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有名熊?

 俺たちが見とれていると視界に黒い何かが…


 すかさずキャッチ。


 ついでにもう一個キャッチ。


「ふむ。こういう場合は身を隠すのに呈するか、逃げに出るべきだぞ?わざわざ自ら姿を現すとはな…」


 俺は、今しがた物が飛んできたほうを向きながらそう言った。


「っ!すまねえ、にいさん。子ども達はわいのことを助けようと…」

「なら、子ども達には動かないように言うんだな。怪我するぞ?」


 といいつつ俺は、子ども達のほうへと…


 握る小石を指弾のごとく放つ。


 風を切る音を残し、子ども達の後ろにいたソレを撃ち抜いた!


「へ?え、あっ!クモ!にしてもこんな場所までついにきやがったとは…。お前ら無事か!」


 駆け寄る熊君の声に泣き出す子ども達…


 そりゃあ


「頭の上を恐ろしいスピードで石が通り過ぎたらそりゃ怖いわのぅ。にしても、よくもまあクモに気づいたものじゃ。」

「怖かったです。タケさまの表情が特に…。」


 え?俺、仮面つけてるからそんな分からんと思うんだが?


 リーナは口元に出やすいとか言ってた気がするがね…


「まあ、なんにしても今のクモが今回の調査対象か…確かに何も残さず消えてしまったなぁ。これは難航しそうだな。」


 元を断つためにも情報が少なすぎる。


 これなら、見張り塔で少しでも聞いておくべきだな。


 子ども達と熊君を送るついでに聞いてみよう。


「まあその前に…」


 俺は熊君の後ろに降り立った別なクモを撃ち抜いた。



 今ので分かったが…


 明らかに子ども達の中の同じ人物をねらっていた…


 多分その子は女の子だろうと思った。


 女性のみ痣のようなものが出るという話を聞いたときからそんな気はしていたが、ここまでピンポイントだと俺の連れが心配だな。






















 最小限の荷物と食料、そして子ども達を荷車に乗せると隠れ家を後にする。


 熊君に荷車を押させ、俺は護衛に徹することにした。


 泣いていた子ども達だが、俺がエリアヒールとレジストフィールドをつかったら懐かれたので、問題なく会話ができている。


 回復魔法様様だな。


「わいとしてはあんな強いのに使うのが回復魔法なのが不思議でならんわい。」

「我もそう思うが、凄いじゃろう?」

「おう、にいさん様様や!」


 なんだよ、にいさん様様って…。


「あ、あのぉ。本来ならかなりのピンチなのでしょうが…。タケさまがことごとく撃ち落としてる所為か、皆さん安心しきってますね。あ、またです!」


 クリスタさんが指差した方に向けて小石を撃つ。


 流石に手持ちの小石が心もとなくなってきたなぁ。


 もう27匹目だぜ?


「見事見事!ふっひっひっ!にしても、我を狙うクモがおらんぞ?なぜに?」


 本能的に効かない、勝てないと思ってるからかね?


 それとも…年齢的な問題か。


「おい、何か失礼なこと考えたじゃろう?なあ、トライやっ!」


 鋭いなあもう。


 ヴィオリラ先生のジトッとした視線から逃げつつ追加でクモをしとめた。



















 やっと森を抜けるという所で、最後に複数匹で毒針?毒攻撃?を仕掛けてきたが…



 俺がすべて握りつぶした。



「のう、ハーフリングの娘よ。今のを何と思う?」

「私ですか?私としては、あの背に描かれた目が気になりましたね。」

「ほう?続けよ。」

「はい。アレは多分、魔法陣を簡略化したものです。そして、撃ち出した毒自体は…魔法のように見せかけていますが、生成毒です。魔法毒の類ではありません。」


 やべー。意味が分からんよ!


 専門家だぜ!


「ふひひひ。呆けとるのうトライや。今のは難しかったか?」

「え、えーっとですね。簡単に言いますね、タケさま。『魔法を用いて毒を飛ばした』のです。」


 なるほど!何となく理解した!


 いわば背中に描かれた単眼が魔法陣で、その魔法陣を用いて魔法を発動させる。


 その発動させた魔法によって自らの毒を離れた相手にぶつける、当てる。


「ふっひっひ。なかなか良いのう。だが生成毒だけでなく、魔法毒も用いてるやつが紛れておった。だからのう、片方なら防がれる、対策されると思うてどちらも用いれるようにしておるのじゃろう。」


 ソレは厄介だなぁ。


「まあ、どうこう言ったところで…トライは無傷。無毒。いたって健康じゃ。」

「流石、にいさん!わいは驚きの連続や!」


 にしても、何で俺は『にいさん』なんだろうか…。


 まあ、熊君の名前も年齢も訊いてないからなぁ。



 そんな事を考えているうちに見張り塔の入り口へと着く。


 すると、塔の扉が勢い良く開かれ、兵らしき女性が扉を開けた勢いのまま走り出し、跳びかかる!



 熊君に。



 え?なにごと?


「むはーん!この子ですよ!この子!あたしを3年前に助けてくれた!熊ちゃんです!くんかくんくん!おおぅ、憶えておりますこのニオイ!森と薬草のぶれんどぅ!」


 跳びかかった勢いのまま抱きつき、頬ずりした後、ニオイを嗅ぐ。


 てか、熊ちゃんて!


「はいはい。何度も聞きましたよ。そのことがきっかけで見張り塔勤務になったのも何度も聞きました。そう言うわたくしも噂を聞いて会って見たいと思っていました。ああ、毛触りよさそうですね!」


 開かれたままの扉から別の女性が出てきながら話し出す。


 どうやら有名熊なようだ。


 抱きつかれて困る熊君は口を開くと…


「わいは野盗賊や!」


 と言い放つ!しかし!


「あぁん、その声、その言葉!本人様です!」


 自称『野盗賊』さんの声と言葉にうっとりしてるよ…。


 ただ、子ども達は抱きつく兵のお姉さんを射殺さんばかりに睨んでいた。


 盗られるとでも思ったのかね?














 名残惜しそうに熊君から離れた兵は…


「あ、遅れましたね。我々はこの塔の兵にございます。交代制ですので、熊ちゃんに会えたことに感謝です!はい!」


 元気が良い金髪ツインテールさん。


「全く…。陛下の御前だぞ。命の恩人という話ならば、陛下も変わらぬだろうに。」


 落ち着きのある青髪ショートさん。


 この二人と、今も上でまわりに目を凝らしている2人。


 計4人が駐在しているらしい。


 交代制なので、次ぎよったときは別な組かもしれないがね。




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