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アコーの記憶・1

苦手な方はスルーしてください。







 小さな頃からバケモノと呼ばれて生きてきました。


 そうですね…7さいくらいの時でしたね…頭が落ちたの。


 そりゃあ、妖精族ではありますが、親と同じ妖精が生まれる中、まれに異なる特性を持った子が…


 え、私は違いますよ?


 お母さんが頭取れるってのは家族内では周知でした。


 お父さんはまあ、似たような感じで夜型な妖精でしたからね。頭は取れませんよ?


 ですが、気味悪がられて大変でした。




 あだ名がアホーになるまではバケモノと呼ばれてました。


 アホーじゃないアコーっていって周りのみんながわはははっと笑ってくれるようになったのが8さいと半分。


 その頃は毎日弟の事が心配だった。私のように頭が取れるだろうか…それだけが心配だった。私はうまく馴染めたが、弟はどうだろう…。


 からかわれたりして泣いちゃわないだろうか心配でした。


 心配性な姉でごめんね?ディオン。


 平穏な暮らしはいつまで続いただろうか…


 13さい。近場の宿屋で働きながら、体調を崩したお父さんの薬代を稼いだ。


 お母さんも働き詰めで調子が優れない…倒れなければ良いのだが…。


 弟、ディオン。頭が取れた…。遺伝ですね。


「姉ちゃんみたいにアホーって呼ばれたくない!」


 そう言われたのはショックでしたね。


 弟は、頭が取れることを悟られず、それどころか…布で固定しました。


 何たることでしょう!生まれながらに頂いた個性を!


 …私の所為ですかね?



 14さい。それは起こりました。


 人間達による「亜人狩り」


 理解できません。悪と罵るその姿こそ邪悪で醜い悪魔のそれでしょうに…


 弟と両親は逃がせれました。


 でも残念。私は捕まり、奴隷となりました。


 知らない男に鎖につながれ…そのまま…


 私の…私の…




 床一面私の吐しゃ物や男達の体液でぬめり吐き気がこみ上げ更に嘔吐しました。


 頭が取れるのにそれはいかに?


 そう思われるでしょうが…


 まあ、複数人の男の体液ですよ?吐きたくもなります。


 私の血も混じっていたでしょうが…


 暴行によるものも混じり、さっぱり…


 春って…なんだろう。


 こんな、こんな…


 その頃から記憶があいまいです。表情もあまり出さなくなりましたね。


 私が笑わなくても回りの男達はげひた笑みや笑い声は上げていましたがね。



 15さい。奴隷商に売られる。


 私の反応が悪いとのことで…


 人の娘ならそのまま切り捨てて獣の餌にするが…


 亜人とのことで少しでも金になるだろうと売られました。


 表情の乏しくなった私を有効利用と言いながら商店の前で鎖につなぎ見世物にされる。


 見る者たちは皆バケモノだと…これが醜い亜人かと…


 酷いことを散々言われました。


 すぐに買い手が見つかる。だがその前に…


 まあ、何度かはけぐちにされた…


 どこでも似たような扱いですよね。




 ズタボロの貫頭衣に裸足。他には何もない。


 ですが、買い手の貴族はニコニコと…


 気味が悪かったのだけは憶えています。


 痩せてはいるのですが、欲望に満ち、ギラギラとした目をしていました。


 屋敷に招かれると、どうやら…亜人がお好きなようです。


 複数種の獣人に妖精族、ハーフリングなんかも…いや、まさかムキムキなドワーフにメイド服はちょっと…


 それも、私の前で舌を絡ませあうキスを…うへえ…


「ん…はあ、あ…。お帰りなさいませ。旦那様。」


 お互いの唇が離れる際、アーチが…うぐあっ!これなんていう地獄?


「やあ、ただいま。新しいメイドだ。この子用のメイド服を頼むよ。」


 私を下から上まで舐めるように見た旦那様。


「かしこまりました。」


 そういい頭を下げるドワーフメイド。ごついね~筋肉りゅうりゅうですよ?


 ですが、そのドワーフの女性は私を見るととても悲しそうな表情を一瞬だけなさいました。


 メイド服ができるまでは毎日草むしりが主流でした。


 それ以降は、服も届き…他の方々から多くを学ぶ日々となりました。


 ええ、夜に活躍する技も。


 何度か旦那様と夜を共にすることはありましたからね。


 感情の乏しかった私がせめて、演技だけでもと…ええ、色々と学びました。


 子はできないのか?そう思われましたね?


 簡単ですよ。魔法具なんかでも可能ですし…


 元より中…っと…これは止しておきましょう。


 それに、妖精といいますかまあ、同種じゃない場合はあまり子は期待できないとは言われてますし。



 20さい。あら、ここに勤めて長いものですね…。色々と慣れてきました。


 ただ、胸が邪魔だと最近思うように…


 ですが、他の子たちは羨ましがります。


 まあ、旦那様を悦ばす方法の一つとして利用されてるくらいですかね…


 このまま続くかと思われた屋敷暮らし…


 それはまたもや暴力によって失いました。


 亜人解放軍だか何だか知りませんが、意味不明なことを言いながら屋敷を血で染め上げました。


 旦那様は勇敢だった。それだけはここに記す。


 複数名のメイドたちを逃がしてくれました。


 解放軍だと言ってはいた相手方でしたが、明らかに濁った目で私達を見ていました。


 なんだ、亜人狩りのやつらも…はは、私の多くを奪ったやつらも…


 ええ、旦那様にとどめを刺した男の方を見て泣きましたよ。久しぶりに泣きました。


 ですが、とどめを刺した男にではありませんよ?


 その亜人狩りの男に後ろから更にとどめをさした少年に…


 そう、ディオンに涙を流しました。




 皆自由となりました。ですが…どうしていいのかサッパリ…


 路上生活をする羽目になったのは事実ですがね。


 ディオンは?


 そうですね、私に気付かず、ただひたすらに剣を振るい亜人狩りだった男達を…。


 狩り終わるとそのまま去っていきました。


 私が居たことに気付かなかったご様子で…。


 身を売ることしばし、そうですね、5~6日くらいして私の噂を聞いたとディオンが駆けつけてくれました。


 そりゃ~すごい泣かれましたが。私は壊れてたんでしょうね…壊れているんでしょうね…。


 弟にすらお金や食事をと言いながら寄ったんですから…


 更に泣かれました。


 すると…


「もう逢えないかと思っていた…。姉さん…行こう。自由の国へ…。多くが集まる魔族の国、姉さんがあの笑顔を取り戻すことができるであろう…シンフォニアへ。」


 服の裾を握る私の手をやさしく両手で包むと…


 泣きながらそう言った。


 その後、宿に泊まることになり。



 夜は処理してあげようかと思ったら…途中で個人部屋にされました。


 いいじゃないの~スキンシップよ?


 え?だめですか…




 


 

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