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01-08b 勇者召還の裏話し

『シルヴェリアーヌ様、一体いかがなされたのでしょうか?』


 このままではキリがありません。

 勇者様をお一人にさせてしまっておりますし、イヴェットは私が未だ居る所為か、対応を私に委ねた状態ですし。

 確かに、巫女は未だ私ですので、ここでの対応は私が行うのも筋ではありますが、この場は巫女の引継ぎなのです。少しはイヴェットも対応して欲しいと思うのは、我が侭では無いと思うのですが。


 今この場は、巫女の引継ぎを世界神様にお伝えすると共に、私が勇者様の侍祭となる事もお伝えし、お赦しを得るというものです。

 勿論形骸的なものですがそれでも、人の身として、神への報告を行わずという訳にもいきませんし。

 そんな大切な場なのですが、何故か繋がりを得た世界神様が泣き続けているのです。

 まあ、実は今に始まった事でも無いのが、正直困りものなのですが・・・いえ、神に対して不遜な思考でしたね。


『ニアちゃん・・・あのね。

 リクくんが怒ってるんだもん。

 確かにね、何の説明もしないで送り出したのは悪いと思うよ。でもね、先に説明して断られても困るじゃない?』


 ・・・うん、駄目な時の世界神様です。

 普段は穏やかで、威厳を感じるお方なのですが、困った時には急に幼く・・・いえ、距離を近く感じる事が出来る様になるのです。

 勿論これは、代々の巫女及び巫女見習いだけの秘密事項となっていますが。

 何しろ御言葉を受ける事が出来るのは、世界神様の巫女だけなのですから、必要では無い状況で、世界神様の素に近い・・・いえいえ、人に近しく接して頂ける事など、広く知らせる必要など無いのですし、どの様な存在か等、神様の事を事細かく人が知るなど、そもそも不敬ですからね。

 他の神様方の神官や巫女、そしてその見習いの方々も、同じ様に自身がお仕えする神々の事を語ることはありませんので、他の神々がどの様なお方かは、私も知りませんし。

 まぁ、同じ神様の見習いとの間では、色々語ることもあるのですが・・・と、今はそんな事を考えている時では無いですね。


『ですが、勇者様からしますと、一方的に拉致された状態となりますので、お怒りになられるのも仕方が無いのではないでしょうか』

『だって、召還システムを組んで、適正から最適と想定される相手が選ばれて、召還される様になっているのよ。

 もし断られちゃったら、どうすれば良いか分からないんだもん?』


 最適な相手が召還される様にって・・・世界神様が手間を惜しんだ様にしか聞こえないのですが・・・。


『それにね、もう最後の七人目まで、自動的に召還される様に用意しちゃったし~』


 ・・・ダメな世界神様です・・・いえ、神のなさり様ですから、人の身でしかない私如きが理解も想像も出来ない、何かやむを得ない理由があるのでしょう。


『ええと、畏れ多くもお伺い申し上げます。

 シルヴェリアーヌ様が勇者様に、理由をご説明される事は出来ないのでしょうか?』


 神々の理由であれば、私の様な人が聞き、それをお伝えするには憚られる理由があるのかも知れませんし、神様同士であれば、御意思や御言葉を交わすことが出来るのではないか、と思ったのですが。


『う~ん、でもね。

 リクくんはこの世界の事を、この世界で収めなかった事も怒ってるみたいだし~。

 出来なかった訳じゃ無いから、説明が大変なのよ~』

『は? この世界だけで収める事が出来たのですかっ?!』


 あ、思わず強い調子で反応してしまいました。見習いの、いえ、もう巫女と言った方が良いでしょうイヴェットが、ビックリした感じで此方を見た事を感じます。

 世界神様に対して不敬でしたね。気を付けなければいけません。


『神器を複数、あなた達に任せれば出来る、と思うんだけど。でもね、あんまり人の世に神器を出したく無いのよ。

 扱える者が増えれば増える程、人の世のバランスが崩れちゃう可能性があるでしょ?』


 確かにそれは分かります。

 過去に、召還された神器が人の戦い、国同士の戦争に投入され、大変な被害をもたらしたと記録にありますし。

 ですが、それもこの世界の事。勇者様の様に、この世界に関係が無かった方に負担を負わせ、強制的に関わらせる事が、果たして正しいのか疑問が残ります。

 ・・・いえいえ、世界神様の御意向なのですから、この世界の私達が、それだけ信用に足らないという事なのでしょう。


『それにね・・・ええっと、ニアちゃん怒らない?』

『はい?』


 怒る? 私が、でしょうか?

 世界神様に人の身でしか無い私が、怒るなど有り得ないと思うのですが。


『ええとね、いざという時に確実に、魔王に対して貰わないといけないじゃない。

 それに、わざわざ異世界から・・・ええっと、その、無理矢理? 連れてきたのに、苦労させるっていうのもあれだしね?』


 勇者様が、御自身の世界での生活を奪われて、更に関係無かったこの世界の御役目を負わされるのですから、確かに可能な限り、これ以上の御負担はおかけしない方が良いとは私も思いますが。


『でね、その為に、それなりの力を渡した上で、召還しているのよ』


 それなりの力が、世界神様から勇者様に渡される為、本来召還のみでも上位の存在である勇者様が、より強い御力を得られる事は、確かに予言書にも記されておりましたね。

 それはかなり、あくまでも私達にとってはですが、心強い事です。


『えっと・・・リクくんは初めての召喚勇者になるから、一応念の為と思って、私の半分の力を渡してあるの』


 ・・・はい? 今、何と仰ったのでしょうか?

 聞き違いで無ければ、最高神たる世界神さまの、半分の御力ですか? それは・・・。

 何か、嫌な予感がとてもするのですが。


『元々の格の事、すっかり忘れちゃってて、その上で全盛状態の私の力を半分渡しちゃったから、リクくんの神格って、私より上になるのよね~』


 聞きたく無かったです、そんな事!

 え? 世界神様より上? それって、最高神の位はどうなるのでしょうか。


『今は現神っていう、肉体に縛られた状態だから良いんだけどね、やっぱりリクくんに怒られると怖いじゃない! 私より格が上なのよ?』


 怖いからって、説明もしないんですか。

 神様同士で御意志や御言葉を交わす事が出来ないとは、一切仰られないという事は、可能なのでしょうし。


『だから、侍祭になるニアちゃんに、リクくんの事は任せるね』


 ・・・どうしましょう。私に一任ですか?

 これも御神託ですから、私に否はありませんが、あまりにもあまりな気がします。



   ---SideEnd

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