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面接ですか?

 恥ずかしいよー!


 俺が声を上げたわけではないが、俺の名前を連呼しながら…


 うん。激しかった。


 俺の戸惑う様子を気に留めることなくレベックのお母さんが口を開く。


 その眼差しは真剣そのものだった。


「で、このようなことをお聞きするのははしたないのかも知れませんが…。お仕事等はされていますか?」


 え?


 ナニその質問…。


 面接ですか?


「お仕事は…。」


 質問に困りつつも、返事しようとすると…


「ま、まって。早急すぎたわ。あたしの夫も無職からスタートですからね。」


 あー。それは、怪我により兵の仕事ができなくなった所だったというわけですな。


 そこから今では…ふうむ。


 見る限りは併設されているような感じのあちらがお店?


 席がいくつもあるから食堂か何かかな?


 少し大きめな厨房も見える。


「気になります?家は昼飯処を営んでおります。他ではパンなのですが家ではお米を提供して…」

「お、お米!?」


 お米だとう!?なんとびっくり、ライスとは言わないんだね♪


「ちょ、ちょっと落ち着いてください!なんなら、おにぎりでも?運動していたでしょうから、おなかすいてるでしょう?」


 …運動。


 否定は出来ない。そして、おにぎりという発言…。


 ライスボールじゃないんですね♪


「あ、ありがとうございます。こっちに来て食べれるとは思いませんでした。」


 ソウルフードを。


「あらあら…。そのようなお姿ですから沢山お食べに?」

「いえ、こう見えて少食なんですよ。その外見でか?っとよく言われちゃうんですがね。」

「用意する前でよかったわ。まあ、レベックは食べるわよー。だから、食費とか心配なのよね。」


 元気ですね!


 そうとしかいえません。一緒に食事もしたこと無いのに、何か色々とすっとんで今の状況な気がする。


 その時…



 ダタッ


 ゴスッ


 ゴロッゴロ…


「か、かかかか母さん!そんな食べるとか、食費が~とか言わないでよ!」


 階段を転がってきたようだが…


「無事か?」


 俺は、席を立とうとするが…


「タケルさま。自分は怪我はありませんので大丈夫です!多分、ここで魔法を使われたら…我慢できずにまた…欲しくなるかもしれません。」


 大胆な子ですね!


「ねえ、愛しの娘よ。誤魔化せないことよ?食べるでしょ?それで…様付けだなんて、どこかの…いえ、まさか!」


 まさか!?


「お金持ち?あ、でも…上すら着てないし、角も片方…うーむ。だれでしょう?」


 っ!?そういえば…俺、お金持ってない。


 これはやばくないか?


 魔物を狩って稼いだ金は国の方にまわす的なことをギータが言ってたし…


 どう稼ぐ?


 ここで皿洗い?


 それとも…紹介してもらうか?


「なあ、娘よ。母さんは…彼をご存知ではないようだ。」


 お父さんの声に反応し、上体を起こしたレベックはふらふらしながらも階段の手すりに身をあずける。


「え、父さんは…」

「バスから聞いたし、お前の父さんなんだぞ?まあ、昨日だって城から帰ってきてから部屋で連呼してただろう?」


 あー、不安定ってリーナが言ってたが…


 そして、バス?


「陛下の疑問はバス、いやバス将軍の名が出たことでしょう?」

「あ、はい。彼とは昨日の朝知り合ったばかりでしたが…盾の話とかしてました?」


 俺がそう答えると…


「ふ、ふふふ…それがな、はっはは…キミとのやり取りを聞いた後、ラーベルが尋ねてきてな…連れて行った。だから、そこまで詳しくは聞いてないんだよ。で、盾がどうした?」


 思い出し笑いをしながら話してくれたが…その後二人はハッスルしたわけですね。


 そのことを言うのは不味いと思い、盾の話をする。


「いえ、話を聞いたのにでてこなかったのですね。俺がレベックを守るために盾をダメにしちゃったこと…。まあ、先ほど大盾の素材になる魔物を狩ったんで、弁償代として素材を贈るつもりです。」


 驚くお父さん。


 お母さんは話についていけず、首を傾けながら「へいか?ん~?へいかくん?」などと呟いている。


 あ、名乗ってもいないや…。


「あの盾をか?盾将軍のトレードマーク、カトブレパスの大盾を?」

「ええ、ぼこっと…。」

「それで回復魔王とは驚いた…。まあ、ローブに包まれていた肉体がこれほど見事で、仮面を外した素顔も印象がまた違うものだ。」


 うんうんと頷いているが…俺の素顔の評価が気になる。


 印象がどう違うのかが特に…


 やっぱ恐ろしいのか?


「だが、娘のことはあまり甘やかさないでくれよ?…ぬ、そういえばこんな喋り方でいいのか?いくら娘が連れてきて襲った男だと言っても…立場がアレだろう?」


 甘やかすって…。それに、今更だな。


 元より偉いやからじゃないからなぁ俺は。


「いえ、話し方は人それぞれですから。立場といわれましてもね、まだまだ不慣れですし、今日は初めての会議だったんですがね、色々と起こりまして…。」


 俺は、苦笑い気味にそう答えた。


 まさかこうなるとは思わなかった。


「えーっと立場がアレで、会議…。ま、まさか偉い人?」


 答えに辿り着かないようだ。


「母さん…。自分が紹介しよっか?」

「いや、そこは俺が名乗るべきだろう?」

「なら、仮面のほうをしてくださったほうが…」


 む。そうか、国民まあ昨日の回復魔法のときも仮面をつけていたな。


 ではオン。


 そして、名乗る。


「俺は回復魔王トライオス・タケルです。」


 お母さん唖然。


 ギギギギ…っと娘さんのほうに顔を向ける。


「ねえ、アレなお方よね?アレがアレなアレアレ~なアレなアレ様よね?」


 アレアレ言われても分かりません。


「質問。回復魔王って…あ、陛下だ!」


 質問の途中で答えに辿り着きましたとさ。


 おめでとうございます。


「まさか…城勤めって…それが狙いだったの?」


 おうい、そんな狙いは無いでしょうに!


「か、母さん!夜勤をするように言ったのバス将軍だよ!それに…タケじゃなくて陛下は、陛下は…ごにょごにょ…。」


 なんだそのごにょごにょ!気になるじゃないか!


 なぜかごにょごにょとしか聞き取れない!不思議空間!


 こ、これがレベックの力か?


 それとも、何かの補正?


「…。わかりました。ええ、そんなこと言わなくてもわかってますよ。もー、かわいげが無いなぁー。愛おしいけど♪」

「だが、それでいいのか?」


 ねえ、何をお話で?


「二番でも構わん。だが、娘のことをよろしくお願いします。」

「リーナ様が一番なのは仕方ないことだとして、娘をお願いします。へいかくん。」


 …。


 こんな時は、何て答えればいいんだろう?


 

 

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