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泣き虫の羽化  作者: みりん
変わりゆくもの
14/21

大切な人だから

短めです。


中学の修学旅行は色々とトラウマになりました。

そのおかげで高校の修学旅行もよくない意味でドキドキしました……。

まあ、高校では取り敢えず中学の時みたいなことは何もなく過ごせたのでよかったけど。

アイス美味しかった(笑)

 結局柚と別れることは出来なかった。


どれだけ自分に言い聞かせても柚の拒絶を受け入れることなんて出来っこなかった。

柚に迷惑をかけないようにと、柚の為だと思って一人でいてもつい目で追ってしまう。

柚のおかげで話せるようになったクラスメイトととりとめもない話をしながらも頭の中では柚のことばかり考えてしまう。

普段からあまり喋らない私のその様子に一緒に会話している人は気がつかなかった。


柚は柚で私以外の人と普通に、時折楽しそうに笑ったりしながら会話をしている。


柚を目で追っていると必然的にそれが目に入ってしまう。

柚が楽しそうに笑っているのはとても嬉しいのにとても苦しくて気づけばよく目を閉じて過ごすようになっていた。


今までのように本を読もうとしても目が逸れて集中出来なかったから。

目を閉じて何も映さなくする以外で柚を見ない方法が私には分からなかった。


目を閉じながら涙を堪える。

その涙は遣る瀬無い涙とあれ(・・)が起こっているときの涙が混ざっていて私の心が悲鳴をあげる。

それはあれ(・・)の症状として現れた。

症状は軽いが1日に一度は必ずと言っていい程に頻繁に起こるようになった。

じわりと涙が滲んで体が少しだけ痺れたり、呼吸が少しだけ苦しくなったり、胸が少しだけ痛くなったり、少しだけ熱が出たり、軽い立ち眩みがしたり……。


兎に角必死に耐えた。


一つ一つの症状が重くなくてよかった。

もし学校で倒れたりしたら、もし何度も保健室に行ったら、もし学校を休んだりしたら……きっと柚は自分を責めてしまう。


それはやっぱり私の願望だったりするけれど。


きっと自分が側にいなかったせいだと思ってしまうから。







 柚と会話することなく一週間、二週間が過ぎて三週間目に入った頃には食欲がなくなってしまい給食どころか晩御飯でさえも残してしまうようになった。


足を引き摺るようにして学校へ向かい、襲い来る苦しみの恐怖にまるで小学生のあの頃のように、いやそれよりももっと怯えながら1日を過ごして。

そして家に帰ってどうにか宿題を済ませ、晩御飯を少しだけ胃の中に入れてお風呂に入ってすぐに布団に潜り、ひたすら眠って疲れを落とす日々。




すごくかなしくて


とてもせつなくて


ただたださみしくて


話がしたい


また一緒に笑ってほしい


私のことを許してほしい


こんな私のことをゆるしてほしい





そんな想いに支配されながら日々は過ぎて行く。















 修学旅行が目前に迫った。


私は修学旅行の日に全てを賭けようと思い始めていた。


行きと帰りのバスの座席は柚と隣。

柚に拒絶されてしまう直前に話した自由行動のことを覚えていてもらえていたら、そのときにもチャンスはある。

二泊三日もあるのだから、時間もチャンスも沢山ある。




本当はあの日にあんな言い方をしたくはなかったのだと伝えたい。

私はまだ、ずっとこの先も柚と友達でいたいのだと伝えたい。

時折感じる視線は本当なのか聞きたい。

私のことをどう思っているのか全部知りたい。

直せるところがあるか知りたい。直したい。





『もう一度友達になってくれますか』って聞きたい。






柚と一緒に楽しみたい。

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