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死に目の目

 子ども達とお風呂に入ってきた…


 アタシ!


 そう!ムーちゃん!


 え?子ども達?


 そりゃー、今日陛下ちゃんのおかげで出会えた子達よ。


 コトコに関しては養子の方向性になりました。


 娘と同い年なのよ?


 背丈もそう変わらないし、てか、バジリスクだったのが一番の驚きよね。



「ムーママの胸は見事ですな!そして、見てしまった下腹部…。さすが異世界!別世界!付いてる世界!」



 そう。コトコの話とツィンバルの話からして、陛下ちゃんは渡り人。


 いえ、転生者と言うべきかしらね。


 コトコもそうらしいけど、バジリスクに転生だなんて凄いわよね。ある意味。



「ママー!髪の毛!」

「はいはい。これからはコトコとお互いに拭きあいなさいね?」

「んー!わかった!」


 娘から布を受け取ると魔力を用いて風を起こす。


 まあ、コトコが魔法を使えないようならアタシが二人とも乾かしてあげたほうが早い。


 それにしても、石化眼を発動させたことから魔力は持ってるのでしょうね。


 明日からの訓練で詳しく調べればいいわね…。



「あ、あのー。お風呂に入れさせていただいて言うのはアレなのですが、オレがこんな所にいていいのですか?将軍様。」


 リュートが申し訳なさそうに言い出すが


「リュート。アナタはこれから何日もかけてアタシの魔力を流して、身体のバランス調整をするのよ。本来なら5~10歳のうちにおこる身体的な変化が最近起きたのよ?陛下ちゃんのおかげで身体的な部分ははっきり言って偏ってるの。男だ男だと思い続けていたのが、真逆に向いたの。胸だって…寝込む前までは膨れてなかったでしょう?」

「っ!?は、はい!こう…胸の奥がトクトクと音をたてて…この気持ち、持ち続けるだけでもおかしくなりそうです。」


 なるほどなるほど。



 アタシも『 彼 』と生活していたころはそうだったわね。


 彼との愛の形がほしいといつもベットの中で思っていたわ。


 そして、『どちらのキミも愛している』と告白されて…


 はぁん♪


 アノ日の夜を思い出しちゃったわー♪


 そう。娘は愛されて生まれたのだ。


 これだけは覆させない。





「だから、リュートにも一緒に生活してもらいます。コトコと一緒にこの城でのメイドとしての知識と経験、能力強化を行っていくから、覚悟なさい。もちろん、陛下ちゃんとは会えるから、身体の不安定感は最小限で済むと思うわ。」



 彼がいた頃は彼のおかげで不安定にならずに済んだ。


 彼が亡くなった後は娘への愛情によって精神を安定させてたっけ…


 そんなある日、彼の血を継いだツィンバルは妖精族としての力が強くなりすぎ、ある能力に目覚める。


 この事はリュートとコトコを寝かしてから問わなければならない。











 あの場において、誰か死ぬ可能性があったのかを…















 隣の部屋、まあ、ツィンバルの部屋のベッドに二人には寝てもらい、アタシたちは今、アタシのベッドの上で向かい合っている。


「ねえ」

「3人。だよ?」

「っ!?そう、そうなのね…。」

「でもね、リュートなんて寝込む前と昨日の二回なんだよ?」


 そう言いながら微笑んだ。


 その微笑に、少し、だが、確かに恐怖した。


 この子の能力『死に目の目』


 魔眼の類に近いとはされているが、この能力はツィンバルの父親である彼の家系の者に出るのだそうだ。


 能力は簡単、いえ、単純と言うべきね。


 対象の死が分かる。


 ただそれだけである。


 一日以内確定の者にのみ号泣するオマケ付である。


 そのせいでお世話になっていた村を追い出されたことが何回か…


 だって、死が確定した者の前で突然号泣するのよ?


 相手はその理由を知らないだろうけど、その泣かれた者が急に亡くなって、周りの者達がツィンバルを不吉なものとして扱うのだ。



「それをへいかが変えてくれたの。ううん。昨日のリュートが元気になった知らせを聞いたときに、へいかならバルを泣かないようにしてくれると思ったの!」

「それでも、昨日のうちにまた泣きそうになったのでしょう?」

「ん。だからね、お城で見かけたバセットも一緒に誘ったの。」


 そう、そうなのね…だからわざわざバセットをご指名で。


「なら、最後の一人は?」

「最後の一人はコトコだったの。」


 アタシと旅をしている時に魔物の死には、能力が一切反応しなかった。


 だから、何度もアタシに訊いてきたのね、飼っていいのかと。


 まあ、あの場での死か、広場でエレクト将軍によって殺されていたかは不明ではあるが、そのどちらも陛下ちゃんがいてくれたから救われたのだろう。


 アタシは娘のその言葉に天井を見上げた。


「ねえ、その目は…どこまで見えるのでしょうね?」

「ママ。今までは見たくないと思ってたけどね、変わったの、見ていたいって思ったの。不思議だよね?だから、そろそろお仕事ちょうだい!」

「だーめ!アタシ、甘やかしたいのよ。まだまだ側に居てほしいの。ダメ?」

「むー。ママは子どもだなー♪」


 子離れできてないのは痛いわよね。


 なるべくは一緒にいないようにしてはいるが、恋しくなるのである。


 ダメダメよね。


 今朝は徹夜明けでふわふわしてて陛下ちゃんを誘惑しちゃったけど、やっぱり亡くなった彼以外の男は無理だし。



「なら、お手伝い!そう、お手伝い!」


 あ、こら!ベッドの上でぴょんぴょんしない!


 お行儀悪いなーもう。


「お仕事じゃなくて、お手伝いなら問題ないでしょ?コトコもリュートもお仕事もらえるんだから、バルだって何かしたいんだよ!」


 あらやだ、いつの間にか大人になていくのね。


 でも、一緒にとなると贔屓したり甘やかしたりが…ぬぐぐぐ。


「このアタシ、技の魔軍将・ツィンバロムのメイド隊に入隊を希望するのね?」

「うーん。」


 あら?あまり乗り気でない?


「へいかの隊になりたいな~♪」

「っ!?」


 なんだかママ、複雑です!


 あ…確かに魔王隊とか作っておくべきよね?


 陛下ちゃんがどんなに凄くても一人だけじゃどうしようもない時もあるもの。


 明日の会議でそれとなく確認しなきゃ。


 希望者がいても陛下ちゃんが嫌がったらそこまでかもしれないけど…



「陛下ちゃん次第よ?ツィンバル。それでも、陛下ちゃんには頼んでみるわね。」

「わーい!ママ、ありがとー!」


 アタシの言葉に万遍の笑みとなり、抱きついてくる娘。


 ああ、いいっ!!!


 すばらしいプニプニほっぺ!




 やっぱりアタシ、子離れは無理そうだわ…。




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