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自己紹介

 近くのソファーにヴィオリーンを寝かせ…


「参ったねぇ。ヴィオリーンが魔王になる予定だったんだがねぇ。だからボクが協力してたのに…」

「俺が知りたいよ!気付いたら魔法陣の上に立ってて、二足歩行するカエルが喋ってたんだからな。」


 あごに手を沿え小言を言う銀髪さん。それに対して俺はもうわけがわからんよ。


「二足歩行するカエルって、…ぷ、くくくく。面白いこと言うね~そのカエルは現魔王…いや、もう前魔王かね?名をバグパスって言うんだけど、余りにも身勝手でね。今宵、殺されるはずだったんだよ。いや、こうしてリーンが連れてこられたということはもしかして…」

「そりゃあ大事だな。だが、殴ったら消えちまったぞ。」


 殴ったと言ったとたんに場の空気が固まる。


「俺がアイツの杖を見てたら急に叫びだしてな、ショックだのスタンやら後、最後にショックショットだったか…ビリビリっとしたからイラッとしてしまってね、殴ってしまったんだ。魔王だとは思わなかった。いや、殺されそうなほど残念なやつだったのか?」


 俺が詳しく説明しだすと銀髪さんが訝しげな表情になり、喋り終わると白衣のポケットからペンのようなものを取り出し…


「ショック!」「スタン!」


 カエルの時と同じように魔法?を使ってきた。ん?おかしいな…ピリッともズシリともこないぞ。拍子抜けしてしまうな。俺は首を傾けてしまった。


「へ、へへへ…本当の事みたいだゾ!レベックも見ただろう?」

「は、はい。リーナ様が急に杖を取り出し魔法を放ったのには驚きましたが、トライオス陛下には効いて無いご様子です。」


 キラキラしてる。すっごいキラキラしてるぞ!それも二人そろって。片方は兜で顔は見えないんだが声と動作で良く分かる。


 銀髪さんに関しては杖?を握りながらピョンピョン跳ねている。


 くっ、…かわいい。…去れ、俺の煩悩よ!

 


「…。話を戻すが、協力者はそちらの銀髪さんなわけだよな?それなら俺がなぜ協力者と呼ばれたり、魔王と言われたんだ?そして、片角ってどういうこと?」


「城の者には今回の件を知っている方が複数人おいでです。首謀者がヴィオリーン様で後は協力者が数名とのことでした。ですので、ヴィオリーン様を抱えていたのを見て、魔王討伐時に共に戦ったお方だろうと判断しました。陛下とお呼びしたのは、そのローブを纏っておいでだからです。そのローブは相応しい方しか纏うことができません。バグパス様は纏うことができなかったのですが、その前の魔王ヴィオロン様の腹心で王宮魔法使いと言う実績もありまして魔王の座についたのです。」


「ちなみに、キミが…いや、トライオス様?が抱えてきたリーンが魔王ヴィオロンの孫娘に当たるのさ。」


 このローブは魔王の証明みたいなものなのか。魔王ヴィオロンの孫娘ね…。なんだか厄介ごとの最中に巻き込まれたってことだな。


「それで、片角って呼ばれたことについては誰の事なんだ?ヴィオリーンは両サイドから生えてるだろ。だから俺には何のことだかサッパリだよ。」


「「…マジデスカ!!!」」


 何で2人してそんなに驚くんだ。


「新しい魔王様は別格だね!」

「では、その、凛々しい角は…」


 凛々しい角ね、てか人の顔指差すな…よ…?俺!?そう思い頭をぺたぺた…


 右耳の上辺りに何かついてるぞおおおお~


「ナンダこれ!何だよ!角じゃねーか!俺は人間だぞ!」

「…。いや~人間には見えないね。ボクの手鏡で見てみるかい?」


 そう言って銀髪さんは机の引き出しから手鏡を出すと渡してくる。


 そして俺は、この世界に来て初めて自分が普通の人間ではないことを知る。


「なぜか右目だけ隈がひどい。そして…綺麗な黒い角ですね。誰こいつ…」


 寝不足みたいな隈が右目のほうだけあり、そして立派な角が生えていらっしゃる。俺は人間ではないようだ。


「ステータスで見てみなよ。誰だかわかるでしょ?キミの事はキミしかまだ知らないんだから、ボクたちに聞かないでくれよ。」


 なるほど、ステータスを開いてみる。



【魔王】 トライオス・タケル (21)


種族:勇魔族



 うわあ~魔王ってちゃんと表示されてる。


 名前がトライオスになってるぞ…。♂表記どこ行った!


「なあ、勇魔族ってなんだ?」

「それは聞いたこと無いね。普通、片角の魔族は半魔、人魔、獣魔などと呼ばれているんだ。この名称は、ハーフ。つまり、両親が違う種族の場合生まれることのある組み合わせのことだね。」

「ん?その言い方だと、あまりハーフはいないのか?」

「ん~普通はどちらかの種の子供が生まれるんだよ。ハーフはまれだね。」


 銀髪さんと話していると横でカチャカチャいわせながらレベックが兜を外して…


 タケルの前に『オレンジ色のネコミミ』が現れた!


 おおう、柔らかそうだ!触ってみたいな…


「自分は魔族の父に猫獣人の母の間に生まれた獣魔族になります。つまり、その、ハーフになります。夜目が利くとのことで夜間、城内の見回りをしているのです。今まで、兜も脱がずに申し訳ありませんでし…ふぁっあっ、なぁんっ!」


 はっ!?いかん、無意識にネコミミに手が伸びてしまった。そして、声が色っぽいのはどうかと思うぞ!レベックよ…


 そして、もう片方の耳にちゃっかり手を伸ばしてニギニギしている銀髪さんよ…同志だな。


「リ、リーナ様!トライオス陛下もっ!耳は敏感なんですからっ!」


 頭を左右にフルフルしながら魔の手を跳ね除けるレベック。


 そのまま自分の手で耳を覆い隠して、恨めしそうに金色の双眸を細める。


 あ~もっと触っていたかったな。


「満足には程遠いが、なかなか良かったよ~レベック。さて、ボクの自己紹介もしておこうかな。さっきから銀髪さん呼ばわりされているようだし。オカ族のリーナだ。エルフの中でも森に住まない部族の出でね、髪や肌の色なんかが違うんだ。ダークエルフって言ってしまえば簡単かな。」


 赤紫色の双眸を蠱惑的に細めながらそう答えた。ほほう、ダークエルフね。


 だが、一番気になることが…


「なあリーナさん、俺より年上って言ってた気がするんだが…俺は21だぞ?」

「自分は17になりました。」

「へえ、魔王様は20過ぎてたか、ボクは25さ。ね?年上だろぅ。でも、さん付けはよしてくれ。トライオス陛下。」

「わかった、リーナ。それと、俺の事はトライかタケルって呼んでくれ。」

「ふふっ…わかったよ。タ・ケ・ル♪」


 何だそのセクシーポーズは…!


 そう思っていると、横のソファーのほうから…


「わ、私は…19だ…」


 参ったな、すっかり忘れていたようだ…

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