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回復魔王なトライ

 屋上の景色は素晴らしかった。多種多様な民家も見える。種族の分だけちがうわなそりゃ。わくわくしてきたぞ。


「はあ、トライはげんきそうじゃの…我はほてりを解除するために四回はかかったぞ。おかげさまでこの姿になってしもうたがのぅ…。(チラッ)」チラッ!


 生々しいアピール好きだよな…やっぱ…


「もうヴィオリラ先生はサキュバスでいいんじゃないか?俺にはそうとしか思えようが無いのだが…。」

「ボクもさすがにそう思えてきた。先生、種族偽ってません?」


 リーナも残念なものを見る目を先生に向けている。それでいいのか教え子よ!


「な、我はサキュバスでもインキュバスでもないぞ!ただ、性に興味があるお年頃なだけだっ!角も尻尾も無いんだぞ!それにだえ!むむっ~!!!む~!」


 な、なんだ!?先生が「だえ…」と何か付け足そうとしたらリーナがその先生の口を手で押さえた。


「先生はヴァンピールですよ!うん。ボクが保障するよタケル!翼だって見ただろう?」


 何が起きたんだ、冷や汗だらだらなリーナ…


「も、ももも~!!!っふは、そうか!そうなのだな!ふふ…リーナよ、そう言うことか。なら、ラーベルに頼むと良い。彼女も気になる殿方がおるらしくてな…花壇のすみのほうに何種類か植えてるらしいからの。」


 手を振りほどいた先生は小声でリーナに耳打ちをする。


「え!?ラーベルがついに…行動に?」

「いや、悩んではいるようじゃ。だが、念のためじゃろうな。」

「そうか…それなら少し、ほんの少しだけ分けてもらいます。情報ありがとうございます。先生。」


 リーナは先生から何かみみよりな情報を聞いたらしく、頭を下げた。


 だが、当の先生は…


「ふふっ…だが、急ぐんだな。我のこの気持ちも強い。だからの、次の満月の夜は勝負するぞ?確実に…。だからの、リーナがどうしてもと言っても満月の夜は行動を起こすからの。イヤならその前に、行動せいよ。我は、順番は気にせん。時間は限られておるぞ…ふふっ…ふひっ…ひひひ♪」

「!?!?…わかっています。だから、先ほども発言を阻止させていただきました。そして、ラーベルから少しでも分けてもらえれば、ボクも少しは勇気を持つことができます。ですので、先生が先とは行きませんよ!もしものときは昨夜のようにショックやスタンを使うまでです!」

「それは普通の夜での話じゃ。満月じゃまず我にその手の魔法は効かんぞ?それこそ我を止めれるのはトライくらいの魔王並みの実力者だろうな…。だが、我も策を用意するからの…ふひっ…おっとよだれが。じゅるり。」


 何か俺を置いて話が進んでいる。だが、小声なのでちょいちょい不安になる。


「して…ナイスガイ仮面の下もなかなかの面ではないか…なぜ、仮面を?」


 小声でのお話は終わりらしい。あ、そういえば仮面・オン!


「あ、え?仮面が出てきおった!どゆこと?」


 その言葉にリーナが頬をぽりぽりとかきながら苦笑い。


「それはですね…。タケルが右目の下の隈を気にしているからというのと、回復魔法を使うと眩しいからです。」


 そう。この仮面はリーナの優しさと俺の角でできている。


「は~回復魔王。いや、回復魔法ね。勇者だからか?アヤツも使えてたもんな…。」


 昔のことを思い出しているのか、その土地の方角を向いているのかわからんが、遠い目をしている。とても悲しそうだ、だが、声色には楽しかった頃の思いでを懐かしむように感じられた。


 俺は、回復魔王で決定なのかね?てか、魔王と魔法を間違えやすいってどーよ?


「なんなら使って見せようか?回復魔法…あ、今は手袋つけてるから眩しくないんだったな。」

「ほう?まあよい、使えるかどうかは知りたいからの…ヒールで構わん。我に頼む。」


 そう言うと目を瞑り、つま先立ちぎみになりながら…唇を突き出す!


 は?何を求めてるの?「ちゅ~」とか聞こえてくるんですけど…。


「はよせい!さあ、我に口付けを捧げ、耳元で囁くがよい!トライよ!さあっ!」


 …。


 ぺちんっ!


「んふゆっ!トライ、なにをする!我はそんなことは望んでおらんぞ!…て、リーナか。」

「先生。何がしたいんですか?ふざけるならタケルに先生には魔法使わないように言いますよ?ふふっ、のけ者ですね?」


 俺が困っていると、リーナが先生のおでこを軽く叩いた。


「な、のけ者じゃと!?」

「そうですよ?あの、アコーですらすでに回復魔法をかけてもらっているんですからね!」

「な、ななな、なんじゃって!?あのアホのアコーですら…。ごめん、ごめんよ~ふざけないからな!ゆるしておくれ~」


 そこは俺にだろう?リーナが魔法使うわけじゃないんだからさ。


 リーナが目で合図を送るので、仕方なく先生の頭に右手を乗せると…


「ヒール!」


 淡く輝く!朝日と相まって神々しささえある。かっけ~いや、綺麗のほうがいいか。


「あ、ああっん!これは!凄いな…我としたことがいやらしい声が出てしもうた!いや、トライに聞かせる分には問題ないの。なあ、な~な~今のには欲情したであろう?なあ、どうだ?今から我の塔で励まんか?我は捧げてもかまわんぞ?ささっ」


 そう言いながらローブを引っ張る欲望まみれな先生。あまりがっつくなよ…流石に萎えるよ?


 俺はげんなり…疲れがどっと来るね…。


「先生!流石に、嫌われちゃいますよ?タケルの表情見てみてくださいよ。」

「ん?むむ、仮面でほぼ分からん!だが、嫌いにならないでくれ~頼む!この通りじゃ~!」


 すがりつく幼女。泣くな泣くな…


 仕方ないので乱暴にだが頭をなでる。


「ふぁっふぁ~!!!こ、これはすばらしいの!そうかそうか、我を好いていてくれるんじゃな?ふひっ…幸せじゃの~♪」


 これだけで幸せになってくれるとは…。


「ぶー。単純すぎやしません?ボク達は用事ができました。ささ、タケルもラーベルの所に行くよ。昨日の夜に約束しただろう?」


 お~そうだったな。


「そうだな、ハーブティーのこととかも他に種類があるのか、その他に取り寄せれたりするのかも聞いてみたいな。それじゃ、先生。失礼します。」

「あ~行かないでおくれ~かむばっ~く!トラ~イ!」


 手を伸ばす先生に手を振りながら俺とリーナは屋内の扉へと向かった。









 そして、一階?の中庭?っぽいところに…う~む。この城はちょっとした病院とか学校くらいな感じだな。広さもそんな感じだろう。


 は~レベックが言っていたが、確かに色々と混ざってはいる。フルーティな感じも受けるが…青々しい匂いもする。慣れれば問題ないくらいかね?






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