甘い朝
あったかいなぁ…
もっと触れていたい…
「んぁっ!もう、変なところ触らないでくれないかい?」
おや?俺は…
はっ!?
「す…すまん。悪気は…Oh!」
なぜに裸?
昨日は…そうだ、お楽しみでしたな…。
途中で熱いと言って黒のキャミソールも脱いじゃったんだよ…ついでにスカートも。
「それで、いつまでボクの胸を堪能するつもりだい?…それに、当たってるんだけど…。」
…。
「朝の生理現象だ!」
「そんなキリッとしながら言われてもね…。お元気ですねとしか言いようがないよ…。」
はい!お元気です。
「男の子だからな。健全な証拠だ!」
「いや、どう見ても健全ではないよ?」
「…ごめんなさい。健康でした。」
仕方ないじゃないか!位置が悪い位置が!
「で、何時まで堪能っ!はあ、ぁ…なんだい?朝からボクをその気にさせるつもりかい?」
「それはその…なんといいますか…。」
「流石に痛くてね、ご期待には添えないけど…先生の真似事でも…」
そう言いながら手が伸び…
解き放たれました。
「ふう、朝から手が疲れてしまったよ。タケル、流石に…今日はボクの身の回りの世話してくれないかい?昨日はボクが付きっ切りだったんだ。いいだろう?」
頭がボーっとする。
「ん~あぁ。あ、でも、レベックと代わりばんこだったんだろう?」
「ぶー。別にいいじゃないか。今だってしてあげただろう?」
…。とても良かったとだけここに記す。
「…。仰せのままにマイプリンセス。」
「ん。それでよし。まず、そのタンスからタオルでも布でもいいや…何枚かね取り出して。で、ポットでお湯を沸かしたら水と1:1かな桶に用意してくれ。」
「仰せのままにマイプリンセス。」
いたした後はただのぬれた布でお互い拭いただけだったが…
ぬるま湯ということは…
「なあ、こんなことを聞くのはなんだが…」
「なんだい?」
「風呂とかは?もしや、お湯につけた布で拭くていどか?」
「む。今は部屋から出られないからだよ。ここは王城だよ?流石に一般家庭とは違うんだ!」
怒られてしまった。出られない原因は俺でしたね…。
痛いのか横になりながら頬を膨らませるリーナ。
「そうか、わるかった。てことは、風呂はあるんだな?」
「そうだね、大浴場?まあ、そこまで大きくはないんだけど、屋上から山が見えただろう?そこから引っ張ってきてるんだよ。だから、水は余裕がある。」
「は~すごいな~。ご利用させてもらおうかね…。」
山から引っ張ってきてるなんて、温泉なのかね?
共同施設か…
「そうだね、背中流しっこしようか?」
トイレに続きまさか風呂まで…
「へんな事考えてないよね?流石に貸切のほうだよ?」
貸切?
「いや、急に言われてもな。大浴場と貸切があるわけか…。」
「そうだね、ここで働いてる兵やメイド達用に男女大きめなのが1つずつ。そして、まあ、偉い立場の方々用に小さめのがあるんだ。」
それを貸切ると?大胆だな!!!だが、大歓迎だ!!!
コトコト…
おっとと…沸いたようだ。
……
…
ええ、拭き拭きを堪能させてもらいました。隅々まで…
それも、お互いに…
服や下着はいつの間にか洗濯してあったようだ。
「洗濯は最近発明された自動式のヤツでね、あれは凄いよ。魔法研究の進んでる国の水と風に携わる研究者が開発したんだけどね。洗濯した後、乾燥もしてくれるんだよ♪」
乾燥機つきの洗濯機か!凄いじゃないか異世界。
「…。その反応からして…タケルの世界にも…」
「ああ、似たようなものがあったな。別々のヤツが主流だったが、最近になって一つになったのが増えてるね。いや、ほとんど乾燥機能つきだったか…。」
「…。少し前はそれ(洗濯)専門の魔法使いに頼むか、自分で洗ってたんだよ?」
「科学と人の力だ。世界人口の違いかもな?」
「むーそういわれても、どれくらい住んでるかわからないや。」
そりゃあ分かったほうが凄いわな…。
「まあ、魔法が無い世界なりの進化ってとこだよ。」
「ボクたちの世界は進化が遅れてるとでも?」
「そこまでは言ってないよ。ほらほら、さっさと着る!そうしないと、俺がまた元気になる!」
「…。すでに元気じゃないかな?」
「…。元気です。だが、流石に…ね。」
やっと大切な部分が隠れてくれた。
「さて、タケル。次は食事…」
コンコン…
「…。なんだろうか、まるでタイミングを見計らっていたかのような…」
…。そりゃ恐ろしいね。
『タケル様、リーナ様。朝食をお持ちいたしました。』
この声は…モニカ?
「モニカか…まさか、いや、しかし、毒は入ってないよね?」
昨日の朝は麻痺毒入り野菜スープにやられたリーナ。そりゃ、気になるよな。
『リーナ様の好物ですよ~。タケル様は甘いの苦手ですか?』
甘いのが好きなのか?かわいいな。
「む、タケル。子どもっぽいとか思っただろう?」
「いや、リーナかわいい、と思っただけだよ。」
「そ、そうかい?」
「そりゃあ、スイーツがすきな女性はいるもんだろう?それが俺が好きな女性だっただけだよ。」
「っ!!!ん、もう。」
ドンドン!
『すみませ~ん。そんなにいちゃいちゃしないでください。声がもれてますよ?』
その言葉に唖然とするリーナ。
「な!?モニカ、入りたまえ!!!」
『かしこまりました。』
ガチャリ
そして、台車を押すモニカが…頬をテカテカさせながら入ってきた。
「昨晩はお楽しみでしたよね?祝いとして、貴重ではありますが蜜がけパンケーキーです♪」
「蜜は確かに貴重だ。…で、なぜボクとタケルが結ばれたことを?」
おうい!堂々と言っちゃうなよ!
「無用心ですよ?リーナ様。」
そう言いながらエプロンドレスのポケットから石ころを取り出す。
「…。モニカ?説明。」
「…アコーです。」
「うぐ…やられたか…でも、なんでモニカが?」
「没収しました。」
ドヤ顔なモニカは艶々してる。
「それを使って…いや、まさかね…。」
対するリーナは冷や汗だらだら…
「『ああん、タケルっ、タケル~!』『うくっ、リーナぁ!!!』っふふ…」
ああああああ!!!何てこと言い出すんだモニカさん!
「とまあ、ワタシのおかずに…でも、やっぱり本物がいいですよね?」
そう言うと持っていた石ころを…
パキンッ
握りつぶした。
「朝食をお楽しみください。では、タケル様…うっふふ…今回はここで失礼させていただきます。」
スカートの裾を握り、一礼。
「後ほど食器類は回収にうかがいます。ですから、先ほどのようなことの無いように。」
そして、モニカは部屋から出て行った。
…。先ほどのも聴いていたと?
二人して無言で朝食を食べた。
とても甘かった。それ以外は考える頭がついてこなかった…。