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赤と緑の

 空のほうから『バサリ』と音がする。


 音につられて見上げると…


 鳥だ!人だ!いや、なんだったか?まあいいや、こんなかんじの紹介され方するヒーロがいたような気がしたんだがね。


 まあ、ラフな格好をしたギータでした。


 ふわりと俺の側に着地する。


「黒仮面!いや、まあ、タケルだよな?さっきはネコミミに連れて行かれたときまでは仮面なかったが、アーティファクトだな?それもかなりの一品だ。それはそれでアリだな!魔王な感じが滲み出てきてるぞ。」


 アンズさんが乗ってない方の俺の肩をぽんぽん叩きながら感想を述べる。


「ん?この服装か。まあ、タケルを見送った後、魔物を広場まで兵たちに運ばせたのはいいんだが、わたしの家のメイドが広場に駆けつけてな、お帰りでしたら湯浴みをと。『今から魔物を~』ってわたしは言ったんだが、無理やり家まで連れ帰られた。でだ、ネオンとの戦いを見させてもらったぞ!」


 嬉しそうだね!風呂上りだからなのか、お肌つやつやだぜ!


「ネオンに、お前の攻撃魔法も効かないだろうな!って言っといてやったから、遠慮せずに攻撃魔法を放ってきただろう?」


 危ないこと言うなあ。お嬢さんがたが怪我する可能性もあったんだから、もっと違うタイミングでそう言うことは言って欲しかったよ。


 俺としては…


「まあ、炎殴れたからみんな怪我せずに済んだな。」


 何だその目は!


「その肉体じゃ殴らなくても無傷だろうに。まあ、どういった原理で魔法を無効化してるかが解ったから、わたしとしては収穫だよ。」


 なん、だとぅ!?


「ああ、ただ物理的に潰しているのだよ!魔法を!」


 いい笑顔でその発言はどうかと。


 今度はアンズさんからぽふぽふと頭を叩かれる。


「タケ様。それは、覇気がお使いになられるということですね?アンズの師匠様が攻撃魔法をいなしたり、そらしたり、殴りつけたり、掴んで見せたりと…あー思い出しただけでもすげー偉そうにしてましたね。それに比べてタケ様は偉ぶったりもせず、常に冷静。」


 ほほう?お師匠様ね。強そうだな!わくわくしてきた!


 ギータとの勝負もテンションが上がったが…


 ん?


 あれ、俺ってこんなキャラだったか?


 血の気が多いとは思われたくないのだがね。


 思わず首を傾げてしまった。


「むやっ!?」

「あ、すまん。」

「黒くて逞しくて硬くて光沢のある…角。でも、片方だけですよね?」

「ああ、最初から片方だけだぞ。」


 角の一撃を回避しながらもその角を触ると感想を述べるアンズさん。


 角だからね?


 勇魔族とやらってのは俺だけらしいが、生まれつき片角の者達もいるらしい。


 レベックは獣魔族だと言っていたが、弟のシディのほうは獣人なのか、姉と同じく獣魔族なのだろうか?


 違いがあるとすれば…尻尾か?いや、血の濃いさかね。


 まあ、本人様から聞いてみるとするか。


「タケルが特殊な種族なのは何となくわかるぞ。このわたしも特殊な種族だからな。」


 頷くギータ。


 確かに、鳥獣人とかではないんだよな。


 ヴィオリラ先生の翼は悪魔というかコウモリみたいなのに近いのだが、ギータのは天使、まあ白い鳥の翼だよな。


 おお、天使!


 いや、天使なのか?


「有翼人と呼ばれていてな、母上の種族なのだよ。父上は魔族だったのだがね。」


 へー。


 鳥人族とかではないのだな。


 天使族とかでもいいような気もしたが、この世界に天使や悪魔という考えがあるのかが不明だからなぁ。


「そうか、俺の種族は勇魔族とやらでな、まあ人と魔族のハーフ?」


 両親は普通の人間だったと思うんだがね。


 召喚された環境によるものだと言っても、ハーフには変わりないだろうからなあ。


「いえ、ご自身の事でしょう?なぜに疑問に…」


 困惑気味にアンズさんが呟く。


「珍しいのだろう。聞いたことない種族だからな。うむ。」


 そう言うこともあるといわんばかりに頷くギータ。


「さて、と、タケル。カトブレパスについてだが、どうする?流石に振舞うのは無しなんだよなぁ。アレは商人、職人との話し合いになるだろう。売り上げのいくらかをもらうようにするか、先に売渡かもタケル次第だぞ?」


 おおっ。文無しから脱却できる!


「ワイバーンも職人達のほうでというか、職人じゃないと料理人では厳しいだろうな。アレは力量がいるからな。技術も必要ではあるから…。それなりに力があって、技能を持つ者がいれば…」


 顎に手を添え悩むギータに…


「「ならば我らキン兄弟に!」」


 赤と緑のトカ…じゃなくて竜人!


 てか、俺のほうに頭下げてるぜ?


 ギータの呟きに応えたんじゃないのかよ。


「我らが住まう都の王よ!絶対なる君主よ!どうか!どうか我らに償う機会を!」


 赤が土下座しながらよく解らないこと…


「兄者!まずは腰の痛みを掃ってくださったご恩を!」

「むむ!確かに!われはなんと傲慢な!弟者よ助かった。」


 かたっくるしいなぁ。


 昨日の回復魔法で腰痛が治ったということだな。


 もし、バス将軍の腰痛の治りが悪ければ、気付かれない時に魔法を使っておいてあげよう。


 ラーベルさんがまたはげむ可能性があるが、ね。


「まあ、腰痛が治ったのは良かったな。礼はいいや、それでキン兄弟さん?ワイバーンを頼めるかね?」


 はっ!っとしながら顔を上げる赤。


 土下座しながら何度も何度も頭を地面に叩きつける弟。


「王よ。名はモク。弟がテツにございます。礼はいらぬとはいかに!?」

「ああああああ、名乗る機会を兄者に!」ごすっ!ごすっ!


 頭突きじゃねーか!


 相手を怯ませるつもりか?


 現に、観客が怖がってるんだがね。


『ひいいいい!あの覇気使いのキン兄弟が謝ってる!』

『弟の方が怖い!緑怖い!』

『肉や~!お肉屋~!』

『熟成肉の予約まだ再開しないのかな?』

「熟成肉食べてみたいわ~♪」


 ん?最後の声はクリスタさんだったな。


 それにしても、覇気ね。


 お肉屋さんしてるのか。


 予約しないと手に入らないのは、生産体制がそこまで調ってない?


 手間隙がかかるから?


 詳しく知らないからなんともいえないな。


「やっぱり、礼はもらおうかね。熟成肉を少しだけもらえればいいや。」


 なぜ呆けるモクさん!


「え、少し?一頭丸ごとの聞き間違いではございますまい?」

「俺は少食なんだよ。まあ、少し多めでもクリスタさんに分ける。」


 きゃー♪っといって倒れたぞ!クリスタさん!


 地面によだれが…


「ちょ!タケ様!あの発情ハーフリングに分けるとか!そこはこのアンズに!プリーズ!噂には聞いたことありましたが…熟成肉…じゅるり。」


 うわっ!?


 よだれが肩に落ちてきたんだが!


 よだれ垂らす子多いなぁ…


 今度からポケットにハンカチ入れておかなきゃな。



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