第二話【消えたチェシャ猫】 箱庭大樹
猫だし外でフラーッと遊びに行ったのかもしれないけど、十数年間生きてきてそんなことは一度もなかった。
もう半日以上も経ってるし。このまま帰ってこないのではないのか。という不安が込み上げてきた。
まさか、15歳の誕生日になったら見えなくなるとかそういう系のかな?
いや、それなら朝の時点で消えてるはず。
いくら考えても答えが出ない…
「チェシャ猫、どこ行ったんだろう…」
チェシャ猫の為にと取っておいたご飯は冷えてしまっただろうな。
今までこんなこと一度もなかったしどう対応していいかもわからない…
そう、そこらへんの迷い猫とは違って私以外には見えないんだから。
ふと天井を見上げると、視界が霞んだ。
いや、待てよ。天井に何か白いものが張り付いてない?
「お助けくだされー」
ちょっと。いや、かなり間抜けな声を出したのは天井に張り付いている何かだった。
しゃべる猫はチェシャ猫だけでいい……あ。
「ちょっと誰!?ってよりチェシャ猫!…ではないよね、太ってるし」
何なのコイツとか思いながら手足がプルプルしてるちょっと太った猫を観察していると
「いいから助けてくだされぇぇぇ!!!!」
「はあ…で、どうやって助けろと?」
普通に考えて落ちそうになったのを抱き止めるとかできなさそう。絶対重いだろうし
「そのご飯をくれればそれでいいのです!!プリーズ、メシ」
言いながら普通にジャンプして降りていた。
……あ、そう。そっちなんだ。
第三話に続く