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ただそこにお膝があるから

「あーおいしかったわ。」

「そうですか。作りがいがありますね。では、少し休まれてから向かってくださいね?」

「えー今すぐは?」

「食後すぐはカラダに悪うございます。ええ、もどしちゃいますよ?」


 それはイヤね。


 仕方ないので、椅子に座りゆっくりする。


 すると、食後のお茶が用意される。


 アップルかー。トライオスはどんな味のお茶が好みかしら?


 ふー、満足感はあるのだけれども…


 欲求ががが…


 そわそわ…


 もぞもぞ…


「姫様。手…」


 っは!?いつの間に…


「元気なのはよろしいですが、殿方によっては幻滅しますよ?」

「そ、そうなの?」

「ええ、昂っちゃって…でも、その姿を見て少し苦笑い気味に避けられたことが…。」

「そ、それはイヤね…。」


 そして、体験談なのね。


 私は、城のメイドとのまあ…女同士?によって発散することがある。


 でも、ハジメテは自分の尻尾でなのよね…。


 自分の中に流れる血が暴走した結果である。


 そうに決まってる。


 そして、殿方との経験はない。


 女同士ならふ、ふふふ…


「姫様。よだれ…」


 あらやだ、私としたことが…


 ごしごし…


「どう?」

「どうじゃありませんよ。殿方の前では流石にご自身の腕等で拭わないでくださいね?」


 そう言いながら近づき、エプロンから布を取り出すと私の腕を拭う。


 私も布常備したほうがいいわね…。


「姫様のよだれはまだコントロールできていないのでしょう?制御できるようにならなきゃいけないのは分かってますよね?」


 これは厳しい発言ね。


 しょうがないじゃない…。


 心とカラだは時として別々なのよ…


 こればっかりは私にはどうしようもないのよね。


「全く、すぐ諦めたような顔をして…。」

「ぶー。」

「子どもっぽく見せてもダメですよ?」

「どうすればいいのか分からないんですもの。お母様もすぐにいなくなっちゃったのよ?御爺様はインキュバスのわりにはそう言う関係に全くだったし…。教えてくれる者がいないじゃない!」

「いるでしょう?」

「う…ぐ、あの方は苦手なのよね。」

「苦手なら仲良くなりましょう。ヴィオリラ様と…」


 何だか無理なのよね…。


 むー。


 それに、ほとんど会わないし。


 見かけたとしても、すぐにどっかいっちゃうんですもの。


 はああああぁ…


「そんなにイヤです?」

「機会がないのよ…。」


 そうとしか言いようがない。


 私は、苦笑い気味に塔のある方を眺めた。


 ああ、トライオスと食事をしたいわ。


 そういえば、彼のほうから一緒に食事をと言ってたわね…。


 お互いに「あーん」しあったり…


 同じ飲み物を飲んだり…


 そのままイチャイチャしたり…


 ステキな夜を…


 そう、一人寂しく果てるのではなく…


 トライオスので…


「姫様。姫様。お気を確かに!姫様!」

「ふぇ、え、あ、あ、あひ…。」


 あちゃー。


 まただわ…










 結局、下だけ着替えたとここに記す。










 あー。あたまがぼーとするわー。あー。


「重症ですね。昨日はそこまででもなかったのに…」

「モニカが朝からあんなこと言うからよ。」


 そう、そうに決まってる。


 もうそ…じゃなくて想像してばっかりだわっ!


 リーナじゃなくて私だったらと…


 でも、トライオスは私の事どう思ってるのか、今更ながら少し不安に…


「今度はどうなされましたか?」

「いえ、考えすぎよね…。」


 私たちの勇者様ですもの…


 お心は広いし、その背も広い…あ、うううう…また顔が赤くなってきたかも…


「表情の変化が忙しいですね…。」

「そろそろ、トライオスの所に向かうわ…。」

「行ってらっしゃいませ。掃除とこちらの洗濯はしておきますからね?」


 ちょ、そんなにひらひらさせなくても…


 私は冷や汗を流しながらその場を後にした。




















 リーナの部屋に向かう…


 誰にも会わなかったわね…


 ふうむ。


 この服装にどう反応するのか見たかったのだけれども、仕方ないわね。


 そして、扉の前へと着く。


「すーはーすーはー。冷静に、おしとやかに、優雅に…。よし、いける。うん。」


 扉に耳をくっ付けるが、静かだ。


 もしかしていないのかしら?


 ノブを回すと普通に開いた。


 お出かけ中ではないのね。


 そして、ゆっくりと扉を半分ほど…


 そして、中を覗き見る。


 ああ!トライオス!


 その姿は卑怯だわ!


 御爺様の姿と重なる…


『えへへ~おじ~さま、絵本読んで~』

『ん?ああ、いいよ。お姫様?』

『んふふー!わたち~おひめさま~!』


 思い出して、頬が緩む…


 もちろん。お膝の上だ…。


 特等席だったなぁ…


 ローブの肌触りも良かったのよね。


 結局は途中で眠っちゃって、いつの間にかベットで寝てたっけ。


 お母様が他界し、お父様は仕事で他所に行ってばかり。


 私には御爺様しかいなかった。


 だから、幸せな記憶は御爺様の姿があってこそである。


 これからの幸せは、トライオスが作ってくれるかしら?


 側に居てくれるかしら?


「トライオス…。」


 私は無意識に彼の名前を言っていた。


 ページをめくる音だけが聞こえてくる。


 後、誰かの寝息。


 まあ、リーナよね。普通に考えて…


 にしても、トライオスはどんな本を読んでるのかしら…


 気になるわぁ~



 キイイイィ…




 しまっ…


 背が当たってしまった!


 『ことり』と本を置くような音がして…




『なあ、誰だ?』



 んほっ!やばいやばい…いい声。ドキドキしちゃう。


 い、今は我慢。


 まずは名乗り出なきゃ。


「わ、わわわ…」


 緊張しちゃうわね。


「私よ!」


 そう言いながら顔を出す私。


 だが、呆れ気味に彼は…


「おい、声が大きい。寝てる子がいるんだ、静かに。」


 あら、私声が大きい?


 しまったわ。


「ご、ごめんなさい!」

「だーからー、静かに。」


 だが、私は見てしまった。


 私の胸元から視線をずらしたトライオスの表情を…


 ふふっ。


 私は嬉しくなり、強調しながらトライオスに近づく。


「どうしたの?トライオス。なんで、視線をずらすのかしら?ねえ?」


 どう?どう?ねえ。どうかしら?うふふ…


「女性がそんなに肌を露出させるのはどうかと思うぞ?」


 あら、モニカみたいなことを。


 そうねーそう言うなら。


「そう?なら、見なくて済むほうほうがあるわよ?」

「?」


 困ってるわね。


 その表情もいわぁ~。


「椅子になりなさい。」

「は?」


 分からないのかしら?


「アナタのお膝を椅子にするの。そうすれば、私の服装を見ないで済むでしょう?」

「どうしてそうなる?」

「え?簡単よ。ただそこにお膝があるから。」


 単純よね。


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