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一番には無理ですぞ!

 リーナの視線が突き刺さる。


「おはよう、リーナ。」

「む。おはよう、タケル。で、両サイドの女性は誰かな?ボクとしては訊いておかなければならないんだよ。」


 そういわれたので簡単に紹介、説明をする。


「なるほどー。ボクよりそのクリスタさんを連れて行きたいわけだね?」


 恨めしそうに睨んでくる。


 森に行きたかったのか?


「一緒に行くかい?リーナ。」

「…行きたかった。」


 へ?となると何かあるのかね?


「こちらのセイヨウ王子がボク宛の手紙を持ってきたんだ。中身は、獣人国ベリーズとの長距離伝石による実験の承諾と協力。つまり、同盟みたいなものだね。」


 おお!本当か、それは凄いじゃないか!


「父上が了承したのだ。吾としてもこの目で協力国を見ておきたかった。シンフォニアとの協力は自国の発展にもつながるし、未来が明るいと思った。以上。(言葉にすると、ちょっと照れるぞ。)」


 恥ずかしそうに頬をかくセイ。


 ひょこひょこと動くケモミミに俺とリーナは目が釘付けとなった。


 流石、同士よ。


「で、ね、今の通り、実験のほうに参加するから無理なんだ。ボクとしてはもちろんタケルの側に居たい。でも、大事な仕事なんだよ。」


 仕事なら仕方ないし、適材適所というものだ。


「次の機会があったら…一緒にどこか行こう。リーナ。」

「うん♪」


 ステキな笑顔だ。惚れ直すよ俺。




「むむむぅ。なるほど、一番には無理ですぞ!こんな格上とか、アンズ…凄い敗北感。」


 orz


 跪き頭を垂れるアンズ。


 その両隣にしゃがみ込むと、跪くアンズの肩に手を置きあうクリスタさんとヴィオリラ先生。



「相手はエルフ様。です。立ち居地が違ったのです。アンズさん。」

「アレは仕方がないのじゃ。我でもあのような姿を見せ付けられれば心が折れそうになるぞ。」



 慰めあっているようだ。


 大げさなきがする。


「陛下ちゃんは人気者ね。あ、そうだったわ…。陛下。後ほどアタシの新しい部下に挨拶してあげてもらえないかしら?その子の励みになると思うの。」


 ニコニコしていたかと思うと急に表情を引き締め、真面目な声色で話し出すムーちゃん。


 新しい?


 多分、コトコちゃんのことだろうなぁ。


 昨日はかなりまいってたから、今朝になっても調子が優れない可能性も…


「分かった。会議が終わり次第向かうよ。」

「なら今すぐね。」

「え?」


 いやいや、もう既に会議終わってるのかよ!


 こう、なんか話し合い的なものに参加したかった!


「ごめんなさいね?会議しにきたんでしょうけど、急を要するのよ。陛下ちゃんは森、アタシはメイドちゃん達と魔物の素材でお守り作り。エレクト将軍ちゃんは残りのバジリスクについて、バス将軍は昨日見つかった地下道。で、そこで震えてるトロンボ将軍は国内の巡回です。」

「おれも働く!だだだあだだ、だから殺さないでくれ!おれはまだ死にたくな、じゃなくて、死にたくありません!」


 昨日の酔っ払いか。


「殺すも何も今日は飲んでないようだから何も言わんよ。また臭かったら流石に…」

「ふひいいっ!!!はい、ごめんなさい!禁酒します!」


 土下座をする少年。


 いや、実年齢は多分…ヴィオリラ先生の次だろうなぁ。


 あの見た目で古参らしいから。


「なに?あのトロンボ将軍が禁酒と自ら言い出すとは…」


 なぜかバス将軍が一番驚いている。


「なんだ!バス!おれだって命が惜しいんだよぉ!てめえはもぉ幸せもんかもしれんが、おれはまだ独り身なんだよ!嫁さんほしいよぉちきしょぅ!」


 その言葉を受けて露骨に顔を逸らすバス将軍。


 とても居た堪れない。


 すると、『ぱんぱん』と拍手する音がして


「はいはい。それじゃ禁酒頑張ってくださいな。アタシ達は解散よ解散!各自行動開始よ~!」


 その言葉に席を立ち、皆部屋から出て行く。


 リーナはどうやらセイたちと行動らしい。


 俺に手を振りながら部屋を後にする。


 アンズもアダンさんに捕まり連れて行かれてしまった。


 凄い悲しそうな顔だったとここに記す。


「さて、と。陛下ちゃん。アタシについてきてね?」


 その言葉に頷き歩き出す。










 一階の食堂側の部屋へと案内される。


「あ、店員さん!おはよう!」

「あ、タケル陛下…。おはようございます。」

「…。」


 まず始めにコトコちゃん、次にリュート君?いや、ちゃんだろうな。


 メイド服が愛らしい。


 そして、最後は無言のモニカ。


 うん。マスクが付いてるね。


 これはオシオキ中ってことなのか?


「っとまあ、リュートをハグしてあげてくれないかしら?この子の心を維持するために必要なことなの。」

「なるほど。リュート君は、アルプだったんだね?」

「…は、はい。そのようなんでしゅっ。です!」


 リュート君の側に寄ると、優しく抱いた。


「これで、何日かは維持できるわね。なるべく早めに帰ってこれるといいけど…。」

「なに、森ならすぐ着くだろう?」

「それは陛下ちゃんのスピードが速いからよ。ふつうならそれなりにかかるわよ?」


 呆れられてしまった。


 てか、残り二人が凄い羨ましそうに見てる。


 俺は、頭を撫でた後リュート君を解放する。


「あ、ああ!もっと!もっと!…っ!?は、オレなんてことを言ってんだ!今からタケル陛下はお仕事だというのに…」


 忙しないなぁ。


「次は森から帰ったらな。コトコちゃんも、モニカも気をつけるんだぞ?頑張りすぎて体調崩さないようにな。」


 二人の頭も撫でてその部屋を後にする。





 城門前に着くと先ほどの兵と、あれはクルイさんのお付きの人だったな。


「これはこれは陛下。クルイ様よりこちらを…」


 ローブ?


「朝一で仕上がりましたので、お届けにまいりました。クリスタのもございますので。ふふっ、お揃いでございますね。クルイ様もいいご趣味だ。」


 受け取ると、内側には模様のようなものが描かれている。


 何かしらの効果が付いているのだろう。


「私にもですか?あ、ありがとうございます。」

「うむ。感謝する。」


 クリスタさんがお礼を言ったので俺も続けて礼を言う。


「こちらは残りのお金にございます。陛下のしとめたカトブレパスをこちらで買い取って加工したことになっておりますのでお受け取りください。」



 小さめの皮袋を受け取り、中を見ると…Oh!金貨


「費用は引いてありますので、それは全て陛下のお金となります。今後とも『フェアリーズ商会』をご贔屓に。では、失礼いたします。」


 付き人は深々と頭を下げると去っていく。


 その背を見ながらヴィオリラ先生が…


「のう、素材がまだあるのなら…我もおそろいがほしいのじゃ。森に行く前に寄って行かぬか?」


 そうだな、森に行く前にじゃないと帰ってきてからではもう無い可能性があるもんなぁ。


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