好かれないほうだと思ってた
石化状態の茶色ウサミミメイドさんに…
黒にグレーなイヌミミっぽい、ぽっちゃり君に…
桜色の髪をした、将来が凄そうなお嬢ちゃん。モデルとか、アイドルいけるんじゃねーか?
<偶像ですか?>
おうい、そっちの意味知ってるのか?
<ええ、まあ…神殿とかには有るものですよ?>
妙な宗教団体がいませんように!
<残念ながら…人間至上なやつがあります。>
うわああああ…ぜってーぶつかるよ。
そこが事を起こすよ!
<ふぁいと!>
やべー他人事だぜ。
<それはその、わたし声だけですし…。アドバイスがせいぜいですよ。>
それだけでも感謝したりないけどな。
おかげでバルちゃん達をすぐに助けれた。
ありがとう。
<っ…。ず、ずるいなーもう。そんなやさしく言われたら…っもう。>
<…オフして寝ます。>
あ、オフられた…。
「むふー。やっぱりタケルおにいちゃ…じゃなくて、へいかはきてくれたでしょう?」
おう!唯一泣いてすらいないバルちゃん。
とても、上からな物言いだな。
「っ!?」
おや、最後の一人がだぼだぼなシャツの胸元をぎゅっと握り締めている。
はっきり言って…性別がわからん。
水色な髪に、所々グレーが混じる…
俺の顔を窺うような態度を見せる。
てか、他の子も俺が怪我してないか聞いたわりには言葉を返さない。
も…もしや!
俺は子どもにはあまり好かれないほうだからか!
バルちゃんが特別だったんだな?
まいったなーっと思って額をかくと…
子ども達は顔を少し強張らせた。
「ぬ…なんだ?顔を真っ赤にして震えて…もしや、この仮面が怖いのか…」
気になり、子ども達に聞いてみる。
ブルブルと震えながらも首を横に振る子がいるが、あちゃー黒だからかね?
オフ!
「あ、仮面とっちゃうのー?」
やっぱ、バルちゃんが物怖じしないだけかね?
「ふうむ。バルちゃんは仮面な俺がよかったのか?」
そう聞いたとき、水色にグレー交じり髪の子が…
とてつもなく幸せだと言わんばかりの顔で、俺のズボンにすがりついてきた。
「っおいおい。大丈夫か?よしよし、怖い思いをさせちまったな…。」
やはり俺の仮面が怖かったのかと思ったのだが。
「う、ううう…。」
っと、離したくないと言わんばかりに小さな体を押し付ける。
まあ、死ぬかもしれない所を助けたんだ。
この子達のヒーローなわけか…。
すると、急に力が抜けたようにふらつく水色君?ちゃん?
この場は精神的な部分の回復も行ったほうがいいよな…
俺は、ふらつくその子を優しく左腕で抱えると、右腕を天に突き上げ…
「「メンタルヒール!」「レジストフィールド!」ついでに「エリアヒール!」」
使える魔法は使わなきゃね。
光が収まると、俺と抱えられている子を交互に見てから…
「へーかー!!!」
「陛下ー!!!」
「わおーん!!!」
バルちゃんが真っ先に走りながらしがみ付く。
次に、桜髪の女の子…
そしてぽっちゃりな、わおーん君。
あれれ~
子どもには好かれないほうだと思ってた俺にはほんと別世界だぜ。
あの時を思い出す。
くいっ くいっ
『ん?なんだい、お嬢さん。』
商品を並べていると上着の裾を引っ張られて、振り向けば小学校入りたてくらいな女の子が…
『…。』
顔を赤くしなが無言で居た。
再度聞くが答えない。
それどころか俺が声をかけるたびに顔を赤くしていき…
逃げた。
そう、逃げたのだ…。
アレには傷ついたなぁ…。
それに比べて今は…
やっぱり、子供はかわいいよな…
ナデナデ~
おお、毛触りいいな…
そう思いながらみんなを撫でる。
その時…
「…ふひっ。」
え、なにその声!
声の主は…茶色いウサギさんでした。
色んな液体が顔の表面を占めている。
涙に鼻水、さらには口の両サイドからよだれだらだら…。
「あ、あたちも~。子ども達特権使えたらなぁ~。」
すげー羨ましそうだな…。
…っ!?
俺は、すかさず手招きをする。
その行動に嬉しそうにこちらに駆け出すウサミミさん。
だが、俺は子ども達から少しはなれる。
その動作に不思議そうにするが、俺がまた手招きをすると…
なぜか、万歳しながら走るのを再開する。
その横を俺が通り過ぎた。
「…ふぇっ?」
ごすっ
「こりゃもぐら叩きみてえだな…。」
今、首の骨を叩き折ったバジリスクの亡骸を見ながら…
俺は思わず呟いてしまった。
「あ、あたち…また助けてもらっちゃった…。」
俺の後ろでそんな事を言っているのを聞き流す。
他の穴から出てくるかもしれないと思い、俺は見渡す。
すると、少し離れた穴から新しくバジリスクが出てきた。
そいつは俺と目が合う。
「い…いけないっ!陛下が!あ、杖が…」
ん?ああ、ウサミミさんは目を見てしまって石化してたから焦ってるのか。
だが、彼女の心配を他所に…
バジリスクは恐怖に身をよじり、カラダから色んな水分を出しながら…
白目をむいて気絶した。
「「「「「ナニソレ怖い!」」」」」
俺を除く、全体の総意だった。