欲するままに
っと、ここはどこだっけ…。
えっと確か、ギータと競走をして俺が先に門にぶつかり、あいつのクッション代わりになったんだったな。
いやー丈夫な門だよな。
何かしらの補強がしてあるのだろう。
勢い良くぶつかったわりにはびくともしなかったからな。
まあ、門番は驚いていたがね…。
俺がギータにタックルされてる様にしか見えなかっただろうからなぁ。
タックルした本人は「すまん。」と小声で謝ってくれた。まあ、俺はそこで頭をぶつけたらしい。
そう。ぶつけたのだ…。
そして、近場から俺を呼ぶ少女の声を最後に意識が…
不安そうに、心配そうに俺を見る金色の双眸。
愛らしいオレンジ色のネコミミ。
「…レベック。」
「…。」
俺の声にビクッと反応をするが、返答が無い。
「なあ、キミはレベックなんだろう?」
「…はい。」
ああ、気を失うときに聞こえた愛らしい声だ。
耳に心地よい。
「その声…俺は好きだな。」
「声…だけですか?」
おや?不服そうだな。
「なんだ?理由を話す気になったのか。それは嬉しい限りだよ。」
「っ!…うれしい、ですか?」
俺はレベックの不安に揺れる瞳をジッと見つめた。
すると、見つめかえされた。
「ああ、うれしいよ。嘘、偽りは無い。本心だ。」
「…本心。…本心ですか。」
視線を下に逸らし、俯きながら本心という言葉を噛み締める。
頷き、顔を上げると…レベックは着ているシャツの裾に手を伸ばした!
そして…ぬ、脱いだっ!!!
え?
「…さらし?」
「…。」
俺の呟きにネコミミを反応させたが、顔を真っ赤にしながらも無言で、今度はそのさらしの結び目を解いた…。
しゅるしゅると音を立てて解け落ちる。
そして、顕になる。
小振りではあるが…
ある!
あるぞ!
そりゃあもちろん反応しましたよ。
勇者の剣が…
「っ!?へ、陛下…じ、自分の胸でこんなにも…リーナ様が言っていたのは嘘ではなかったのですね。」
俺の下腹部に視線を向けながら嬉々としているレベック。
そして、次は…
ズボンの紐に手をかけた。
キッと引っ張ると結び目は解け、ストンと落ちるズボン…。
待ち構えていたのは、明らかに男物ではない下着。
いや、ショーツと言うべきだな。
傍から見ればパンツ一丁。
最後の砦、ショーツも…下ろした。
待っていたのはオレンジ色の…
っと、これはアウトだな。
うん。
感想は言わんぞ!
綺麗だった!
一糸纏わぬその姿…。
「美しい。」
俺の口からこぼれたのはそれだけだった。
だが、冷静になる。
これはいいのか?
俺はリーナを…
「陛下。」
俺が視線を逸らし、悩んでいると凛とした声で呼んでくる。
努めて、極力視界にうつらないようにレベックのほうに顔を向ける。
「陛下が望むのならば…。いえ、欲しているのは…」
おうい!その表情は反則だぜ!
「リーナ様に申し訳ないとご思いでしょうが…。許しは昨日の時点で頂いております。」
何か話していたのはそう言うことだったのか?
いや、だがしかし…。
「こ、ここはどこなんだ?」
「自分の部屋です。」
「お、音とかは…」
「無論。風を断っています。鍵もかけました。」
用意周到ですね。
ゆっくりと俺が寝そべるベッドに近づくレベック。
あーこのベッドはレベックが寝起きしているのか~いい匂いだ。
洗濯はこまめにして、布団類もちゃんと干しているのだろう。
片付いている部屋なので、気分がいい。
俺は、ベットに手をかけるレベックの姿から視線をそらさずにはいるが、そんな事を考えていた。
「陛下…いえ、タケルさま。」
その甘いとろけるような声に反射的に上体を起こす。
ホントにいいのだろうか?
不安が伝わったのか…
「タケルさまが欲するがままに。」
そう優しく囁くと、まぶたを閉じた。
その言葉に俺は…
行動で応えた。
心地よい疲労感にまどろんでいると…
俺の隣に寝そべりながら、呼吸を整えているレベック。
おや?ようすが…
「欲するがままに…。欲しい…。」
え?いや、俺から下りる時ガクガクしてた気が…
だが、その瞳に野生的な何かを感じた。
「母さんが父さんと【にゃんにゃおーん】を良くする理由が良く分かりました。ええ、はい。自分、タケルさまをもっと欲しいです!」
おい!夫婦仲がよろしいようですね!
飛び起きると、そのまま俺に肉食獣がごとく襲いかかった!
ああ、第二ラウンドのようです。
なあ、ホントに音漏れとか大丈夫なのか?まだ日も沈んでない気が…
てか、俺はこういう事してていいのか?
様々な考えは、快楽にとろけた。
そんな時…
ガチャ!
え?ガチャって!
「こらー!今、ニャン時だとおもっ…て…え…う、そ?…ご、ごゆっくり~」
オレンジ色のネコミミさんが顔を隙間から覗かせたかと思うと、苦笑い気味に扉を閉めて去っていった。
いや、ぜんぜんゆっくりじゃないです!
とても元気な娘さんですね!
『あ、あにゃたー!レベックが…娘が!男を部屋に連れ込んで襲ってるわー♪』
何で嬉しそうなんだよ!
そして、普通に外の音が聞こえていることに気付く。
と言うことは、今この部屋の音も…
「ニャァッ!ナァッ!もっと、もっと~!」
これは聞かせれない気が…。
『…サントラ。やはり、お前の娘だな。』
『あらやだ♪あたしたちの、でしょ?レコウード、ふふふ♪』
お、お父さん!
なかなかダンディーな呆れ声ですね。
そして、どうにか治まったらしいレベックをぬらした布で拭き、服を着せてあげる。
俺は…まあ、ちょいと拭いてもらうだけですんだ。
そして、下の階に下り、ご両親の前で頭を下げる。
「む?キミ…頭を下げるのは何か違う気がするぞ?それに…襲われたわりには歯形や爪あとが無いな?」
あー、アナタは奥さんとの時はそうなったのですね。ええ、古傷が見えます。はい。
「あー、俺。丈夫なほうなんで、ご心配ありがとうございます。つきましては、娘さんと…。」
なんだ?急に二人して嬉しそうだぞ?
「「どうぞ♪もっていってくださいな?」」
えー、その言い方はどうかと。
「にゃたしが14で旦那をゲットした話をしたらね、この子…14になってもそのような機会が無い。自分には魅力が無い。だから、父さんみたいに兵を目指しますって言い出してね…。」
にゃーって言わない普通の喋り方できたのか。
てか、お母さん若すぎじゃね?
「ああ、あの時は17で片足失って落ちぶれてたんだがな…ステキな女性と出会えたよ。ハジメテのときはそりゃあ引っかかれ、噛み付かれての傷だらけにされてな…友人から祝福とスゴイ心配されたがね。」
そう言って苦笑い気味に見せる右足は…途中から義足のようだ。
ただ言えることは…
「お若いですね。」
だがその言葉に…
「「キミほどじゃないよ?」」
やはり、レベックの声と音が凄かったようだ…。
恥ずかしい。