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ぼくのおにぎり

 まるでこの世の終わりといわんばかりの表情を浮かべるシディ君。


「そん…な。おっぱいのない姉貴が!」


 どうにか言葉を絞り出した。


 …それひどくね?


「タケルさまは魅了等が使われない限りは大きな胸にはあまり興奮しないんですよ~♪ふ、ふふふ…自分は女になったのですよ!」


 ズビシッとシディ君を指差すお姉さん(レベック)だが、膝ガクガクである。


 魅了。


 …ふうむ。


 確かに、目のやり場等には困る程度であって、そこまでは…


 あ~でも、アコーのおもちもちもちな感触は別世界だわな。


 てか、アコーの場合は大きすぎるし肩とか首とかこらな…あ、頭取れるや。


 どうなんだろうか?少し気になってきた。


 だが、そこらへんを聞くのはセクハラになりそうな気がする。


「ううう~。姉貴がぁ~。男装やめるってことか?」


 む?男装をやめる。


 あー、想像してみる。


 鎧姿でもなく、今のようなシャツとズボンではなく…


 ワンピース姿やスカートをはく姿をイメージするとなんとも可憐で、ああ、いいぞ!


 すごくいい!


 元気になれます!俺!


「ああ、素晴らしい世界が見えた。レベックの白いワンピース姿が…最高だ。いや、他の色もなかなか…。」


 おや、どうやら言葉が漏れていたらしい。


 俺、独り言言うほうだったかなぁ。


 これじゃ、うっかり喋った場合が危ういな。


 注意せねば。


「想像力豊かなようね。あたしのお古くらいならあるわよ?スカートはくならね、レベック。」

「そういや幾分とスカートを穿いた姿を見てないな。」

「ぼくならさっきまで穿いてたよ!陛下!見ます?ねえ、ぼくのスカート穿いた姿見ます?」


 母、父、弟の順に話しかけられているレベック。いや、弟君だけは俺のほうを見てから凄いこと言ってきたんだが…


 さっきまで穿いてた。


 なあ、健全ってなんだろう?


 あ、でも…もといた世界でもスカートを男性が穿く国があったな。


 まあ、伝統的な衣装か。


 それとは別に、『メンズ・スカート』なるものもあった気がする。


 そう考えると、男がスカートでもアリか?


 アリなのか?


 ぐぬぬぬ。


 ファッションが分からん!アクセサリーとか言われても分からん!


「タ、タケルさまがお望みとあらば…そういえば、上着はどうされます?ローブ以外はお持ちではないきがするのですが。」


 顔を赤くしながらレベックが俺に聞いてくる。


 あ、そうだよなー。


 未だに上半身裸なんだよな。


 不審者とは思われないだろうか?


「みごとな肉体だからそう隠さなくても良かろう。それに、ハンターや冒険者なら上着て無いやつらもちらほらいたりするぞ?」


 俺の心配が伝わったのか、レコウードさんが気にしないと、普通にいると言ってくる。


 野蛮な方だとは思われたくは無いがね。


 なるべくは羽織っていたいな。


 安物のでもいいからローブを…


 あ、お金ないや。


 てか、この国がどういったお金の制度をしているのか?


 紙幣とかあるのかね?カードとか?


 物々交換はありえそうだけどな。


 金貨とか銀貨だろうかね?


「そんなに気になるのなら、バス将軍の置忘れならあるわよ?」


 サントラさんが提案するが


「いえ、そこら辺はどうにかします。イザって時は走って城に帰ってローブ見繕いますんで。」

「あらそう?ならいいわ。」


 その時…




『おーい、レコウード!広場のほうで魔物さばくから応援がほしいってさ!』

『わしらは先いっとくでよ~!』

『おうさ!話によるとバジリスクだけでも19匹だとさ!』

『そうそう、それプラス、ワイバーンに…あ、カトブレパスは陛下待ちらしいぜ?話によると一撃で頭を潰したらしい。』

『切り落としたんじゃなくて、潰したんだとよ!バセットが言ってたぜ?他の子ども達も同じこと言ってるしなぁ。』

『回復魔法だけでなく腕力もかなりのもののようだな。じゃ、詳しい話は広場でなー!』




 複数人の男たちは扉越しに思い思いに話すと去って行った。


 その張本人が壁を隔ててすぐにいることに気付かずに。


「…。陛下。盾の話のときに言っていたな…アレ、マジだったんだな。弁償。」

「バジリスクを狩った後、子ども達と話してたら、見かけましてね。」

「バジリスクも陛下か…。」

「いや、一匹はバセットさんが魔法で倒したらしいんですよ。まあ、その後に複数匹出てこられて、ピンチになったところに俺が間に合ったと。それで、会議のほうは参加してないんですけどね。」

「…。それは逆に言うと18匹は陛下が倒したと言ってるのだがね。」

「そうなりますね。」


 レコウードさんは無言になられた。


「ねえ、ワイバーンは?それもへいかくん?」

「いえ、ワイバーンは弱らせはしたんですが、とどめはギータです。」


 俺がサントラさんにそう答えると…


「「ギータ?」」


 なぜか、首を傾げられた。


 そういえば、みんな『エレクト将軍』って言ってたな。


「魔軍将エレクトですよ。彼とはその後、競走しましてね。」


 今度は『競走?』に首を傾げる二人。


「自分は見てましたから。でも、エレクト将軍もワイバーンを担ぎながら走ってましたよね。タケルさまはもちろんカトブレパスでしたが…。」

「ねえ、将軍とへいかくんはなんなの?大型の魔物かついで競走って…なんなの?」


 異常な風景だよな。


 でも、なんでレベックは?


「あー。なぜいたのかですか?それはですね、タケルさまの走り去るお姿を見かけまして、その後は戻ってくるまで門の側に居たのです。えへへ…。」


 待ち伏せされていたのか!


 目とミミはよさそうだよな…


 すでに獲物として捉えられていたのだな!


「…だからお使いにしては帰りが遅かったのね。」

「さて、話をそろそろ切り上げようか、陛下も向かわれるでしょう?そのカトブレパスの事があるでしょうから。サントラも包丁を用意してくれ。」

「はーい。子ども達はお留守番よ?そのおにぎり食べちゃいなさい。」


 あ、おにぎり!忘れてたぜ!


「では、俺一つもらいますね。」


 そういい俺は一つとると一口…。


 塩おにぎりですね!


「どうです?陛下!『ぼく』のおにぎりですよ♪おいしいですか!」


 なんだろう。『ぼく』をやけに強調したのだが…


 そこはぼくがにぎったおにぎりと言うべきだろうに。


「『ぼく』をじっくり味わってくださいね♪」


 …。


 俺の咀嚼する姿に熱い視線をおくりながら、含みのある言い方をした。


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