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石化眼

 涙を拭い、立ち上がるとスカートについたほこりをおとしたコトコちゃん。


 様子が…


「ん?どしたの店員さん。あたしの顔が素敵に見える?ねえ、押し倒したいくらい?」


 コテンと愛らしく首を傾げたが、口から出た言葉はいかがなものか。


 ちょっと残念である。


「いや、残念ながらそれはなさそうだ。代わりに一つ、言っておかなければならないことが…」

「え、なになに…って即否定はちょっと傷つくなー。」

「そうか?なら、何度聞いても答えずに、無言で逃げ去るお嬢さんはどうなる?アレはかなり傷ついたなー。」

「っ!?あ、あれーそのこと憶えてるのね。あは、あははは…。で、言いたいことって?」


 見事にスルー。


 逃げたことは話してくれないらしい。


「鏡があれば分かりやすいだろうが…左目の色が違うぞ?」


 その言葉に呆けるコトコちゃん。


「へ?またまた~あたしカラーコンタクトとかつかってないよ~ってか、そんなのあるわけ無いじゃん!」


 右手をパタパタと前後に振るが、皆の眼差しを受けて…


「え、マジなの?うそー、そんなぁ…いつの間にカラーコンタクトを!」


 いやいや、カラーコンタクトとかじゃないと思うよ。瞳孔の形が違うし…


 左右で見え方に違いとか無いのか?


「その『からーこんたくと』ってのはわからないけど…コトコちゃん?そこの水瓶で見て御覧なさいな。はー、へいかくんがいると不思議なことに出会えるのねー。これは毎日が楽しくなりそうだわー♪いつでもいいから家にご飯食べに来てよねー♪家族みんな大歓迎よ~♪増えるといいわね。」


 ちょ、サントラさん!


 その最後の『増えるといいわね。』って…


「む、さきほどこのアンズのお鼻に引っかかったメスのニオイに近い…。もしや!既に…既に…ぐ、ぐ、く。悔しい。何か悔しい!」

「え、ちょっと…アンズさん。それって…レベックさんが…。」

「うむ。クリスタんの言う『レベック』なる者が、タケ様と既に雌雄を…。」

「…おとなしい子だと思ってたのに。やっぱり、サントラさんの子だからかしら…。」


 クリスタさんとアンズは、しゃがみ込むとひそひそと話し出す。


 その姿に苦笑いを浮かべるレコウードさん。


 解体するはずのバジリスクが跡形も無く消えたことで手持ち無沙汰のようだな。


「ふへー!?ヤンキーや!あたし、マジヤンキー?パパママごめん…知らないうちにこんな目になっちゃって。」


 いやいや、黒髪を金髪に染めたとかなら不良っぽいのかもしれないが、片目の色が金色になったからと言ってヤンキーにはならんでしょうに。


 ただ、ごめんと言いながら妙なポーズをとっている。


 テレビかなんかで見たことあるきもする。


 びじゅある系ってよばれてる人たちの真似でもしているのかね?





「リーダーが言ってたのは耐性とスキルだけだったから…身体の変化があるとは思わなかったわ。」


 色々と違うポーズをとっていたが、急に姿勢を正し、今までのことは無かったといわんばかりにまじめそうに話し出すコトコちゃん。


 元の世界ならなにかとコメントをもらえたかもしれないが、そのまんまの意味で『世界が違った』のだろう。


 俺もあまりテレビとかは見ないほうだったからなぁ。


 コンビにとのコラボするアイドルグループなんかもさっぱりだった。


 何か疎くてすみませんね。


 おかげで、お客さんから


『~の~グッズ!~ね、ちょ、キミそれ違うよ。その右のさらに右!もー、キミ若いのに知らんのかね?~ちゃんだよ?国民的なアイドルグループの一員だよー!』


 はあ、はい、などとお客さんの指摘に頭を傾けてばかりだったな~。


 お客さんが会計を済ませて去った後は店長から


『珍しいねぇ。渡来君。キミはアイドルにあまり興味がないのかね?綺麗な女の子達のグループだよ?カワイイとか好きだとか思える子はいたりしないのかね?ほら、この応募用紙に載ってる子達だよ?いないかい?』


 うん。


 残念ながらいませんと、即答だったな。


 あまりの即答ぶりに店長は少し呆けてから苦笑いし、応募用紙を元の位置に置くと…


『まだ若いからかね。それとも、渡来君の理想が高いのかな…。』


 と言ってきたのだけは印象に残っている。


 っと、思い出に耽っていたようだ。


 コトコちゃんは何かしらをブツブツとしゃべっているが…


「~これ?~それともこの能力によるもの?」


 ステータスを見ているのだろうか?




「ん?この『石化眼』」




 っ!?


 何だ今の…


 コトコちゃんが石化眼と言った瞬間、ギータの居る方向から不思議な感覚を…


<覇気ですね。>


 おや?アルト。おはよう。


<む。おはようございます。>

<てか、なんです?女の子増えてますよ?>

<ハーレム?ハーレムよね?>


 まるで浮気現場に出くわしたかのような…


 いや、俺浮気したことな…ある意味いや、だが、罪悪感があるのは確かなのだよ。


<リーナさんは許可してたのでしょう?>

<レベックちゃんが魔性のネコミミなのも一要因でしょうけどね。>


 魔性って。


 あの感触は魔性とは違うぞ!


 すばらしいがね!


<くっ。わたしだって触りたいですよー!>

<…で、お話を戻しますが…覇気です。>


 ああ、聞いたことがあるな。


<にしても、槍を無意識ににぎるタケルさん。>

<すごいですね?一瞬の出来事でしたけど。>







 そう。






 今俺はギータの槍の柄を握っている。


「タケル!そいつは魔物だろう!今、『石化眼』のスキルを発動させたのを確認した!民に危害を加えるつもりなら、今すぐにでもその喉首を穿つ!」


 覇気と呼ばれるものを纏ったギータは殺意のこもった眼差しをコトコちゃんに向ける。


 コトコちゃん本人は理解できていないようだ。


 いや、理解する余裕がないといったところか?


「へ、ふ、え、あ?あたし?あたし…死ぬの?魔物なの?」


 これは危なさそうだな…


 にしても、何人か確かに石化状態になっている。


 バセットさんもあの時同様だ…


 耐性がないと厄介だねー。


「無自覚か?だが、危険だ!タケル!槍を放してくれ、殺せない!」

「やらせんよ。同郷の出だ。安全は…」


 ギータににらまれるが、コトコちゃんに悪意があったとは思えない。


 それに、石化状態なら俺が何とかできる。


 俺がギータをにらみ返すと…


 


「アタシがそのこの面倒見るって言ったわよね?陛下ちゃんもエレクト将軍ちゃんも覇気を抑えてちょうだいな。怖いわよ?」


 ムーちゃんが割って入ってきた。


 


 

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