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なんだよこの柔らかさ

 アコーが落ち着いたので階段まで移動しはじめる。


「タケル陛下。私はいつまで光っているのでしょうか?自分の身体が魔光石にでもなった気分です。虫が集まらなきゃいいけど…」


 そう言われてもね…。どれくらいの間効果があるのか分からんのだよ。てか、虫集まるのかね。


「いいじゃない。目立つわよ~。虫の二三匹なんてどうでもいいじゃん。物静かなディオンには丁度いいわ。」


 いえいえ、アナタのキャラが濃いだけですよ。ディオンにそれを求めてはいけない。


「きらきら~ディオン!ふふ、明るいね~。」

「バルちゃんまで…。私は別に目立たない、静かなほうでいいんです。夜中は特に騒がしいと迷惑ですからね、姉さんのようにはいきませんよ。」

「ぶー。ね~ね~魔王様もディオンは静か過ぎると思うでしょ?」


 ローブを引っ張るんじゃありません。何か急に懐かれたな。先ほどまでのレイジングな感じが全く無い。泣いて吹っ切れたのかね?


「俺に言われてもな…。覚えたばかりの魔法だったし。それに、時間制限はあるんだ。そのうち効果は切れるさ。アコーみたいに騒がしいと夜中は迷惑だからな、今のままで構わないよ。無理にキャラ変するなよ?いろんな意味で心配しそうだ。」

「ご心配には及びませんよ。迷惑だそうなので、姉さん静かにしましょうね?」

「ふっふっふ~無☆理。無理ね。朝方から昼間なら静かなんだから、その分を夜で取り戻さなきゃ♪魔王様、寝かせてあげないわよ?」


 取り戻さなくていいんだけどな。夜中に行動しやすいのがアコー達の種族特性だとして考えとかないといけないよな。


 夜行性?夜型生活?まあ、そう言う人間は元の世界でも居た。俺も時々は深夜のシフトにも入ったしな。適材適所として夜中の見回りしてるんだろうし。


 それにしても…去れ!俺の煩悩よ!なんだよこの柔らかさは!胸元が開いてるしよ…視線が下がってしまいそうだ。


 今までの女性の中ではダントツだな。ぐ、腕に押し付けられるたび形が…わざとだろう?なあ、わざとだな?目が笑ってやがる…。お色気担当でも目指してるのか?



 …ギリッ。



 この歯軋り…ヴィオリーンがどこからか見てるな?


「リーン。アコーは多分キミのためにタケルを篭絡してるんだよ。…多分。なんだろうか、不安になってきたな。あんな嬉しそうにしてるアコー見たこと無いよ?もしかして、本気なのかい!?ボクを…ボクを差し置いてタケルをっ!!!許さんぞっ頭軽女めっ!ぐぎぎぎ…」

「リーナ様落ち着いてください!ヴィオリーン様も無言で攻撃魔法の用意なんてしないでください!」


 物騒だな。レベックもそんな女性陣に挟まれて疲弊してるな、疲労をうかがえる。


「あらあら、私に嫉妬だなんて♪ふふっ、かわいいわ~。魔王様のおかげでイイものが見れたわねぇ~これからも色々と魅してもらえるのね?楽しみが増えちゃったなぁ。」


 爪先立ちになりながら俺の耳元で囁く。くすぐったいな…柑橘系の匂いがほんのりしてくる。だが、なにより二の腕が見事な双丘に包まれる。



 急に静かになった…。だが、なにか負のオーラを感じる。


 …ひっ!レベック!


「…。ふふっ、陛下?どうなさいましたか?」


 その声を聞いたディオンがカタカタと震えている。


 「ひっ…ネコ怖い。」と言いながらバルちゃんがしがみつく。


 先ほどまで抑えられていた二人も決して視線をレベックに向けようとしない。


 そして、最後にこの原因を作り出したアコーは…


「ひ…レベックちゃん!こ、ここここれは誤解よ!決してわざとじゃないの!魔王様の背が高いからこうなったのよ!不可抗力よっ。だから、お願いお願いよ~このと~り。ね?」


 土下座している。かなり必死に謝っている。怖さを知っているのだな…


「…。」


 俺は無言で階段側に居たレベックに近づくと


「ヒール!」「レジスト!」


 頭をネコミミごとくしゃくしゃっと撫でながら回復魔法をかけた。


 そして、囁いた。


「ごめんよ。気分を害させてしまって。今の俺にはこんなことしかできないからさ、謝るよ。レベック。」


 プルプル…カタカタ…


「うにゃ、うにゃにゃーーーーーーん!!!」


 むぎゅっ…


 顔を真っ赤にしたレベックが鳴き声を上げながら俺に抱きつく。


 あれ?やわらかい?


 男のような筋肉質な感じが全くしない。おかしいね?


「レベック?キミは…」


 俺が声をかけると、バッっと勢いよく離れた。


「へへへへ、陛下っ!リーナ様の部屋に戻りりりりましゅ!よ!さあ、自分についてててきてください。」


 かなり動揺している。一人で階段を下りだしてしまった。


「…ずるいわね。さて、気を取りなおして戻りましょ?トライオス。」

「ボクとしては複雑だよ。タケル~行こうか?完成品が見てみたいだろう?」


 近づいて気付いたが、二人の首元にはいつの間にかネックレスが…ん?ついている黒い宝石のようなものがなぜか気になる。見覚えがあったかな?


「これかい?余ったからね、有効活用させてもらったよ。まあ、製作費だと思っといてくれないか?」


 俺の角の欠片ということだな?俺は文無しだから仕方ないよな。でも、こんなものでいいのか?いや、魔王の角だから下手したら凄い額かな…。


<おそろいなんて、ずるいですね。>


「いーな。バルちゃんもそれ欲しい、よ?」


 また角を折れと?それに、声の人は何を言っているんだ?


「ごめんよ、バルちゃん。ちっちゃいのであれば作れるかもしれない。ボクたちのと同じ大きさは無理だけどいいかな?」

「ん。いーよ?」


 どうやら話がついたようだな。


「え~私には?」


 いつの間にか近づいてきたアコーに…


「だまれ!ボクをこれ以上不快な気持ちにさせるんじゃない!ぐるるる…噛むよ?」


 …はい?唸ってるよ。機嫌が悪いようだ。


「はいはい。リーナちゃんごめんね~。ほら、ディオン。アンタもここいらで退却だよ。いつまでもくっついとくわけにはいかないでしょ?見回りにゴー!」

「では、杖をおかえししときます。バグパス様の遺品は保管室に置いておきますので。リーナ様、ヴィオリーン様、バルちゃん。失礼します。」


 光る鎧が去っていった。


 この後、彼は蒼く光る鎧の所為で新手のモンスターだと勘違いされることはまだ誰も知らない。


「魔王陛下。失礼いたします。」


 スカートの裾をつまんで優雅に一礼すると去っていったアコーだが、兜を被っているせいでシュールだったのは言うまでも無い。


「陛下!まだですか~自分はもう下りて待ってますよ~。」


 下の階からひょっこり顔を出しながら呼ぶレベック。


 やっぱり、かわいいよな?その仕草の所為で男の声に違和感が募る。その理由をリーナ達は知っているようだが…いつかは教えてもらえるかね?

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