。貴族は見栄というか、そういうのを重んじるから、決して安い金額にはならず、見舞金を出した結果、成り立たなくなって没落した貴族家さえあるそうだ。

 しかもこの世界では、侍女--侍従も--は関係ある他貴族家の子女が、行儀見習いとして入ったり、従者ギルドからの派遣だったりするらしいから、バレなきゃOKって訳にも行かない。もっとも、奴隷も使用人として使われるらしいから、絶対って訳でも無いらしいけども。

 まあ不義じゃ無く、きちんと婚姻相手として迎え入れれば良い訳だから、行儀見習いとして入った先の貴族家後嗣と良い関係になって、玉の輿にだなんて事もそれなりにある話しだとか。


 まあ要は、DNA検査とか無いこの世界では、立場ある人程人間関係性が重要で、それこそ婚姻相手じゃ無い男女が二人きりで会うなんていう事だけでも、色々言われたり、逆に陥れられたりするらしい。

 そんな状況で、ニアとの関係考えればさ、そりゃ婚約者だってきっちりとしておかないと、ニアの立場がヤバくなる訳だ。

 下手すりゃ一生を左右しかねないんだったら、僕が嫌じゃ無い限りは、ニアを受け入れるしか無いんだよ。

 とは言え、幾ら僕がそういう年頃だからと言っても、出会ったその日に手を出すなんてしないし、そもそもその、手を出す行為が僕にとっては、色々覚悟が必要になるんだよ。

 だから部屋こそ一緒だったけど、当然ベッドは別々だった筈・・・まあそれでも、よくよく考えれば、部屋が一緒の時点で、ある意味既成事実を作られた気はするんだけどね。


 で、別々のベッドで寝た筈なのに、何でニアは僕を抱き枕状態にして寝ているのでしょうか?

 ニアの頭は僕の左肩から胸元辺りに頭を載せ、そのまま密着状態で抱き付いているみたいだ。頭を起こせないから、確実では無いけども。

 まあそんな感じだから、左脇腹の辺りに柔らかな感覚があったり、色々意識を向けるとヤバい感じだ。僕は軽く一呼吸すると、意識をすり替える。

 この世界では魔力値=精神値みたいな感じになっていて、高ければ高い程、当然自分の意思で精神面、つまりは意識とかもある程度操作出来る。まあこれは、カイ伝手で知った事だけどね。

 僕の魔力値は八百万四千。通常人は十から百桁らしいから、どれだけ馬鹿げた値かが分かるだろう。

 だからこういう時も、どうにかなるんだけど、それはそれなんだよなあ。

 これって完全に詰んでるよなあ。

 僕的には、上手い事既成事実作られてる感じになってるけど、これってニアも、自分の事を追い詰めて、僕と共に居る事から逃げられない様にしてる事になるんじゃないかな。


 僕はそれ程の存在でも無いのに、立場とかでこういう事になると、正直プレッシャーでもあるんだよね。

 まあでも、ニアの場合何故か嫌な気はしないし、僕としても文句は無いんだけどさ。


 この年でどうよ? って思われる様な考え方なんだろうけど、どうせ現状で、お互いの事なんか何も知らないし、恋愛感情云々なんか欠片も無いっていうのは、まあ当だろうと思う。お互い何処か利用し合う理由があっての関係・・・ニアの場合は自分の役割に対する責任感もあるんだろうけど、僕的にも、この世界で味方と言うか、親しく居られる相手はやっぱり欲しいところだし、それが可愛い同年代の女の子なら、そりゃ尚良しってのがあるからね。

 ただまあ、どうも責任感だけでって考えると、ちょっと押しが強いというか、自分を捨ててるところがある気がするのは、基本常識とかの差なのか、それともニアが、神に類する相手の僕に盲目的だからなのか、分からない部分もあるけど。


『この世界では生き残り、生き延びる為に、強い相手を婚姻対象への条件とする事は、珍しいものではありませんよマスター』


 うん、そういうものの考え方は、僕には無いから分からないよ。

 僕にとって不都合じゃ無いから、それでも良いんだけどさ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感想・レビューを受け付けない代わりに、評価手段追加します。
(有効投票:一日一人一回 / 下リンクをクリックで投票となります)
小説家になろう 勝手にランキング
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ