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眩しい魔法

 ふははは!


 俺の回復魔法が光すぎる件について…。


「な、なんだ!特殊魔法か!!!おのれ!卑怯だぞ!」


 目元を押さえながら槍を構えたままの、ギータ。


「これほどまでとは。実際に国中を照らしてみせたと聞いていたが…王よ、見事。」


 目をしょぼしょぼさせながらも俺のほうを向きながら称えてくる、モク。


「ねえ、陛下ちゃん。回復魔法なのこれ?下手したら魔物倒せるわよ?」


 同じ事を何度か言われました。


 俺はこのリーナが作ってくれた仮面が回復魔法発動時のみサングラスのような感じに遮光してくれたので、眩しくなかった!


 ああ、実に素晴らしい!


「さて、ギータ。観念しろ!」

「断る!石化眼は恐ろしいのだぞ!それを任意で行えるとあらば危険な存在だ!」

「だからアタシが面倒見るってば~!娘とも約束したんだからっ!コトコに何かあったら…リックちゃんに言いつけるわよ!」

「なっ…。それは困る。」


 え…。


 リックさんに言いつけられるってそのレベル?


 ギータの悲愴な表情がなんとも痛々しい。


「うぐ…だが現に今も民が石化してるではないか!」


 苦しそうにしながらも叫ぶが…


「いやもうしてないよ?」

「は?回復魔法のレベルが1では無理だぞ?2でも厳しいとされている石化だぞ?そんなレベルの高い回復魔法の使い手なんていないだろうに。」

「「「「…目の前いますよ?」」」」


 へー、LV2でも厳しいのか。


 まあ、俺のはLV10だけどね。


 確か…ほとんどの者は習得できるかできないかがまずあり、次に生涯をかけても上がらずじまいだと。


<はい。その通りです。タケルさんが異常なのです。>

<回復魔法マスタリーとかめちゃくちゃですからね。>


 俺は、アルトの言葉に苦笑いを浮かべつつ手袋をはめなおし、今度は…


「エリアヒール!!!」


 広場全体なら杖無しでも楽々だな。


<それはレベルが上がったからですよ。>

<消費MPが下がっていますし、補正もついてます。>

<これほどならば、日に3~4くらいは町を救えますね。>

<普通に考えて救世主様ですよね?>


 救世主とか言われてもなぁ。


 地図とかも把握してないし、どこにどのような町があるのかも分からん。


 村や集落、遊牧民なんかやワイルドな生活している者たちはさらに分からん。


 それに、ただ救うだけじゃダメだからなあ。


「おおう!?タケルは回復魔法使いだったのか?」

「エレクト将軍。今朝の見張り塔からの連絡で聞きましたよね?もしかして…ワイバーンのことで頭がいっぱいだったとかおっしゃらないでくださいよ?」


 ギータよ。名乗りあいのときも俺は回復魔王と言った気がするのだがね。


 シタールさんがすごいジトッとした視線をギータにおくる。


 やや鋭い目、声は澄んでいる。


 受ける感じは鷹だろうかね?猛禽類と言った所だな。


 ちょっとカッコイイと思った。


「は、はははは…そう。このギータ!ワイバーンでいっぱいだったのだ!シタールよ!残念だったな。」

「おい、リックさんに言うわよ。偉そうにしてるだけで、全然討伐してなかったって。」

「何を言うか!わたしが戦うまでも無かったというだけの事ではないかっ!だから、言わないでくれよ!」

「おでとしちゃあ、まちーっとばかしはたらこうべよ~?」


 将軍よ。


 何か悲しくなってきたぞ。


「な、ボンゴもか!?おい、タケルよ。その視線はなんだ!」

「これではギータには任せられんな。ムーちゃん。コトコちゃんのことをよろしく。もしもギータが何かしようとしたらみんなで取り押さえるからな?」


「「「「「応!」」」」」


 ギータの敵がいっぱいになった!


 日々の信用と信頼だよな。


 大活躍しただけじゃあその時限りだからな。





















「さてと、アタシとしてはリュートのお母さんとの話もついたからこれから城に戻るわ。会議はもちろん明日になるわね。まあ、エレクト将軍ちゃんも帰ってきたからその報告も明日の朝にしましょう。ほら、コトコ。行くわよ?」

「…はい。…店員さん、あたし、まわりに迷惑かけないように頑張るから…。」


 明日の予定を告げ、俯き気味のコトコちゃんの手を握ると城へと向かって歩き出す。


 ふうむ。ムーちゃんは大半『ちゃん』をつけるが…


 なぜ、リュート君とコトコちゃんにはつけないのだろう。


 いや、自分の娘もちゃんではなくツィンバルと呼んでたし、なにか自分の中で決め事でもあるのだろうかね。



 コトコちゃんも幸か不幸かなんとも言えんなぁ。


 耐性とスキルを手に入れたのだから凄いことなのかもしれないが、力には責任が伴う。


 石化してしまったみんなに謝ってまわり、みなも許してはくれたものの…やはり、やってしまったという事実が彼女の心を締め付けているのだろう。


 まあ、ギータがあれほど怒って見せたのも効いてるだろうが。






「ぐむ。これで満足か?タケル。」


 腕組しながらコトコちゃんの去って行く後姿を見ていたギータは、苦虫を噛み潰したかのような表情だ。


「満足も何も俺がいれば石化はすぐに解除できたんだ。あれほど怒り狂うとは思わないさ。モクさん、コトコちゃんを庇ってくれてありがとう。」


 俺の感謝に頭を左右に振るモク。


「王よ。あの者が竜人とは別種なのは即座に分かりました。だが、あれほど幼き者。未来を奪うような真似はわれにはできませぬ。気づけば間に入っておりました。」


 下手すればギータの槍の餌食になっていたであろうモクは、とても穏やかな表情だった。


「…兄者。」

「…言うな。」

「すまぬ。」


 何かを言おうとしたテツを右手で制した。


 彼らにも過去に何かしらの事があったのだろう。


「このようなタイミングではあるが…ワイバーンのほうに取り掛かってくれないか?」

「将軍殿…。承知。」


 ガシガシと髪をかきむしりながらもモクさんにお願いをするギータ。


「皮のほうは商人ギルドのものがそろそろ着くだろう。カトブレパスのほうも職人達が来る。タケル。上着が作りたければどちらもかなりの品が作れると思うぞ?」


 なんだと!?


 毛皮の上着とか…俺の見た目じゃ蛮族じゃないかい?


 ワイバーンのほうでは、ひゃっふーしてそうな感じになりそうだ。


 いや、外套やローブにすれば問題ないか。




「アンズは、なるべく布面積少なめでと考えております。」

「えー。それじゃ他の方々にも見せ付けることになりますよ?そこは敵を増やすことにつながるのでは。」

「ぬ、確かに。クリスタんが言うとおり、タケ様に群がるメスが増えては困りますぞ!」

「でしょう?だから、外套とかローブがいいと思うわ♪」




 …。


 クリスタさんと考えは同じとなった。


 理由は違うけどね!



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