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01-07b 巫女と引継ぎの話し

投稿2回分程、逃してしまいました(><;


サブタイトルの『b』は、主人公以外視点での話しとなります。

   ---Side・エウジェーニア



 巫女とは神の御声、つまりは“御神託を受ける事が出来る能力を持つ者を指す”という事になっています。

 実際には、御神託を受ける事が出来る能力は、女性に限る訳では無いので、教会には神官という立場もあるのですけれど、これまで勇者様、或いは御神器の召還に携わる事となる、世界神様の御声が聞けたのは女性のみでしたので、どうしても一般的には、御神託を受ける者は巫女という印象がある様です。

 更に言えば、世界神様の御神託を受ける事が出来る者を、巫女と思われている方も大勢居ますが、世界神様以外の神々からの御神託を受ける者達もおりますし、巫女や神官が一人という事は無いのですけれどね。


 私が初めて世界神様の御声を頂いたのは、物心が付いた頃でした。実際には、生まれたその時に御声を頂いたのだそうですが、流石に記憶にはありませんし。

 ともかく、新たに御声が聞ける者が生まれると、その時の巫女や神官に、その事が御神託として下されます。私が十才の時にも、世界神様より、次代の巫女が生まれた事を御神託により下されておりますし。


 神官、或いは巫女の能力を持って生まれると、その生活は教会に委ねられる事となります。

 教会は世界一大きな組織ですし、唯一の宗教組織という事になっています。

 他の宗教と呼べるものは、その生活環境等に合わせて、一部の神や、精霊等を信仰する事に限定している様ですし、中にはよこしまなる心で、身勝手な信仰や、実在しない神を唱える処もある様ですが、邪な信仰を除けば、他の宗教は此処、教会という組織とは友好な関係にありますし、そもそも宗教と言える程には組織的なものでもありませんしね。

 他の宗教が、教会の出先機関となる教会施設が設置されていない様な場所に、そこに住む人々が求めて出来る様ですから、そもそも揉める理由もありません。

 例えばその地の土地神を信仰する宗教。或いは種族的な事から精霊を信仰する宗教。そうした土地神や精霊も、教会では信仰対象なのですから、当然の話しではありますが。


 ですので、教会には特定の名称が無く、単に“教会”としているのです。遍く人以上の存在に対して、感謝を捧げるのが教会の理念ですから。

 そんな教会に子を委ねる事は、親としての気持ちは別だと思いますが、反対される方はこれまで居られなかったそうです。

 確かに、自身も恩恵を受け生きているのですから、その神の下へ、より近くへと行ける機会ともなれば、子が離れてしまう事も受け入れる方は多いでしょう。

 特に、信心深い家にこそ、能力を持つ子は生まれるそうですし。


 生まれ、教会に委ねられた子は、お仕えする神の神官や巫女の居る施設や神殿で育てられ、物心付いた頃より、見習いとして教育を受ける事となります。

 教育と言っても、他の職の方々同様、教会理念を説かれたり、神々に対する心得や知識を学ぶ以外は、神官や巫女に伴い、その行為を見て学ぶくらいですが。

 時には神官や巫女と共に、見習いもお仕えする神より御声を頂く事もありますが、神によって、関わられ方が異なりますので、一概にこういうものと言う事は出来ません。

 私が知る世界神様は・・・まあ、お話し好きな御方だと言って、間違いでは無いと思われます。


 神官や巫女は、教会内でも特殊な位置付けになります。

 その立場に応じて、与えられた職務をこなす事は変わりませんが、他の職の方々は、全ての神々や精霊、妖精に対する事となりますが、神官や巫女は、お仕えする神のみの、謂わば専属ですし、そもそも直接・・御言葉を頂けるのは、神官や巫女及び、その見習いのみなのですから。

 加えて、生涯神職に就く訳では無い事も、他の職の方々との違いでしょう。

 巫女や神官以外の方々は、自ら望んで教会に入りますが、巫女や神官は、選ばれて能力を与えられたに過ぎませんので、神の下を去る時には、教会内に身を置く場所がありません--実際には、神に直接使えた者として、教会内に残る事は可能ですが--。

 神の下を去るのは、お仕えする神より代替わりを示された時、そして私の様に世界神様にお仕えする場合、勇者様、或いは神器が召還された時となります。


 お仕えする神より示される場合、その年齢は様々です。

 中には若くして次代にその場を譲り、お相手と出会えて婚姻を結ぶ方も居りますが、多くの場合は年齢を問わず、神職へと正式に籍を移す方が多い様です。

 教会では婚姻も人の営みである為、禁忌という事もありませんが、多くの場合は元神官や元巫女という事で、貴族家等からお声が掛かる事が多い様です。

 対して世界神様の巫女が、勇者様の召還に立ち会う事となった場合は、その勇者様の侍祭として仕える様に、教会が取り決めた経緯があります。。

 これは、異なる世界から下られた勇者様にとって、この世界の事が不自由であろうとの想定から、助力し、ご負担を減らせる様にしようという意図で定められたと聞きました。

 神器が下された場合は、それを用いる事が出来る使い手を選別し、神器を委ねるところまでがお役目ですが、勇者様が召還された場合は、その身を勇者様に捧げる事となる訳です。


 勇者様は、この世界の事情など関係無いのですし、ましてや世界神様からの使いです。元々神様にお仕えする私達にとっては、お仕えする対象が勇者様に変わったところで、何の不満も無いのですが、勇者様の居られた世界の常識としては、受け入れ難い事の様でした。

 ですが、私にとっては幸いです。

 侍祭と成れずに、巫女の座を降りただけとなれば、私の場合は王家に生まれた以上、稀に参加した晩餐会参加者の様な、家柄しか誇るものの無いお相手に嫁ぐ事となったでしょうし。

 こう言っては大変失礼ですが、お相手が勇者様ともなれば、家柄だの身分だのと、こじつけた理由で反意を示す者も居ないでしょうから、私にとっては望外の喜びでさえあるのです。


 等と、こんな事を考えているのも、巫女の引継ぎを行う今、この場で、世界神様があまりにも・・・な状態だからです。現実逃避と言うよりも、これは落ち着かれるまでの間繋ぎですよね。

 何時もの事ではあるのですが。

 次代の巫女となるイヴェットなんて、完全に固まってしまっています。

 私とイヴェットにしか、その御声が届いていないというのが、正直なところ幸いかも知れません。

 神々の意識は、私達人とは大きく異なるのでしょうから、仕方が無いとは思いますが。

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