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あたちは見た!

 がやがやと騒がしい城門前。


 先ほど、城内にも流れたのだが


 新しき魔王陛下が国全体に回復魔法をかけたとか…。


 あたちも驚きましたよ。


 お空が白くてあたたかくて、キラキラしてましたから。


 めっちゃくちゃ気持ちよかったのはここに記す。


 そしたらですねー


 メイド部隊を率いる魔軍将のツィンバロム様が特別講習としてお茶の入れ方をとの事だったのですが、あまりの混雑に借り出されることになりまして。


 その手伝いにメイド達も向かうこととなりました。


 後の話によると、その時に気を失った陛下とすれ違っていたそうです。


 それは惜しいことをした。


 皆言いましたよそりゃ~


 聞く所々で陛下の姿の話ばっかりでしたから。


 急に現れた謎の仮面の貴公子ですよ?


 ドキドキしちゃいますよね?


 ううう…くやしいです。


 その日の晩は久しぶりに机の角にお世話になりました。


 はあああぁ…


 コレが大人になるということです。



 少し前までは子ども達とわいわいと遊んで過ごしていましたが、14からは魔法の勉強を本格的にはじめ、ひと月でDライセンスをもらいました。


 今では、Bをもらい…Aを目指して日々鍛錬しています。




 ちなみにですねー



 Eのライセンスが生活でちょっと使うかな~で、もらえます。まあ、わざわざライセンスを発行してもらう方はいませんがね。



 Dのライセンスが二種類以上の攻撃魔法を取得し、技術を認められること。



 Cのライセンスにもなるとですね、特殊魔法もしくは属性魔法の適正云々が認められることなんですよね。ここで躓く方が多いです。流石にこればっかりは生まれ持ってのことですからね。



 Bのライセンスは…魔法を使用した戦闘です。ここからは、部隊に入隊しないと通常は不可です。まあ、物好きな方は入隊してBもしくはAを頂き次第辞めちゃうとか…。給料もらう生活ではなく、自分で何かしらの店などを開く方々なんかがいますね。


 近場のパン屋も、火属性にかなりの適性を持っているから隊では副隊長も問題ないと言われたかただったのですが…


 子ども達のためにパンを焼きたいと言ってAランカーの魔法使いさんが店長してます。


 その店長ちなみに…歳の離れた妹がいます。


 そう、あのにくったらしいライア!


 あたちの喋り方がおかしいとか、子どもっぽいとか言ってくるんですよね!


 うぐぐぐう…でも、あのパンのおいしさに負けます。


 しょっちゅう買って帰ります。


 でも、お店行くたびライアに指摘されるのがなんとも…


 くやしいです。




 …っと、話が逸れてしまいましたね。




 Aのライセンスはなんと言っても実戦戦闘。もちろん相手は中型以上の魔物複数。


 だから、隊云々になってくるんですけどね。


 小型は?と思われるでしょうが、登竜門的なDとCとの部分で訓練と称して狩ります。お肉にします。いただいちゃいます。おいしかったです。


 Bの時には小型複数と中型一体のどちらも訓練します。


 訓練の時に倒した中型こそ…バジリスクでした。


 小型のコカトリスと同じく石化能力を有してるのが厄介な所ですよね。


 大型のアレにかんしてはまずであったら諦めろと言われたのだけは今も思い出します。


 中型複数の場合はあたちにはまだまだ遠い世界なのですよ…。


 え?Aから上ですか?


 そりゃーSライセンス。SSライセンスと…


 そして、この国には数年前まで、SSSの将軍がいたとか…まあ、旅に出たらしいです。


 にしても、あたち…誰に説明してるのかな?


 コレが走馬灯?




 昼前にメイド長に呼ばれたかと思うと「アナタをご指名らしいわ。」とのことで、嬉々として指定された場に向かうと待っていたのはバルちゃんでした。


 この子も謎が多いのよね…。


 噂によると…将軍の…


 いえ、まさかね…。


「だいじょうぶだよー。バルが泣く未来は…タケルおにいちゃんが変えてくれるから…。」


 え?今あたちの顔見てなんか呟きましたよ?


 タケルおにいちゃんが気になります。


 ステキな殿方なら紹介してもらおうかしら。


 今年で17なあたちは無論、この国における大人の仲間入りです。


 まあ、他所ではもっと早いらしいけど…。


 あたちの同い年のレベックの親が若いのよね~


 あたちの家は高齢結婚だったらしく…一人っ子だ。


 もちろん、すでにヨボヨボじじーなパパ、ふくよかーなママである。


 ああ、パパ、ママ…ごめんなさい。


 ここで終わりみたいです。





 石化状態で目を閉じることさえ出来ないあたちは涙と鼻水だけをながすのみ…


 はー、こりゃないぜ!


 もらしてないだけましか…







 すると…子ども達の話し声が…


 え、陛下がくる?


 なばか…な…


 あの砂煙はなに?


 そして…黒髪な黒い仮面の…


 マッチョ!


 おう、いぇす!


 涙と鼻水に、あたちはよだれがプラスされた。




 ちょ、跳びましたよ!!!


 だが、動けないからどこに跳んだかわかりま…






 ぐしゃり…






 とても近くで聞こえました。


 何かの潰れる音です。


 その後も生々しい音が続きます。


 がまん…がまんよ!もらしちゃ負けよ!


 そして、静かになった…が


「無事か?いや、まあ…怪我してたり、痛い所があったら言ってくれよ?」


 え、だれ?


 ちくしょう…微妙に視界に入らない。


「むふー。やっぱりタケルおにいちゃ…じゃなくて、へいかはきてくれたでしょう?」


 この声のお方がタケルおにいちゃん?


 それを、陛下と言いなおした?


「ぬ…なんだ?顔を真っ赤にして震えて…もしや、この仮面が怖いのか…」


 困ったような声色で話す陛下と呼ばれた殿方。


 仮面!?


 あの走りながら跳んだマッチョは陛下なのですね?


 あたちはみてしまったのね!ローブに隠された肉体を!


「あ、仮面とっちゃうのー?」

「ふうむ。バルちゃんは仮面な俺がよかったのか?」


 えー!えー!仮面とっちゃったのですか!


 マジ見てー!!!


 動け!あたち!


「っおいおい。大丈夫か?よしよし、怖い思いをさせちまったな…。」


 ねえ、なにしてるの?


 きになるわー!


「「メンタルヒール!」「レジストフィールド!」ついでに「エリアヒール!」」


 すごい!


 複数を対象とする魔法を短時間に連続して発動だなんて!


 あ、あったかいいいいい~


「へーかー!!!」

「陛下ー!!!」

「わおーん!!!」


 がしっと聞こえた。


 もしや、子ども達特権で陛下にハグを!!!


 その光景を見るために首が動いた。


 おお~!!!


 魂が歓喜した!


 あたちは見た!



 しがみ付く子供たちを優しく撫でる


 陛下の微笑むその素顔を…


 


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