お姉さんと猫君がニギニギ
「実に面白くない。タケル!ボクにも君の手をニギニギさせてはくれないか?」
「よければ、もう片方の手は自分が…」
急に2人して奇妙なことを言い出す。
「こ、これには他意はないんだ。回復魔法の威力が高すぎたからね、もしかしたら何かしらの秘密があるとみたのだよ!大事なことだからもう一度言うけど、他意はないんだからね!ボクがただ単にニギニギしたいからではないんだよ!これも研究のためだ。うん。」
そう言いながら、ヴィオリーンが寝ているソファーと俺の間に入り込む。さり気なく俺の手をヴィオリーンの両手から解かせ、そのままソファーから遠ざけながら…か細い両手で俺の右手を柔らかく包んだ。
「こ、これはっ!ふ~む、ふむふむ…あったかいぞ~!ゴツゴツしていてそれに硬いな…」
「じ、自分も陛下の左手を失礼します。」
なんだ、この光景は…俺棒立ちで、左右から背の低い子達にはさまれているような感じだ。
リーナもそうだが、レベックも背が低いんだよな…。どちらの頭のてっぺんも俺の肩に届かない。辛うじてピンと立ったネコミミが肩の高さに届くかな?
ぐ、魔性ネコミミに手が伸びそうだが今は両手がニギニギ固めをかけられていて動かせない!な、なんと言う新手の拷問だ。
リーナはふむふむ言いながら俺の指と自分の指を絡ませ始め…そのまま恋人繋ぎにもって行く。
そして、絡めあった指を目を細めながら見ている。そして、頬に朱が差す…
「いい、実にいいぞ。馴染む、このボクによく馴染むぞ!タケルっ!」
幸せそうだな。おや?左手が持ち上げられる…
「トライオス陛下の左手…すごく大きいです。逞しくて、自分は、自分は…おかしくなっちゃいそうです…」
レベックよ男の子だろう?それとも何か?そっち系なのか?
目つきが少し危ないぞ、肉食獣だ!かわいいけど…
持ち上げた俺の左手の甲をレベックは自分の右頬に押し付ける。それにより、頬に模様のように生えている毛が当たる。やわらけぇ~。
俺がそう思っていると…
「はむっ」「はむ」「ぺろぺろ…」「んっ、なぁ~ん♪」
去れ、俺の煩悩よ。
いや、刺激が強いよレベック。
頬ずりをやめたかと思ったら人差し指をはむはむし始める始末…そしてぺろぺろ。
舌が少しざらついているのか、ゾワリとした感覚が背筋を駆け巡る。このザラリ感は猫舌というやつだな。悪くないな…
そして、また頬ずりをしだして愛らしく鳴いた。
そう、鳴いたのだ。この子、大丈夫か?
「この光景はなんと言えば言いのかしらね。私としては、うらやま…ってちがう!全然羨ましくなんて無いんだからね!ホントよっ!」
ヴィオリーンはこの光景を目にして顔を真っ赤にしながら首を振っている。
「ん、ふふ…。そういえば、タケル。魔法陣の上にいつの間にかいたわけだよね?元は違うところに居たのを召喚されたということでいいのかな?」
「そうだな、『車に轢かれたっ』と思ったら足元が光ったんだよ。気付いたら魔法陣の上に立っていてね、そしたら視界に二足歩行しているカエルが居て笑いながら何か言っていたんだよ。」
「その車とは、馬車かい?それとも竜車?鳥車かな…もしかして虫車?」
そうきたか…。馬車はまだ分かるとしても、竜車はないな。鳥車はダチョウみたいなのが引っ張ってるのかな。
虫車に関しては何か想像したくないな。それに、轢かれたくない!
「いや、そのどれでもない。鉄でできた車だよ。車の力だけで動くんだ。」
リーナは空いたもう片方の手を細い顎に添えると…
「となると、ゴーレム馬車か?試作品もまだ試験中のはずだが…。」
それっぽい名前の乗り物が出てきたな。
「いや、そうじゃないんだ。魔法が無い世界から来たんだよ。」
俺の発言で皆固まる。すりすりしていたレベックもその動きが止まった。
「異世界召喚か!まさか、妄言だとは思っていたが…ほんとうにやってのけたのか!?」
今まで横になっていたヴィオリーンが勢いよく起き上がる。
バストと共に…
…。はっ!いかん!谷間が…その揺れる胸元に注目してしまう。
服装もそうだが、誘っているのかい?お嬢さ…
イテテ…。あんまり痛くは無いが、リーナに手の甲をつねられてしまった。
おや?俺はどうしたんだっけ…
「もう、サキュバスの魅了にやられたんだね?」
<魅了耐性を手に入れた!>
<魅了耐性が上がった!>
<ん、もう。こんな簡単に魅了されないでください!>
<次からは注意してくださいね。>
あ、ホントの様だ。魅了耐性って…それに、サキュバス?
いや、それより声に叱られたんだが…どういうことだ?
ついでに注意された。はい、次は気をつけます。
「ん?何を疑問に思っているんだい、リーンはサキュバスだよ。」
そうなのか~淫魔いや夢魔だっけか…
服装は確かにどうかと思うし。
ん?容姿はどうなのかって?気になるかい?男子諸君。
ピンク髪。そして、日焼けのような褐色肌に瞳は綺麗な赤。
ピンク髪!そうだよな…ピンクさんだよな。
「ぐ、トライオス!へんな事考えているだろう!こ、この変態め!私を襲うつもりだな!ケダモノっ!」
「いや、魅了耐性がある今では別段といってなんも。お子様には手は出さん!」
見た目が幼いんだよな。胸は服装の所為もあるのか寄せて強調してある。だが、お嬢さんなお年頃…ホントに19なのか怪しいぜ。
「お、お子様だとっ!この胸を見てよくもそんなことが言えるなっ!」
そう言いながら見せつけてくる。おい、下から自分の手で持ち上げるなよ。
おもちもちもち…
<魅了耐性が上がった!>
<…ばか。>
はい。ごめんなさい。
「リーンは背丈や容姿がコンプレックスでね、それをカバーするために胸に視線をもって行かせてるんだ。挑発的な衣装だろう?」
なるほど、他の事に気を取らせているのか。
俺が魅了されたということは、レベック!無事かっ!
…とても冷たい目をしていた。
うわ~、様付けしてる相手に見せるような目ではないぞ。子供が泣き出すレベルじゃないのか?
それも、見下すような感じも見受けられる。
小さな声で何かブツブツ言っている。俺には聞こえない、聞こえてないぞ~
<呪詛耐性を手に入れた!>
<呪詛耐性が上がった!>
<呪詛耐性が上がった!>
<聴覚保護スキルを手に入れた!>
怖いな。呪詛ときたか…それほどにまで何が彼をこれほどまで変えてしまったのか。
「レジスト!」
俺は、異常な状態のレベックにレジストをかけてみた。
光が彼を包み…
「は、自分は何を?あ、あったかいです~。」
正気に戻ったようだ。
だが…レベックよ、太ももをこすりあわせないでくれ!
作者はブックマークしてもらえるだけでテンションが上がります。
活力になります。
後、この小説は1話2,500文字くらいを目安にしています。
どれくらいの長さがベストなのか分からないので手探りです。
「ダンジョンリザード・ライジング」の方は最初あたりは4,000字にとどかない位でしたが、今は5,000にとどくかどうかにしています。
ご意見・ご要望ありましたらよろしくお願いいたします。