先生・・・。
さてと、そろそろ戻るかね。
「昨日の朝は凄かったのに、今は静かよね~。」
そう言いながら右手を自分の頬に添えるツィンバロムさん。
「ムーちゃん。なにがだい?」
俺が質問すると微笑みながら…
「城門前。結構な列だったわよ?マインドダウンを起こした陛下ちゃんは知らないわよね。アタシも借り出されちゃったわ。新しい子達にお茶の入れ方をレッスンする予定だったのに。その子達も一緒になって説明して回ったわ~ヴィオリラ様から説明を先にしてもらっていたからそこまでバタバタしなかったから良かったわよ。」
申し訳ない限りで。半日ダウンは流石に…ね。
<そうですよ。それに、意識を取り戻した後は…おたのしみでしたね?>
うぐ…アルト。おはよう。
<おはようございます。…おたのしみでしたね?>
おう…よかったよ。
<ずるいな~リーナさん。勇者様とだなんて…>
そう言われましてもね…。
<まあ、お気になさらずに。昨日は朝からつまずいてしまいましたが、今日からは張り切っていきましょう。忙しくなりそうですよ?>
おっしゃる通りで。
まずは昼からの会議だな…。
「ふっふっふっ~我のおかげだな!トライが新しい魔王になったことも、バス坊が負けたことも、回復魔法を国単位で行使したことも、すぐさま指示を出したからのう。」
腰に手を当て、胸を張るヴィオリラ先生。
「ありがとう。ムーちゃん。ヴィオリラちゃん。」
「ぬ。やっぱり、我にちゃんはいらん!お子様ではないのだぞ?」
「そうですか?私が見ているところでは良くバルちゃんとお遊びをなされている気が…。」
おうい、それでいいのか先生よ。
「あ、あれは…あそんであげているのじゃ!我の方が年上だからのう。年長者の務めじゃ。」
気まずそうにアコーの視線から顔を逸らした。
「あらあら~でも、バルちゃんよりヴィオリラ様のほうが楽しんでいるように見えますよ?」
ニコニコしながら距離を詰めるアコー。
それにあわせて後ずさるヴィオリラ先生。
「あら、そうなのね。アタシの思っていたイメージがだんだんと変わってきてるわ~。これもいつもなら会話できない相手が多いからかしら。アコーなんて夜にお茶を用意してくれるくらいなものだし、ヴィオリラ様に関しては、くーるびゅーてぃーなイメージがあって近づけなかったから…。」
くーるびゅーてぃー(笑)
メイドと魔軍将と古の魔王。
そう考えると確かに…
「ぐぬぬ…アコーめ!我の威厳が!イメージが!うわ~ん!ん?そうじゃ…トライ、慰めておくれ!ほれほれ、我が悲しんでおるぞ!今こそ、その逞しいカラダで抱擁しておくれ!」
先生…。
「だ~め~で~す~。」
「そうよ、いくら古の魔王様とてそれはだ~め。代わりにアコーの見事な双丘に世話になってください。」
「やじゃー!あれは魔性のおっ○いじゃ!心が折れそうになる…。」
魔性。確かに…だが、なぜ心が折れる?
「私だって邪魔なんですよ?でも、悦ばせることもできますよ?」
寄せないでください。その、おもちもちもち。
大きいのにカタチは見事だよな。
「ほら、陛下の目も釘付けです♪」
「だからじゃ、我の幻術も魅了も効かぬトライじゃ…。流石の我もホンモノには敵わん。」
「陛下ちゃんは何者なの?」
何者って言われてもね…。
<勇者様です。ふっ…お子様な古の魔王風情には負けませんよ♪>
強気だね。
「ぬ、今誰かお子様って思うたじゃろう?」
気のせいです。そう、気のせいにしておきましょう。敏感だなあ。
「いや、最初に一瞬だけ魅了は効いたぞ?まあ、すぐに耐性が上がったんだけどな。幻術は、レジストしたようなんだよ。そのまま耐性も上がった。」
俺は苦笑いしながらそう言うが…
「「「…マジデスカ。」」」
三人そろって唖然としている。
<そりゃそうでしょう。本来はそう簡単にレジストできないですし。>
<さらに、簡単に耐性も上がりませんからね。>
さすが勇者。いや、魔王?
「はあああ…だからじゃ。我が本気で襲いかかっても返り討ちが目に見えとる。満月の夜の姿でも、他の気持ちを寄せる者達に敵うとは思えん。うぐぐ…このおっぱ○妖精めっ!」
ぺしんっ!
そして震えるBIGバスト。
「ちょっ…ヴィオリラ様。セクハラですよ?」
「おみごとな揺れ具合ね。」
「ああ、ホンモノだ。」
「うぐぐ…我自ら失態を…。」
<胸なんて飾りです!>
俺も胸のサイズは気にしないかな。むしろ、リーナくらいが丁度いい。
<…。ヴィオリーンさんに魅了されてたくせに…。>
はい、すいません。
<(ふむふむ…わたしのサイズでもアリってことですね…。)>
ん?なにかいっ…
<いえ、なにも。そうですか、揉んだからこそのご感想ですね?変態様。>
申し訳ございません。
「は~我はもうだめそうじゃ。の~トライ。あの夜のようにおんぶしておくれ?」
「ふっ。やっぱりお子様ですね。」
「あらあら、かわいいわね。」
先生…。
二人の感想はごもっともだが…
俺は、トイレでのやり取りを思い出してしまった。
いや、一方的にやられたと言うべきか…
「ふっふっふっ…安心せいトライ。朝から盛るつもりはない。我はオトナじゃからのう。」
その言葉にアコーとツィンバロムさんは首をかしげた。
俺は、顔赤くなってるかもな…。
熱くなる頬に、朝の心地よい風が当たった。