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スライムガム

 ここで初めてお金の説明を聞いた。


 この大陸において金貨だけはドワーフの王国のみが作っており、それ以外の硬貨は国によって絵柄が違ったりするらしい。


 ただ、どのお金も砕いた魔石が含まれており、偽装等はできないらしい。


 すごいね異世界!


 銅貨、大銅貨、銀貨、金貨、そして白金貨


 十円、百円、千円、一万円、そして十万円


 そう考えると…袋の中身は金貨八枚と銀貨六枚。


 八万六千円!


 費用や経費を引いたからと言っても、なかなかの額だ。


 懐が暖かい。


 いや、まあ、先ほどまで上半身裸だったがね。


 ローブのおかげでもほかほかだ!



「のお、トライ。」

「なんだい?先生。」

「いや、凄い嬉しそうにしておるが…お金がすきなのか?」

「いや、それは無い。大金は人を狂わすからな。お金にはとりつかれない様にとは思っている。」


 なんだよ、訊いといて「ふーん」とか。


 にしても、普通についてきているが…


「先生も森に行くのか?」

「まあ、の。元より蜜を一瓶、定期的に送るように頼んだのは我じゃ。だが、物騒な物事が起きてるようじゃしの、その蜜を取り扱ってる者も困っているかもしれんのじゃ。旧知の者の子孫らじゃからのぉ。」


 長生きしてるなぁ。


「おい、今年寄りとか思ったじゃろ!」

「いや、知り合いが多くていいなぁ~って思っただけだ。」

「ものはいいようじゃのぉ…」


 そんな不機嫌にならなくても。


 俺が困っていると、前を歩いていたクリスタさんが南門の側のお店の看板を指差し…


「こちらがそのお店になります。」


 と、説明してくれる。


 門にとても近いなぁ。


「タケさまの疑問は何となく分かりますよ。簡単に言えば、新鮮、まあ、討伐した魔物をなるべく早く処理するために門の側に構えているのです。ハンターズギルドも道を挟んだ反対にあり、クエスト報告してそのまますぐに加工を頼めたりします。」


 ハンター!


 俺も登録できるのかね?


「まさかと思いますが、ハンター登録なされるつもりですか?お仕事があるのに?」


 なんでそんな責めるような目を向けるんだねクリスタさん!


「ギルドはお仕事が無い方に、お仕事をあたえているのですよ?タケさまにはお仕事があるのです。それなのに他の方のお仕事を取ってしまったら…」


 あ、困る人が大勢だよなぁ。


 その日の稼ぎを横盗る形にもなる。


 ハンターズギルドは斡旋業者みたいなものか。


 いや、登録と考えると派遣会社にも近いのかね。


「何か商売がしたいのならば、商人ギルドならOKですよ?まあ、それもご自身のお仕事がお在りでしょうから厳しいかもしれませんが、ね。ささ、店内に入りましょう。ずっと立ちっぱなしだとお邪魔になりますからね。」


 『カランカラン』と音を鳴らしながら開く扉。


 クリスタさんが開けた扉から店内へと入ると…


「いらっしゃいませ。おや?陛下。何かローブに問題がございましたか?」


 クルイさんが店員さんと話していたようで、俺たちに気づくと挨拶してきた。


「いや、追加で何人分か同じものを頼みたいんだよ。」

「ほほう?いやいや、我らが王はもうすでに何人かお決まりのようだ。クリスタ。他の方々とは仲良くな?」

「へ?あ、…はい。」


 優しく気遣うクルイさん。


 お決まりなのか?


「まあ、トライは優しいからのお、女同士でのいざこざが起こる可能性は否定できんが、このハーフリングの娘なら問題あるまい。して、我の分を頼むぞ。サイズはこの姿の時に合わせてくれて構わん。」

「承知いたしました。ヴィオリラ様。」


 あら、幼女におじさんが頭ぺこぺこ。


 いや、昔から贔屓にしているのだろう。


「それでは、陛下の方は何名様追加でご注文なされますか?」

「リーンにリーナだろう。そして、レベック。」

「アンズさんにもお願いできますかね?タケさま。」

「ああ、了解した。」


 四人追加か。


 ん?いくらになるんだ?


「お金は…」

「それは、職人へのヒール代としてお支払いいただいています。こちらとしてはどうにかしてお返ししていかないと、陛下には全くと言って商売を持ち出せませんからね…。昨日の装飾品も無償のつもりでしたが、お受け取りになるご様子がありませんでしたので、このような形とさせていただきます。」


 そんな風に考えていたのか?


 だが…


「別にヒールでお金を取るつもりは無いぞ?」

「これは気持ちの問題ですよ。それに、おかげさまで助かっているのですから。売り上げの貢献も、生産における貢献にもつながっているのです。これほどお力添えされているのです、少しばかりでもお受け取りください。」


 渋々ながらもうなずく。


「では、二日ばかりをお考えください。」


 そういわれたので、俺たちは了承し、店を後にした。

















 次に、旅の途中の雑貨を揃えるために近場のお店をまわる。


 そこで、俺は未知との遭遇を…


「いや、大げさじゃぞ。ただの『ガム』じゃないか…」


 いや、ガムだよガム!


 でも、何かが違うんだ!


「これはですね、簡単に言いますと…歯磨きの代わりの品です。」


 ちなみに、日用品のほうには木でできた歯ブラシが売ってありました。


 歯磨き粉みたいなのも何種類かあったな。


 よかったよかった。


「あのぉ~タケさま聞いてます?」

「聞いてる聞いてる。この不気味な物体が『ガム』なんだろ?」



「はい。名称は…『スライムガム』」



 この世界ってスライムが植物なのは把握しているが…


 トイレだろ?なあ、トイレでしょ?


 実際、その『ガム』の近くに簡易トイレ用にお勧めと書かれた棚においてあるスライムの種。


 もうちょっと離れた所に置こうよ!


「このガムに用いられているスライムは特殊でして、種を砕くと硬くなるのです。そこにハーブや薬草をまぜまぜまぜこねこねこねっと。そして、形を整えれば…完成!となるのです。」


 見た目は…草団子?の緑、増し、増し、増し、増し。


 とてもグリーンです。


「適量をちぎって、口の中に含み、噛むのです。そして、ハーブが使われていますので息もスッキリします。」


 ミント配合ガムですね。わかります。


「歯磨きじゃと手がふさがるからの。それに、水とかも無駄にはできん。となると、こいつが大活躍なのじゃ。」


 理にかなってる!


 もちろん買うよね?って顔を二人ともしていたので、即座に購入を決意しました。


 お金?


 銀貨を一枚渡したら、大銅貨三枚と銅貨が四枚かえってきました。



 ボトルに入ったガムを買った気分でしたとここに記す。



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