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今後の予定

 カチャカチャと食器とフォークが音をたてる。


「…。」

「…。」


 黙々と食べる。うん。甘い。


「…うう、好物のはずなのに…なんとも言えない気分だよ。ごめんよタケル。」

「いや、リーナが悪いわけではないだろう?」

「でも、気まずそうだから。」


 そう言われてもな…。まさか盗聴とは…アコーが仕掛け、モニカに聴かれる形となった俺とリーナの夜。


 恥ずかしいよな…。


「俺としては、リーナの事が心配なんだが…平気か?」


 女の子だ、そこら辺はどう思うのだろう?


「ボクは、大丈夫だよ。問題はアコーではなくモニカだからタケルの事が心配なんだ。昨日の朝の大胆発言に、先ほどの発言からして…タケルが襲われるんじゃないかと…。」


 襲われるって…。


 昨日は確か…


『ワタシの身体は角の先から爪先まで全て、アナタ様のモノです。どうか、ご自由にお使いくださいませ。』


 と言われたな。キス付きで…


 今朝は…


『やっぱり本物がいいですよね?』


 俺の下腹部をまじまじと見ながらの発言。


 本気度が伝わってきますね!


「は、ははは…俺の心配かよ?リーナは盗聴されたことにはそんなんでいいのか?」


 なぜ今の発言でキョトンとするんだ?


「へ、ああ。タケルは乙女なこと言うんだね。それこそ防音なんてレベック並みに風に適性を持ってない限りは無理だよ。」


 それは部屋のつくりからして仕方ないと?


「は~レベックに頼めば防音は可能なのか…。いや、それ以外で防げないってのはアレだな…」


 リーナはその発言に苦笑い。


「仕方ないよ。流石に普通の一部屋じゃなくてボクの場合は研究室を兼ねてるんだ。広くてね、結界石を作るにも素材が多めに必要だから現実的ではないね。」

「でも、レベックならこの広さでも可能なんだろう?」


 凄いじゃないかレベック!


「いや、ベストな状態ならと言った所だね。今のレベックは不安定だから厳しいかな。それに、タケルと肌を重ねるから防音してくれなんて言えないだろう?」


 ごもっとも…。今から愛し合うから耳塞いでいてくれって頼むようなもんだ。


 俺なら耐えられんね。


「あ~そりゃ頼めないや。」

「うんうん。レベックも理性がもたないよ。」


 ですよね~。


「それで、こう話をしているが…。風の適性って?」


 今更だがね。


「適性は魔法のだよ。てっきり分かってて話をしているかと…そういえば、タケルの適性ってどうなってるんだろうね?やっぱり勇者ってくらいだから全てに?」


 そんなご都合主義じゃないだろうな…


 何だか嫌な予感がする。


 俺としては、やっぱりカッコイイ魔法とか使ってみたいけどさ。


「ただの勇者ならありえたかもな…。でも、俺は半端者だ。そう旨いことは無いだろう。」

「ぶー。夢がある話を全否定かい?」

「そう言うなよ。回復魔法は使えるんだからさ。」

「それはそうだけど…。あ、それで、この後はどうするんだい?」


 魔法で回復させた民の今後か、それか新しい国の政策…。


「まずはみんなにリハビリの指示だな。その間にそれなりの連中を集めて会議だ。」


 俺の言葉にリーナは顎に右手を添えて…


「あ~寝たきりだったとか、病気がちだったのが急に治ったから、調子を取り戻すための期間を設けるわけだね?その間に、どんなことが大事かを話し合うわけだね。なるほどなるほど…。考えてるんだね?タケル。」

「ふっ、魔王だからな!」

「…そうだったね。ボクたちの勇者で魔王なタケルだった。でも、昨日今日でそこまで考えてるとは…」


 俺はやっぱり脳筋扱いなのか?それなりに成績は良かったぜ?


「それは、昨日みたいに肉だ~ふはは~な勝手な思い込みだろう?」

「ぬ。ごめんよ~タケル。どうしてもね、優しさでできている感があってね。救うことに特化してると…政治やら国のことは後回し、民が大事~かと。」


 おうい、照れるね。優しさでできている感ってのが俺の評価なわけだ。


「ただ救うに留まらず、今後の事を考えてこそだぞ?」

「ごもっともで…。でも、どの範囲で上役を集めるんだい?」


 …。上役なんて何人いるか流石にわかりませんよ。


「理想としてはだな、まずは国だ。次に、他国との交易のパイプ繋ぎだよな。今まで取引があった国はもちろんだが、新しく交渉できれば頼もしいだろう?そのために、この国が用意できるものを知りたいし、どんなものがほしいのか、他所の国はどんなものが出せるのかを煮詰めていこうかとな。」

「蜜だ…。」


 へ?高価なものだろう?


「蜜が欲しい。」


 へ?


「タケル。そんな顔しないでくれよ。どんなものが欲しいのか聞いたのはタケルだろう?」


 リーナさんのご要望ですね。


「で、どこの国と交渉すれば?」


 俺が聞くと、リーナは部屋の窓を指差す。


「窓から見える、いや、屋上から見ただろうけど…森の中にあるんだよ。ときたまにしか出回らないんだよね。近くにあるのにさ…。パイプを太くすれば今までよりも手がとどくだろう?それに、他の特産品も手に入るかも♪」


 キラキラしてる!いいよ~リーナちゃん!輝いてる!


「そうか、なるほどな。近くから固めていくわけだな。理にかなってる。」


 俺が頷くと…


「え、いや、うん!そうだよ!近場からだね♪」


 目を逸らした。


「いや、リーナが必要だと言うのなら俺がどうにかするさ。」


 期待の眼差しを送るリーナ。そのまま顔が俺に近づく…


「タケル…。」

「リーナ…。」


 お互いの顔が近づき…



 コンコン!



『そろそろ食器の回収いいですかね?』


 モニカの声が…


 タイミングが良すぎない?


 くそう、いい雰囲気だったのに…





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