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01-11 職業選択の話し

 この世界での立場って言うのは、結構明確な区別がある。

 勿論それぞれの国力とかで、同じ立場とかでも違いはあったりするみたいだけど、それでも単純に言えば、その頂点が国主、つまりは国王とか公王とか、皇帝とかそんなの。

 僕が生まれ育ったあの国では、トップはおうだったけど、時代の流れと言うか、世界的な風潮から、基本的には政治に関与せず、どうしてもという場面での最終判断権だけを持っていた。そう習ったからそうなんだろう。

 でもこの世界では、封建制だっけ? 国主が居て、諸侯--つまりは貴族--に領地を任せて、その領地を任された領主が治めるという方式が殆どの国でとられているらしい。

 まあ一部の国では、種族的な問題から、種族毎の代表が集まって事を決める、合議制みたいな感じの処もあるみたいだけど、それぞれの種族毎ではやっぱり、族長みたいのが治めているらしいから、基本変わらないと思って良いだろう。


 王族等の国主一族、その下に貴族。ここまでは謂わば、特別な地位を持った権力者って事になる。

 そんな貴族でさえ公爵、侯爵や辺境伯爵、伯爵が上級貴族、子爵や男爵が下級貴族、そして一代限りの准男爵や騎士爵という、当代貴族っていう風に、順位がある。

 そしてその下に平民が居て、最下層に奴隷が居る。奴隷は人と見なされずに物扱いされるけど、そんな奴隷でさえ、犯罪奴隷と一般奴隷に別れる。

 一般奴隷は口減らしや、借金等によって、金銭でやり取りされる物であり、犯罪奴隷はそのまま、犯罪者が奴隷堕ちしたものだ。

 一般奴隷の場合、その金額さえ払えれば、自分の身を買い取って奴隷から解放されるっていう事で、それなりの扱いを保証される事にはなっているらしい。建前的にはだけど。

 対して犯罪奴隷は、その罪の重さで一等級から三等級に分かれていて、軍務に就かされたり、重労働に就かされて、その罪の分だけ強制的に働かされるんだけど、基本的にはその殆どが、生きてその労務を終える事は無いらしい。


 そんな感じで、かなり明確に身分や立場が分けられているから、国に属したりして生きて行くには、その国や領主の性格等によって生活水準とか色々と、かなり変わるらしい。

 対して何処の国にも属さないのが自由民っていう身分--立場?--で、国に属していない分自由だけど、どこかに定住するとなると、色々厳しい部分が出て来る。単純に言えば、住居や土地を買うにも、その税金を払うにも高くなるらしい。

 基本的に殆どの国、あるいは領地では、領民に対しては優遇があるけど、他領の領民や他国の民等、領民外には厳しくしている事が多い。

 当然移民等の形で、領民となる場合には優遇もされるけど、その場合には色々厳しい調査とかがあるらしい。

 多分間諜(スパイ)とかへの対策なんだろうね。


 僕は当然、何処の国にも属していないし、勇者っていう役目上、やっぱり何処か特定の国に属するのはマズいと思う。

 それは別に、僕の気持ち的なものだけじゃ無くて、それこそ魔王への対応が必要になった場合、どの国が国に縛られてると自由に動けなくなるだろうって事もある訳。

 自由民として出来る仕事となると、行商や傭兵、探索者くらいになるだろう。

 行商をするにしても、僕はそうしたルートを持ってる訳じゃないから、仕入れ元や販売先が無いし、商人の中でそういうルートって大体決まってると思うからムリ。

 傭兵は戦争時に雇われたり、商隊とかの護衛、農地とかの警備なんかが主な仕事らしいから、やっぱりある程度の縄張りとかがあって、やっぱり自由度が下がる。

 結局はこの世界で、異世界召還とかファンタジーものでありきたりな冒険者に一番近い、探索者一択って事になりそうだ。

 ありきたり、鉄板ネタ、お約束には、それなりにそうなる理由があるんだね。そういう知識は、世界の記憶からも引き出せないからなあ。

 やっぱり知識だけだと不十分って事だね。


 時間と言うか日数と、立場的な希望をすれば多分、他の職も何とか成れる可能性もあるけど、あんまり使いたい手段じゃ無いからなあ。

 ニアやブラント司教曰く、国や教会から幾らでも支援は得られるって言われたけど、出来るだけ借りは作りたくないっていうのは、何処にも属さない方が良いっていうのと同じ理由だからねえ。

 とにかく今僕は、手元にお金が無いから、早い内に稼がないと色々マズいと思ってる。


「とりあえずは明日にも、探索者ギルドに登録に行こうと思ってるんだけど、未だ厳しそうなら言って欲しいかな」


 探索者なんて、謂わば対魔物戦闘職だからねえ。どうしても荒くれ者が大多数を占めるそんな処で、ニアが丁寧な対応をすれば嫌でも目立つ。

 僕自身は、無駄にハイスペックな状態にさせられてるらしいんだけど、それで即戦えるかは別問題だから、登録はしても直ぐに依頼クエストを受ける気は無いんだよ。

 登録したら試しに、近場で戦闘訓練じゃ無いけど、対魔物戦を経験してみようと思っている訳だ。

 とは言っても人が住んでる場所の周辺に出る程度の魔物だと、多分無駄スペック押しでもどうにでもなりそうな気はするから、僕自身が戦えるのか、魔物とは言え生き物を殺せるのかの確認が主目的メインになりそうだけど。

 ニア自身は、勇者召還が成った場合を考えて、侍祭として付き従って動ける様に、十才から可能な仮登録--ランクアップ等は無くて、一番低い青銅ランク扱いのまま。本登録は成人した十五才以降--を済ませていて、魔物討伐経験も既に、それなりに詰んでるらしいから、登録に行くだけなら僕一人でも良いんだよね。

 登録後に合流すれば良いんだし。


「大丈夫です。

 失礼ながら探索者時の意識モードで行かせて頂きますので」


 ああ、そりゃそうだよね。

 ニアは巫女って事を隠して仮登録して、探索者見習いとして動いてもいたらしいし、そんな時にも今みたいに、丁寧対応って訳じゃ無いだろうからなあ。

 ニアは正直可愛いし、王女で巫女って立場もあったから、もし探索者とトラブルでもあれば、それこそ色々ヤバいさろうし。そこら辺は流石に、王家なのか教会なのかは知らないけど、対応も注意させての登録許可だったんだろう。

 かと言って、巫女とかの立場は隠してだから、護衛が居た訳でも無かったらしいし。まあ、ニアが気が付かなかっただけで、こっそり付いてたかも知れないけどね。

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