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頭が回るメイド

「ふがっ!」



 ごろんっ…ごろごろ…



 あ、頭が落ちたんだが…。石畳の床を転がっているぞ、恐ろしいほどの威力があったのか!


「ボクはいつも言っているだろう!入るときはノックをしろって!まったく何度言えば…」


 いや、頭が…ね、頭が落ちちゃってるよこのメイドさん。


「だからって~顔はやめてくださいよ~!傷物になったらどうしてくれるんです?お嫁にもらってくれます?ね~ね~リーナちゃ~ん?面倒見てくれます~?」

「まずはそのすぐに転がり落ちる頭をどうにかしないか?それに夜中だよ?キミにとっては過ごしやすい時間帯かもしれないけど、ボクやリーンは疲れているんだ。騒がないでくれ。」


 あの~頭。てか、落っこちた頭が騒がしい。


 残った胴体の方は扉を開けた後は丁寧に閉めて、気を着けして壁際に待機している。


 こっちを向いてるわけじゃないので…ポニーテールな後頭部しか見えないんだが…どんな表情してるかも分からん。


「ほらっさっさと拾って、邪魔になるじゃないか!それに、タケルに挨拶しなきゃいけないよ?」

「ぶー!抗議しますよぉ!伝石を投げつけたのリーナちゃんじゃん!ストライキじゃぁ~!てか、タケルって誰さ!私の知らない間に男を!ぐ、ぐぬぬぬ…痛い~。」


 なんだ?気に障ったらしいリーナは転がる頭を踏みつけた。


「無礼じゃないかな?トライオス陛下と呼びたまえ!このっ頭軽女め!金具で留めてあげようか?」

「いや、今度はとらいおすって誰さっ!まさか!二股か!私というメイドがいながらなんたること!それに~私の頭はそこまで軽くありませ~ン!後、留め具は本気でやめてね?私のレーゾン デートルが失われてしまうわ~!価値のない女になってしまう!あ、その時は嫁にもらってくれます~?」


 あはは、うふふ、何だよこの光景は!踏みつけられた頭と白衣のダークエルフが口論するような世界が俺を待っているとは思いもしなかったぜ!


 クールにいこうぜ、クールに!肝は冷えそうだがね…。


 まるっきりホラー映像だもんな。壁際の首無しメイドさんがひたすら平謝りしてるんだぜ?それも、怒っているリーナじゃなくて俺のほうに…


「カラダは正直じゃないか?なのに、なぜ頭を回収しない!カラダのほうっ!頭乗っけてからタケルに謝りたまえ!選択肢は間違ってないが順番がダメだ!」

「頭と身体が離れるとちょいとズレちゃうんですよ。大目に見てください。それに、リーナちゃんからダイレクトアタックを受けてますから回収できませ~ン。てか、ぐぬぬう…見えそうでパンツが見えない。」

「「「…。」」」


 俺、リーナ、レベックは言葉を失った。


「ふわぁ~。うるさいわね…。自分の見てなさいよ。アコー。」


 ん?あほ~?


「あほじゃありません!アコーです!だれです!失礼なこと思ったの!」

「ああ、俺だ。すまない。」

「トライオス、大丈夫。それが普通よ。」

「リーンさま~あんまりです~。てか、またトライオスって名前が…そして、今謝ったの誰?殿方よね?だれ~だれです~?」

「ヴィオリーン様っていいなさいよ!リーンって呼んでいいのは御爺様とリーナとえっとあっとそれと…私が認めたヤツだけよ!アナタは許可してないわ!トライオスは別に呼ばしてあげてもいいわよ!さあ!呼びなさい!」


 強制ですか?それに、顔真っ赤じゃないか…


「リーン大丈夫か?顔が赤いぞ?」

「だ、だだだだいじょうぶれすっ!ふ、ふ~んなかなかいいわね。トライオスに呼ばれるのは気分がいいわ。」

「気分がいいならっ!パンふぎゃ…」


 キャラが濃いよ。なぜに女性の下着にここまで…頭さ、じゃなくてアコーさんよ、変態さんだな。


「だえでふ?ひぇんひゃひにゃんへおもっひゃのひゃ!淑女です!(キリッ)」


 誰です?変態だと思ったのは!…そして淑女だけはキリッとしながら答えた。


「石畳の床がよだれまみれじゃないか!」


 リーナよ、踏みつけているからだろう?


「リーナ、退いてあげてくれ。俺が直すよ。さっきからずっと平謝りされてるからさ…。」


 俺はリーナの肩に手を置きながら囁いた。


「しょ、しょうがないな~この子はすぐにつけあがるから注意してね?」


 そう言いながら足をどけて俺の後ろに下がった。


「御仁よ、助かり…い、ぎぎぎぎ…なんですこの持ち方はっ!?目の前が真っ暗ですよ!」


 ん?どんな持ちかたかって?アイアンクロー?あれだよ、バスケットボールを片手で持つような感じかね?


「ついでだが、試してみたい魔法があったんだ!いいかね?皆に効くか分からないけど…」


 周りにそれとなく目を覆うようにジェスチャーする。無論、アコーさんには見えない。


「エリアヒール!」


 部屋がとても明るくなっ…


「ぎにゃ~目が痛い、目がっ!瞑ってるのに目が~眩しさをダイレクトにいぃ~!だけど、あったかくて気持ちいぃ~!やっぱり眩しい!」


 そうだよな、アコーさんを持っている右手が中心となって光ってるのだから…


「今回は防ぎました。でも凄いですよね、陛下の回復魔王…じゃなくて魔法。」

「私もそう思うわ。アンデッドモンスター倒せるんじゃない?」

「タケル、すでにエリアヒール使えたんだね。凄いじゃないか!この部屋でさっき初めてヒール使ったばっかりなのに…流石、ボクの勇者様!」


 これは眩しいね、発動させた本人が眩しいのはどうにかしたいな。


「なあ、リーナ。俺にもそのオオクロなんとかから作ったそれ作ってくれたりしないかい?自分の魔法で眩しい思いするのは何だか残念な気分になるんだよ…。」

「ん、ふふっ♪いいよ~♪他にも機能のついたカッコイイのにしようか?それに、右目の隈が気になってただろう?それを隠せるように常にかけていられるような一品に仕上げてみせるよ!素材ならあるからね、靴を作ってもらっている間にできると思うからね。」


 そう、そうだよな。元はといえば裸足の俺のために呼んだんだったな…。すっかり忘れていたよ。


 壁際に立つカラダに乗せる。


「ほほう!片角の…さっき廊下で話し声が聞こえてた気が…確か、ま、ま、まま魔王様!わ、私としたことが!身内ばかりで会話していると思っていました!まことに申し訳ありません!」


 ごとっ…ごろごろ…


「あら、あららら…。み、見えた!ふぎゃ!イタイイタイ!頭が~!助けて魔王様っ!」


 勢いよく頭を下げたことによりまた落ちた。これでいいのか?メイドさんよ。


 それにしても、よく頭の回る子だ。そのまんまの意味で。


「アコー!ワザとだろっ!よくもボクの…」


 また踏まれ始めた…














デュラハンは妖精さんです。





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