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01-06 伝承の書の話し

『さて次だけど、魔宝って作れるのかな?

 世界の記憶にアクセスするのをスムーズにしたいのと、この端末・・・伝承の書は一つしか無いらしいから、出来れば返したいんだよね』

『マスターは神聖種ですが、必要なのでしょうか』

『この体が使いこなせれば要らなくなるんだろうけど、むしろそれまでの、最初の時期程知識は欲しいんだよ』

『状況理解。

 ですがマスターは神聖種、しかも現神族の為、魔力の凝固体である魔宝は作れません。

 マスターが可能なのは神珠となります』


 伝承の書に使われていたのが、ゴールドランクの魔宝だったんだよ。

 魔宝っていうのは魔力の凝固体と言われる物の一つで、他には魔石や魔晶、魔玉って言うのもある。要は電池みたいな感じで、この世界ではエネルギー源と言うか、バッテリー的な感じで使われている。

 内包される魔力量だけで言えば、魔石<魔晶<魔宝の順になるんだけど、それぞれで出来方と言うか、得られる方法が違っている。


 魔石は透明な玉で、やっぱり透明のもやみたいなのが中で揺蕩たゆたってる感じ。見た目的には中に水が入った透明な玉? 透明なんだけども、中で光が色々屈折が変わると言うか、ん~、説明が難しいけど、そんな感じ。

 で、この魔石は魔物と魔族の体内で作られるらしいから、当然得る方法は、魔物を討伐して体内からって事になる。


 魔晶も透明な玉--と言うか、基本これら魔力の凝固体は、透明な玉なんだけどね--で、中で銀色の靄が揺蕩ってる感じ。

 同ランクの魔石と比べて、大体五倍くらいの魔力内包量があるらしい。

 この魔晶は、魔素が濃い処--魔素スポットと呼ばれるらしい--の周辺で自然発生的に出来る様で、そういう場所から偶然発見されるか、あるいは迷宮--ダンジョンやラビリンス--から得られる事があるんだとか。


 魔宝は中で金色の靄が揺蕩ってる感じで、同ランクの魔晶の五倍倍くらいの魔力内包量があるらしい。

 これは高位魔族と呼ばれる強い--魔力内包量が多い--魔族の体内や、魔晶と同じ様に魔素スポットで出来るらしくて、当然魔石や魔晶と比べると、得られる数もとても少ないんだとか。

 過去には魔宝鉱と呼ばれる、魔宝が数十個出た鉱山が発見されて、それだけで国が興った事もあるらしい。


 魔玉は中で虹色の靄が揺蕩ってる感じで、尋常じゃ無いくらいダントツに、内包魔力量が多いんだとか。


 これら魔石、魔晶、魔宝は大きさにより、この世界では一般的なランク分けである五つに分けられているらしい。ただし、魔玉は例外で、これまで三種類しか確認されていない事から、その魔力内包量別に下級、中級、上級と分けられている。

 下級は魔王の体内で作られるらしい。過去に討伐された魔王からは、例外無く下級魔玉が得られたそうだ。

 中級はラビリンス、上級はダンジョンの核だとか。確かに例外だね。


 で、この世界のランク付けは、基本的に共通硬貨を基にしている。

 共通硬貨は七種類で、全て迷宮で得られるらしくて、その特徴は傷付いたり削れたり、変質劣化--酸化か?--したりしないっていう事で、偽造防止にもなるからって事で、この世界の殆どの国で貨幣として用いられているんだとか。

 確かに持ち歩けば傷付く様な硬貨が、傷も付かないんだとすれば、見た目で判断出来る訳だから、偽造なんて難しいよなあ。偽造しても、いざ使うって時まで傷が付かない様に気を付けて持ち運ぶなんて、現実的じゃ無いしね。


 硬貨は価値が低い--迷宮で得られる量が多い--順で青銅ブロンズ貨、黒鉄アイアン貨、シルバー貨、ゴールド貨、白金プラチナ貨、真銀ティル貨、虹銀ミスリル貨。ただその内、真銀貨と虹銀貨は数が本当に少なく、流通する程無い等々の理由から、実際には青銅貨から白金貨までの五種類が、それぞれ百枚で上の硬貨と同価値の扱いになる。

 ただ、人が造った物じゃ無いから、当然十分な数が流通するとは限らない。って事で、一部の国では青銅貨の下に、賤貨っていうのを用意している国もあるらしい。

 つまり価値的には賤貨が一、青銅貨が十、黒鉄貨が千、銀貨が十万、金貨が一千万、白金貨が十億の価値っていう扱いだ。ちなみに真銀貨を得たら、貨幣としては使えないけども、一千億--白金貨百枚--と交換しては貰えるから、運の良い探索者が偶~に現れる事があって、騒ぎになるらしい。

 虹銀貨は特殊で、売ったり交換したりも出来ないから、価値も付けられてはいない。


 話しを戻そう。

 この世界で一般的に用いられるランク分けは、流通している五種類と同じで、青銅から白金ランク分け。魔石とかもこの五つのランクがあるらしくて、当然ランクが高い方が内包魔力量が多くて、高価値になる。

 勿論ランクが高い物程、得られる率も低くなるんだけどさ。

 で、伝承の書には金ランクの魔宝が使われてた。はっきり言えばこれは、伝説レジェンド級の魔道具だ。

 ブラント司教は、教会所有のこの伝承の書を、僕が必要としているなら差し上げますとか言ってたし、教会トップの大司教の許可も得てるらしいんだけどさ、流石に貰えないでしょ。

 だから、魔力の凝固体なら、自分で作れないかなあって思った訳だ。

 何しろ僕は、伝承の書に触れて、それがどういう物なのかを認知してるし、世界の記憶からも知識を得てるからね。

 けれど僕には、魔宝は作れないらしい。


○神珠/無属性

 階級ランク神器しんき

 神力が凝固した物。

 魔力相当で内包量は上級魔玉十個分。


○神力

 魔素を用途変化させたもの。

 密度は『魔力<竜力<神力』となる。


『つまり僕は、魔力じゃなくて神力を持つから、魔力の凝固体は作れないって事かな』

『イエス。神力は魔力とは密度そのものが異なる為、魔力への変換は出来ませんが、魔珠を用いて伝承の書と同様の機能を持つ魔道具の作成は可能です』


 成る程ね~。ってか、神珠は一種類しか無いっぽいなあ。

 それにしてもさ、上級魔玉十個分って何それって感じだよ。単純に言えば、ダンジョン十個分のエネルギーって事だよね?

 うん、そんなもん作っちゃダメだ。


『僕が伝承の書を使わず、現状で世界の記憶から知識を引き出す都合良い手段とか無いかな』

『マスターの疑問や不明の感情の強さに応じて、その感情に反応し、わたくしが知識を引き出して伝達する事は可能です』


 なる程なあ。まあ若干のラグは起きるけども、それこそ緊急性がある知識を得ても、知識だけじゃ直ぐに有用な訳でも無いし、カイを介せば解説とかもしてくれるから便利か。


『じゃあ、それで頼むよ』

『イエス、マスター』

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