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民は見た!

 慌しく人々が行き交う中央通り、昼過ぎに陛下らしき魔族が疾走していたとの話がちらほら聞こえる。


 そして、討伐に出られていたエレクト将軍の成果で賑わっている。


 そう。ワイバーンだ。


 だが、それよりも話が大々的に出ているのは、頭の無いカトブレパスについてである。


 それと、バジリスクの群れを一つ丸ごと19匹。


 それが振舞われるそうだ。


 肉である以上は、長持ちはしない。


 もたせる方法としては干し肉にするか、燻製にするか塩漬けで保存するかである。


 それに続くのが、キン兄弟が扱う熟成肉。


 彼らの辿り着いたそれは、生肉をそのまま何日も保存してから提供するのだそうだ。


 肉の扱いに関しては目を見張るモノがある。


 少し値が張るそうですが、予約がさっとうされてるそうで…


 まだ味わったことがありません。


 食べてみたいですね。





 肉や、骨の何割かは料理に使われますが、残りの骨は素材に、内臓の類も食べれるもの意外は薬の材料になります。


 皮はもちろんのこと、鱗や結晶石などは使い道が豊富です。


 昨日の商人たちは自分らを襲ったワイバーンを倒してもらったことに関してすぐに礼を言いたいのと、その素材により作られた商品云々や、素材の加工等を行いたいと言っていましたね。


 彼らは、この国を拠点にしたいとのことなので…


 まあ、背景には昨日の魔王様の回復魔法のこともありますが、それとは別に、今まで拠点を置いていた町が亜人にたいする態度が変わってきたとのことで、居辛くなったそうです。


 おかしらと呼ばれている偉い方も、先祖返りだそうです。


 雇っている者たちも似たような境遇なかたが何人かいるそうです。


 そこに、友好的な方々が集まってできたのがキャラバンだそうです。


 おっと、何だか話が逸れていましたね。


 広場に行きたいのですがなかなかの込み具合です。


 あら、子どもが泣いていますね。


「ままー!ままー!」


 どうやらこの人ごみの中で母親とはぐれてしまったようです。


 母親の方が呼んでいるのならばすぐに知らせれますが、ふうむ。


 困りましたね。


 善意ある誰かが…。


 ん?


 子どもの側を通りがかる大男、どうやら隣の方との話に夢中なようです。


 子どもはどうにかよけましたが、大男が持つ荷物が当たってしまいます。


 どさりとこけ、怪我をしているようです。


「おい!ガキ!どこ見てやがんだ!俺様の荷物をとろうとでもしたのか!ああっ?」


 な!?


 なんと言う言いがかりでしょうか!


 子どもは避けたのに!


 アナタが笑いながら荷物を振り回したのが原因なのに!


 周りの皆は、大男が怖いのか避けて、距離を置いていきます。


 怪我の痛みと母親とはぐれた悲しみに涙を流しますが、その頬は土に汚れ、なんとも痛々しい。


 その姿に構わず大男は…


「クソガキが!何とかいえよ!おめえがぶつかったんだろうがよ!あやまんねえなら親呼んでこいや!」




 ガタガタと震えだします。




 そう。周りで見ていただけだったものたちが…


 そして、私も震えが止まりません。


 理由はすぐに分かりました。



 覇気。



 それは攻撃力が5000を超えることにより習得できるものだと聞きます。


 あのキン兄弟は二人とも越えていて、修行の賜物だとおっしゃられていましたね。


 他には、道場を開いているあのかたと、エレクト将軍。


 となると、そのだれか…が?


「なあ、泣いてる子どもを一方的に怒鳴るこのクズは誰だ?自分の非にすら気付かず、わめくだけのこいつはなんだ?」


 この声は予想外ですね。


「額を地にこすりつけ、お前のようなクズをわざわざ避けた子どもに謝れ。おい、どうした?簡単だろう?場所だって空いてる。」


 てか、上着てないですよ!


 なにその筋肉!


 マジエロイ!


 っと、はしたない言葉を…私としたことが。


 …じゅるり。…っと、あらやだいけない。


 ごしごし…


 ローブの中はすごいのですね!



 魔王陛下。




















 大男が玉のような汗をかきながら声の方へと顔を向けます。


「な、なななんだ!てめえは!このガキの親か?なら、今すぐ謝ればゆ、許してやってもっ」


 こわいこわい。


「そうか…非は認めないか。残念ながらこの子とは初対面だ。」


 すると、大男の隣で今まで黙っていた男が…


「ふひあっ!ふひィ!」


 恐怖状態。


 圧倒的な差に恐怖し、正常な判断が失われているようです。


 持っていた武器を構えると、振り回し始めます。


 よりにもよってメイスだなんて…


 あ!近くにいる子どもがあぶな…い!?



 メコッ!と音をたててひしゃげる。



 一瞬にして子どもの前に移動した陛下の左腕に当たると、面白いように形を変えてしまったメイス。


「ふうむ。この場合は、正当防衛として反撃しようかね?」


 えーっと、メイスで殴られたのに顔色一つ変わりません。


 それどころかのんびりと拳を構えました。


 現実についていけない男はメイスを手放すとそのままおかしそうに笑い出し…


「ひ、ひひひあははは…。」


 漏らした。


 あらやだ…観客が多いわよ!


「っ!?てめえ!よくもダチを!」


 え?勝手に暴れて、勝手に漏らしたのに?



 どんなに自分が悪くても、決して認めず、他者に擦り付けるか、怒り狂うかたっていますよね。



 大男の荷物(袋の中身)は、鞘に入った剣に盾等、こんなものを振り回して子どもに怪我させたんですから、普通に兵隊さんのお世話ですね。


 へたり込む彼も武器を振り回したから兵隊さんにつれてかれますね。


 まったく…広場でしでかすつもりだったのでしょうかね?


 ならおばかです。


 あの場にはそれこそエレクト将軍が控えてますし、キン兄弟の2人もいるでしょうから…


 下手すれば殺されていたでしょう。


 いえ、ここで陛下によって殺されてしまう可能性も…


 覇気についても陛下についてもご存じない愚か者のようですからね。


 大男は剣と盾を構え、陛下に斬りかかりますが…


 その肉体は一切傷つきませんでした。


 反撃する気配が無いのですが…


 それは子どもを庇っているからだと気付く。


 でも、庇ってるからと言っても正面から剣を叩きつけられてるんですよね。


 肩でも首でもびくともしない。


 掠り傷すらつけれない。


 ナニソレ怖いと思いつつも、皆見入ります。


 これが回復魔王・トライオス。


 


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