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陛下が誤解します!

 装飾品の有無とか…


 別に要らんだろうに。飾る趣味は俺には無いのだがね!


 相手にもあまり着飾って欲しくないと思うのだよ。


 あー、でも、キラキラ~な装飾付きドレスを身にまとうレベックを想像して…



 元気になった!



 こっちに来て確実に欲が増してる気がする!


 元の世界じゃ好かれないほうだと思うことが多かったし、目立とうとも思わなかったからなぁ。



「陛下!これなんてどうです?職人がひと月かけて作り上げた一品ですよ!」

「何を言うか!こっちの宝石類の方が良いに決まっておろう!」

「ええい、陛下にはこの黄金がだな!」



 とまあ、ギータが言ったとおり商人達が来たのだが…


 俺を見るなりこうやって言い争っているのである。


 付き人の持つ豪奢な箱から取り出される品々はかなりのものなのだろうが…


 値段を聞くのが怖いなぁ。


「俺にこのようなものをつける趣味は無いのだがね?」


 俺が呟くと…


「しかし、機会というものがあります。他国の王族や貴族、重役との会合では下に見られないために豪奢に!」


 額から角を生やした小太りの商人が即座に言う。


 うわーめんどくさそうだなぁ。


 みんなと畑仕事エンジョイして、のんびーり過ごすつもりでいたのだがね。


 まあ、のんびりなんて難しいか…


「そうです!」

「しかり!しかり!」


 ひょろりとした宝石商に、金歯が映えるハゲ頭のゴツゴツオジサン。


「タケル。まずはこちらの小物をすすめているのがだなゴブリンのクルイ。次に背の高い彼が宝石を主に扱っているハイハット。最後の彼は金属や魔物素材を用いた武具生産加工のドワーフ、バリト。」


 ゴツゴツオジサンはドワーフでした。


 背丈は俺よりか少し低いくらいだが、個人差があるらしいな。


 現に隣で箱を抱えて控えるドワーフらしき人物は背が低い。


「皆よろしく。それでだ、この三人が商人ギルドの重鎮といった所でいいんだな?」

「ああ、そうだ。タケルは知らないことが多いらしいからな。もし、何かあればまずはこの三人か、副代表達が呼ばれるだろう。」

「皆職人を抱えているのだな?」

「そうなる。」


 全体的にどのくらいの者達が商人ギルドに所属しているかは分からないが、職人もその中に所属しているようだ。


「今回は…顔合わせくらいだろうな。俺としてはお金を自分では持ち合わせていないから勧められても困るんだよ。」

「見れば分かるさ。それで、だ。カトブレパスはどうする?ここいらで話をしといとくれ。」


 価値が分かりません。はい。


「そのー、頭は?」


 ハイハットと呼ばれた男が不思議そうな表情でこちらに問う。


「殴ったら…。潰れた。」


 スキルを使って殴ったというべきかね?


「…。では、邪視眼は無しか。そうなると、皮の加工と、肉類、防具用の素材ですな。わたくしと、つれてきた応援はあちらのモク様のワイバーンに参ります。頭があれば、素人には危険でしたのでわたくしが直々に解体するのでしたが…ないならワイバーンに向かいます。失礼。あ、陛下…機会がありましたら宝石店をごひいきに。」


 ほう?判断能力は高そうだね。


 お金を貯めたら見に言ってみようかな。


 金額が凄そうな気もするが…


「がははは!面白い!いや、見事というべきだな!素材はバスにやる盾の分は引けばいいな?それ以外の残りは兵に持たせるか?それともお気に入りのやつらがいればオーダーメイドでいいぜ?」


 バリトは、腹を抱えながら大笑いした後、ニヤリと金歯を見せながら聞いてくる。


 オーダーメイドといわれてもなぁ。


 とりあえずは


「そうだな、あちらの獣人の青年達用にと、あそこに立ってる…」

「ん?マカラスと知り合いか?」

「ああ、シェケレさんとも知り合だよ。」

「あのバカどもにか?」

「俺が武器をだめにしちゃってな。せめて代わりのものを用意したいんだよ。」

「そんじゃ、あちらの獣人2人は?」

「彼らは他国から来た友人だから、この国での品々をプレゼントしたいと思ってな。」


 俺がそう言うとまた笑い出す。


 隣のドワーフさんは苦笑い気味だ。




 俺もつられて苦笑いになるとズボンが両サイドから引っ張られた。


「アンズには…タケ様がプレゼントされるのですよね?…む。違う、これは…アンズのこの身体がプレゼントなのですな!忘れられない熱い夜を!むふふふふ…」


 元気ですね。俺なんでこんなに好かれてるのかわからないよ!


「陛下。優しすぎるそのあり方は多くの荷を背負うこととなりますよ?お気をつけくださいませ。」


 クリスタさんからは心配されてしまった。


 優しすぎるのはいけないということか。


 だが、彼らが武器を振るう前に無力化することができたにも拘らず、それを選ばなかったのは俺だからなぁ。


 武器がだめになったのは俺のせいなのには変わりないんだよ。


 クリスタさんが気遣ってくれたことにより、俺は少し気が緩んだのだろう。


 いつの間にかクリスタさんの頭を撫でていた。


「は、はわわわ…。あ、あっ、すとっぷ!おねがい、とめて!おかしくなっちゃう!」


 顔が真っ赤でした。


 撫でてもらうのは苦手だったのかな?


 これは申し訳ないことをした。


「はあはあはあは…ちょっと休憩します。ううう…欲に正直なこの身体が恨めしい!(せっかく陛下に優しく頭撫でてもらえたのに。幸福感よりキュンキュンが止まない!)」


 頬を朱に染め、潤んだ瞳、恥ずかしかったのかね?


「ほっほ…なるほど。今日の納品が無かった理由が分かりましたな。クリスタ。良かったではないか?」


 まるで娘を見るかのような優しい眼差しのクルイ。


 納品?


「陛下。この子は初級の回復薬等を作ることができます。それに、植物等の知識も持ち合わせていますよ。いやーよかったよかった。でも、この子は稼いだお金を子ども達のためにすぐに使ってしまうのが心配なんですよ。」


 こ、子ども!?


 まさか子持ちだったのか!!!


「クルイおじさま!語弊が!陛下が誤解します!」


 あたふたとし始めるクリスタさん。


 どうやら早とちりのようだな。


「実子のようにかわいがっている子ども達。と言ったほうが良いか、孤児院に入り浸る優しい子ですぞ。」


 ほほう?俺には心配と忠告しておいて自分では自らの生活費を削ってるのか…


「さてと、バリト。こちらのほうで皮は陛下用に仕立てる。残りの皮も加工処理しとくから、肉と素材は頼んだ。」

「がっはっはっはっは!任された!いくぞおめえら!さっきの陛下の注文分を先に済ませろよ!」

「「「おう!」」」


 皆さん去っていく。


 さすが職人。



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